番外編 宇宙漂流記ルミナス177 ムーのマシンダー4
ムーのイースター神殿でオレ達はラ・ムールの歓迎を受けた。
見たことのあるような、無いような料理でもてなしてもらったオレ達は、神殿の広い客室に案内された。
そこにはテレビやゲームらしい娯楽みたいなものは当然何もなかったが、反対に今の時代でも見かけないようなオーバーテクノロジーの寝具や健康器具などが備え付けてあった。
流石は古代ムー帝国というべきか……。
設備的にはルミナス号よりよほど健康的ではあるが、やはり娯楽みたいなものは無さそうだ。
そんな中でツルギ・ヤマトの持っていたトランプがかなりみんなにはウケが良かったらしい。
どうやら話を聞くと彼は修学旅行の最中に何かの声に呼び寄せられて岬のところにある祭壇跡からこのムー大陸に召喚されたようだ。
その声の主がラ・ムールだったというわけだな。
ムーの戦士の末裔とルミナス号の子供達は年齢が近かったのですぐに仲良くなれたようだ。
一方、保護者的立場のオレやケイトさんはラ・ムールに呼ばれて今の状況を話し合っていた。
「そうでしたか、貴方がたはこの地より遥か彼方の時代の異なる星からワープという技術でこのムーの地に来られたというわけですね。そして、クエンタの遺跡という場所とこのムーの祭壇がつながり、あの大きな白い船ごと現れたのですね」
流石はロストオーバーテクノロジーの塊ともいえるムーの巫女だ。
ラ・ムールはオレ達の話を難なく受け入れた。
「申し訳ございません。あの白い船がわたし達の守り神である白き鯨に似ていた為、貴方がたに混乱を起こしてしまったようですね」
いや、似ているのも仕方ないだろう。
ルミナス号のモチーフは大昔の冒険小説の十五少年漂流記と白鯨だったわけだから。
つまりルミナス号は白鯨、モビーディックをイメージした巨大宇宙船なので彼女が見間違えたのも仕方ない。
ムーの守護神である白鯨はモビーディックとは違ったシロナガスクジラのイメージなので正式にはイメージも異なるだろうが、白い鯨モチーフという点では被っているだろう。
「お願いです、貴方がたのお力をお貸しいただけますでしょうか。ゴルランティスの侵略を止めるには白き鯨と神像マシンダーの力が必要なのです。ですが神像マシンダーと白き鯨はまだ眠ったまま、その力を発揮出来ていません、このままでは神像マシンダーと白き鯨が目覚める前にムーの地が滅びてしまうのです」
つまり、オレ達は神像マシンダーと白き鯨が始動するまでゴルランティスが攻めてきたら食い止める役割を頼まれたというわけか。
「そう言われても、オレの独断で決めるわけにはいかないからなぁ……。ルミナス号のみんなの意見も聞かないと」
「わかりました、無理強いはしません。貴方がたの中で話して結論を出してください」
ラ・ムールは美少女といった雰囲気だがなんというか感情や人間味が無い。まるで作り物の人形のようだ。
確か、この作品、CSの再放送で見たような気がするが、彼女はサイボーグかアンドロイドだったような気がする。
そう考えるとこの無表情さや感情の無さも仕方ないか。
「ラ・ムール様、大変です! ドラゴ兵が再び攻めてきました。今度は骸骨のような巨人兵と頭の二つあるトカゲのような巨人兵の二体です!」
「わかりました、すぐに住民を避難させてください」
どうやらまたドラゴ兵が襲ってきたらしい。
こりゃあ協力しないって言うわけにはいかないな。
「ラ・ムールさん。今は考えてる場合じゃ無い、あんたはマシンダーと白い鯨ってのを用意しないといけないんだろ。ここはオレ達で食い止めるから早く準備してくれ」
「わ、わかりました。すぐに準備します」
「それで、一つ頼みがあるんだが、ルミナス号のエネルギーだけすぐに用意してくれないか、このままでは戦うどころか飛ぶ事すら出来ないんだ」
「わかりました、オリハルコンのエネルギーを貴方がたの船に注ぎ込みましょう」
さて、戦闘開始だ。
あのドラゴ兵をどうにか追い払わないと。




