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番外編 宇宙漂流記ルミナス173 パーフェクト・ソルジャー10

 遺跡の奥から姿を見せたのは、白い髪の男だった。


「キリオ……お前さえ、いなければ。ママ……」


 なんだなんだ、コイツはマザコンか? というよりママって……誰だったっけ?


「お前は、青いAT(アサルトトルーパー)のパイロットか!」

「そうだ、ボクの名前はエプシロン。パーフェクト・ソルジャー、タイプゼロだ」


 あー、思い出した。

 アイツはエプシロン、キリオをライバル視していたAT乗りだ。

 彼はフィオナと同じ古代の遺産として作られた人造の兵士、つまりパーフェクト・ソルジャーだ。


 宇宙の統治者であるウイズマンの後継者がキリオ、つまりパーフェクト・ソルジャーロストナンバーだとすれば、タイプゼロのエプシロンはその後継として作られた兵士だと言えるだろう。


 フィオナはそのパートナーとして作られた兵士だったが、ウイズマンコピーとしてのキリオを見てしまい、本来のパートナーであるはずのエプシロンへの感情が上書きされてしまったわけだ。


 古代クエンタ文明はこのフィオナとエプシロンを新たなアダムとイブとする事で人類の再生計画を行っていたのだが、想定外のアクシデントによりこの二人は後世にコールドスリープさせて残されたのだ。


 そんな中で古代クエンタの遺跡の中で見つかったフィオナはクドの軍事施設に、エプシロンは秘密結社の手に渡ってしまったというわけだ。


 キリオのATとエプシロンのATが激突する。

 そんな二人の戦いを止めようとしたのはフィオナの乗るAT、ブルーティッシュウルフだった。


「アイツ……そうか、アイツがシエップス小隊を、アイツだけは殺す!」


 メーテルリンクが手に付いた血をぬぐい、指を使って顔に線を引いた。

 これは彼の戦闘の儀式のようなものだ。


 メーテルリンクの迫撃砲が何もいない宙目掛けて放たれた。

 いや、これは宙を狙ったのではない、エプシロンの乗るATの移動先を見越した上でキリオの攻撃を避けた場所を想定して撃ち込んだのだ。


 ドゴァアアン!!


「な、何だと!?」

「悪かったな、トドメはささせてもらう」


 キリオのATから放たれたファランクス、ミサイルポッド、そしてパイルバンカーがエプシロンの機体に直撃した。


「グッ、グハッ……こ、こんなところで……」


 全身被弾したATからエプシロンが脱出した。

 そして彼は機体を乗り捨て、遺跡の奥の方に向かった。


「ま、待て!!」


 遺跡の広場を取り囲んでいたカメン王国正規軍、そして反乱軍が次々と遺跡の中に入っていく。

 そこではエプシロンがレバーを引いて、遺跡の動力を作動させてしまった。


 ここはウイズマンの遺産の眠る遺跡なのだが、そのエネルギー源は大量のギギリウムだ。

 よりによってエプシロンはその遺跡を作動させてしまった。

 本来、この遺跡の遺産にキリオや秘密結社、軍が気が付くのは物語終盤でウイズマンのメッセージを聞いた後だ。


 だが、追い詰められたエプシロンはウイズマンの遺産を誰にも使わせない為、作動させてエネルギー切れを起こしてしまおうとしているのだ。

 つまり、キリオもフィオナもこの遺跡でウイズマンの遺産に触れることが出来なくなってしまう。


 ――マズイ! そんな事になってしまえばオレ達がこの世界からワープする手段が無くなってしまう!

 ここは無理をしても今のうちにルミナス号でワープしなくては!

 オレ達は出かけていた全員でルミナス号に乗り込んだ。


「オイ、アンタら、この船でどうしようってんだ?」

「この高エネルギーフィールドを使ってここからワープするんだ」

「行先はどこだ? シュメール星系か? それともヒッタイト星系か?」

「残念だけどどちらも違う、どこに行くのかはオレ達にもわからないんだ」


 最初はワープでこの場から逃げられると思っていたボウトやヴァニラ達だったが、行き先がどこかわからないと聞いた途端、急いで船から飛び降りようとした。


「じょ、冗談じゃないぜ、戦争でドンパチばかりのこの世界だけど、ここから離れるってのは流石に御免だァ!!」

「出してくれ、おれ達をここから降ろしてくれ!!」


 ギギリウムによる高出力エネルギーがフィールドに充填されていく。

 そんな中でボウトやヴァニラ達はエアカーのバギーで外に飛び出した。


 外ではエプシロンの発動させた遺跡が暴走を始めている。

 カメン王国正規軍と反乱軍は小競り合いの真っ最中。


 キリオとフィオナはそんな中、二人で遺跡の外に脱出したようだ。


 本当にここは戦争と日常が日々隣り合わせの世界なんだな……。


 どうにか外のフィールドにエネルギーが溜まり、オレ達はクエンタ遺跡からどこかにルミナス号ごとワープをした。


 どうやら遺跡からワープした先が、どこかの遺跡とリンクしていたらしい。

 オレ達の前に姿を見せたのは、古代文明に出てきそうな衣装の巫女らしい女性だった。


「おお、これこそは空を飛ぶ船、我らの先祖の言い伝えの白き鯨に違いありません」


 白い鯨?? 今度はいったいどこの世界にワープしてしまったんだ??

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