番外編 宇宙漂流記ルミナス174 ムーのマシンダー1
オレ達がワープした先はどこかの神殿のようだった。
本来は遺跡と言えるのだろうが、ここには人がいるので遺跡ではなく神殿と言った方が正解だろう。
オレ達のルミナス号は神殿の広場といった場所に着陸している。
「これは……白き鯨……違う、何なのですかこれは?」
どうやらルミナス号を白い鯨と勘違いしていたらしい少女は警戒モードになっているようだ。
「答えなさい、貴方がたは誰なのですか? もしやゴルランティス帝国の者ですか!」
ゴルランティス? 確か昔の作品に出てきた悪の帝国の名前だよな、という事はやはりここも昔のロボアニメの世界なのか。
「違う違う、オレ達はゴルランティスなんて連中とは関係ない、だから武器を下ろしてくれ!」
「信じられません、貴方がたが私達ムーの敵でないと言うなら、姿を見せるのです」
ムーだって!? ひょっとしてここは伝説のムー大陸だというのか??
という事は……ここはエメラインか何かの世界か?
「わかったから、今から外に出るから少し待っていてくれ」
そう言ってオレ達はルミナス号に乗っていた全員で外に出る事になった。
「子供達……貴方がたはムーの戦士の生まれ変わりでは無いのですか、ツルギ・ヤマトはどこにいるのですか?」
ツルギ・ヤマトだって? ってことはここはエメラインの世界ではないのか。
確か王者エメラインの主人公の名前とは別のヤツだったはず。
「誰なんだよ、そのツルギ・ヤマトってのは?」
「ツルギ・ヤマトは後の時代から私が呼んだムーの戦士の末裔、白き鯨のリーダーにして神像マシンダーの乗り手の名前です。ああ、私の召喚に彼は応えてもらえなかったのですね……」
どうやらこの巫女らしい少女はツルギ・ヤマトという人物をここに呼ぼうとしたが、それが転送事故でオレ達のルミナス号がここにワープしてしまった為に召喚に失敗してしまったというワケか。
「ラ・ムール様! ゴルランティスのドラゴ兵が! このままではムーの民達に大きな被害が出てしまいます!」
「仕方ありません、ここはムーの戦士無しで私が戦うしかなさそうです……皆の者はすぐに避難しなさい」
ラ・ムールと呼ばれた巫女の少女は煙の上がっている神殿の下の方にある街に向かうため、目を光らせて空中に舞い上がった。
あの娘、一体何者なんだ? まるで人間とは思えない能力だ。なんというか、サイボーグかアンドロイドとしか思えない。
だがどう考えても巨大ロボか怪獣らしい相手に女の子一人で戦うのは無理がある。
そこでオレは彼女に問いかけてみた。
「ちょっと待ってくれ、オレ達に協力してくれるならアイツらを吹っ飛ばしてやるから!」
「何を言うのですか、普通の人間にドラゴ兵を倒せるわけがありません。貴方がたも早くここから離れるのです」
あーあ、こういう頭の固いタイプは一度決まった考えをなかなか変えようとしないんだよな。
だからってこんな女の子一人だけをあんな怪獣ともロボットとも言えないバケモノ相手に戦わせるなんてできるかっての。
「出来るかどうかはオレ達の力を見てから決めてくれればいい。一つだけ頼みを聞いてほしい」
「何をしようというのですか、もう時間が無いのですが……」
オレは何かタキオンエネルギーに代わるエネルギーが無いかをラ・ムールに聞いてみた。
「エネルギー、ですか。それでは私の生命エネルギーを分け与えましょう。本当にそれであのドラゴ兵を倒せるというのならですが、もし出来なければ全員死が訪れる事になるでしょう」
ラ・ムールは渋々ながらもルミナス号のタキオンエンジンに触れ、エネルギーを充填してくれた。
――タキオンエンジン始動、エネルギーの大半をマスドライバーカノンに充填します。――
MAYAはバリグナーの世界でクラート博士に設置してもらったマスドライバーカノンにエネルギーを集め、一気に放出した。
――マスドライバーカノン、発射!――
その辺りにあった岩石と瓦礫を弾丸代わりにしてマスドライバーカノンが発射された!
マスドライバーカノンの威力は数機いた巨大なドラゴ兵を一瞬でまとめて吹き飛ばした。




