第八話 巨大獣ガゴンゴ ミザーリンの美しき罠 8
「竹千代! 攻撃を止めろってどういう事だ!?」
「流さん、あの巨大獣……全身からガスが漏れています!」
「何だって!!」
「確かに、何か見えているでごわす」
どうやらガッダインチームは巨大獣ガゴンゴの特性に気が付いたようだ。
あの全身ガスタンク相手に遠距離攻撃は火花を付けるようなモンだ。
「だとするとあの巨大獣を遠距離攻撃で倒すのは火をつけて大爆発を起こせと言っている様なものです」
「くそっ手も足も出ないのか……」
「流、オレに代われ!」
「流くんっ。無茶しないでっ」
これも原作であった展開そのままだ。
渚に良い所を見せようとした流が得意な遠距離攻撃で巨大獣を倒そうとするものの、遠距離ではガスに引火するので手も足も出せないといった展開だ。
「くそっ、龍也。お前に任せるぜ」
「わかった。流、アシストを頼む」
「フン、わかった」
この二人、仲が悪いようでもきちんとお互いを認め合っている。
だから流は素直に龍也に主導権を譲ったのだ。
「よーし、それじゃあオレが決めてやるぜ!」
「龍也さん! アイツを北原未来要塞ベースに踏み込ませてはいけません! アイツは全身ガスの塊です。もし引火すれば北原未来要塞ベースが吹っ飛んでしまいます!」
「くっそー、巨大獣め!」
ガッダイン5は巨大獣ガゴンゴ相手にどう攻撃して良いのかが分からないようだ。
そこのタイミングでガゴンゴが手足を引っ込め、巨大な球体の姿になった!
ゴロゴロゴロ……、ゴロゴゴゴゴゴゴッ!
巨大獣ガゴンゴの巨大ボールがガッダイン5を襲う!
ガッダイン5は何度も巨大球体に吹き飛ばされ、全身を強く打ち付けていた。
「キャアッ!」
「ぐはぁっ!」
「くっ!」
「ぬおおおっ!」
全身ズタボロのガッダイン5はガゴンゴに踏みつぶされる一方で、反撃のタイミングが掴めなかった。
「龍也! おれの言うタイミングでマグネティックランサーを使え!」
「流! わかったぜ、マグネティックランサー!」
SランサーとNランサーが太腿から取り出され、巨大な槍に変化した。
「ガギャギャギャアアアッ!」
「今だ! 龍也っ!」
「行くぜ、巨大獣!!」
グザッッ!
「ギャアアアアアッ!」
ガッダイン5のマグネティックランサーは高速回転のタイミングを狙い、頭部にランサーを深く抉り込んだ。
これは動体視力の優れる流でなければ見極める事が出来なかっただろう。
「龍也さん、アイツを倒すのに出来るだけ遠くに放り投げてください!」
「よっしぁー! 分かったぜ、超電磁ワイヤー」
ガッダイン5の両手がひっくり返り、アンカーが出てきた。
そのアンカーは高速で撃ち出され、ガゴンゴの身体を絡め取った。
「よーし、海までぶん投げてやる! 行くぞぉ!」
ガッダイン5の超電磁ワイヤーがガゴンゴをハンマー投げのように高速で回転させ、遠心力に任せて数キロ先の海にぶん投げられた。
「よし! あれだけ離れた場所ならガス爆発が起きても! 行くぜ、超電磁……ウェエエブ!」
出た、超電磁ウェーブだ。
ガゴンゴがホールドされ、動けなくなった。
「超電磁、スマァアアアアッシュッ!」
「ガァゴンゴォオオオオッ!」
巨大獣ガゴンゴは海上の沖合で大爆発を起こした。
ガゴンゴを倒したガッダイン5は北原未来要塞ベースに戻り、流は姉を探して外に飛び出した。
だが、彼の姉の姿はどこにも見当たらなかった。
防衛隊員に詰め寄った流は姉の渚がどこに行ったのか隊員に聞き出そうとしたが、渚は戦闘のどさくさにまぎれ、姿をくらましたらしい。
失意に沈んだ流だったが、彼が北原未来要塞ベースの自室に行くとそこには置手紙が残されていた。
「これは……姉さんの字!」
――流へ、つかの間の間でしたが楽しかったです。ですが私がいると貴方が集中して戦えません。どうか貴方の責務を全うしてください。さようなら、お体にお気をつけてください。またいつか、笑って会える日を楽しみにしております。貴方の姉、渚より――
手紙を見た流は涙を浮かべながらも口元は笑っていた。
「姉さん、また会えるよね……」




