番外編 宇宙漂流記ルミナス176 ムーのマシンダー3
ラ・ムールに召喚された五人の子供達はイマイチ状況が理解できていないようだ。
「くそっ、一体どうなってるんだ! ここはどこなんだよ!?」
「ここはイースター神殿、ムーの中でも最も高い山にそびえる神殿です」
イースター神殿? イースター島なら聞いた事あるけど、ここはどう見ても巨大な山の上のようだが。
「おい、おれ達をどうしようってんだ、何でこんな所に連れて来たんだよ?」
「申し訳ありません、わたしはムーの巫女、ラ・ムール。貴方がたムーの戦士の末裔に力を貸していただく為、ここにお呼びしました」
五人の子供達はラ・ムールの説明でようやく状況が理解できたようだ。
最年少の少年マナブ、彼が他の四人に現在の状況を解説したからだろう。
「つまり、ぼく達は、ラ・ムールさんに呼ばれて遥か大昔の一万二千年前のムー大陸に召喚されたというわけです。召喚とは、特殊な儀式を行う事で時空間を超えて対象物をワープさせる能力やシステムみたいなものだと考えれば良いでしょう」
この天才少年のおかげでオレ達は特に説明をするわけでもなく状況を理解する事が出来た。
ルミナス号の子供達も年齢が近いらしく、ツルギ・ヤマト達と話が出来ているようだ。
ラ・ムールが召喚した子供達は……。
ツルギ・ヤマト
ユミ・レイナ
ランス・ジン
ダガー・ジョウ
サイ・マナブ
の五人だ。
どうやら彼等全員がムーの戦士の末裔で同じ時代の子供達らしい。
本来は別々の時代からそれぞれ最も能力の高い戦士を呼び寄せる事も可能らしいが、それにはオリハルコンのエネルギーを膨大に使うのだ。だから召喚の儀式を一度に済ませて少しでもエネルギーを少なく出来るように、同じ時代の子供達で最もムーの戦士の血を継いだ彼等が選ばれたというらしい。
「貴方がたに会える日を待っていました。今、ムーは闇の侵略者ゴルランティス帝国によって滅ぼされようとしています。貴方がたはムーの戦士として神像マシンダーと白き鯨の力でゴルランティスの脅威からこの世界を守ってください」
「冗談じゃねーよ! 何でおれ達がそんな訳の分からない事をしなきゃいけないんだ!」
「そうよ、早く元の時代に返してよ!」
ツルギ・ヤマト達は当然ながら全員が猛反対だ、そりゃあいきなりこんな場所に呼ばれて悪の軍団と戦えなんて言われたら誰だってこうなるってもんだ。
「そうですか、残念です……ですが、もしここで貴方がたが戦わなければ、貴方がた全員の存在が消えてしまう事になるでしょう……仕方ありません、それも運命です」
「ちょっと待てよ! 一体どういう事だよ!」
「ま、まさか……ひょっとしてあの侵略者を倒さないと、ぼく達の先祖が消える、つまり……ぼく達全員の存在が未来から消えてしまうという事ですか??」
ラ・ムールは黙ってうなずいた。
「マナブ、つまりどういう事だよ」
「つまり、ぼく達がこの時代に召喚されたのが本来の歴史になるというわけです。もし、ここで、ぼく達が戦いを拒否すれば、ぼく達の先祖が滅びてしまい……後の時代のぼく達の存在が消えてしまうというわけです」
マナブの説明はわかりやすいがオブラートに包んでいない分辛辣とも言える。
ここでムーの戦士の末裔達は戦わずに消えるか、危険な戦いに身を投じるかの究極の二択を選ばされる事になったのだ。
「クソッ、結局は戦わないと元の時代に戻れないってわけかよ。わかったよ! 戦士でもなんでもやってやるよ、こちとら江戸っ子だ!」
ヤマトはその場にどっかと座り込んだ。
後の4人も少し考えてはいたが、ここで戦わないと自身の存在が消えてしまう事実を受け止め、ムーの戦士として戦うことを選んだ。
「貴方がたの決意、このラ・ムールはとても有り難く感じています。ムーの戦士達よ、こちらにおいでください。さあ、ルミナスの皆様もどうぞこちらへお越しください」
ラ・ムールはヤマト達ムーの戦士だけでなく、オレ達ルミナス号の乗組員達の事も神殿に歓迎してくれた。




