番外編 宇宙漂流記ルミナス172 パーフェクト・ソルジャー9
ギギリウム溶液の瓶を被ったブルーティッシュウルフの様子がおかしい。
本来ギギリウムは機械の性能を大幅に上げる特殊鉱石だ。
それを液体にしたギギリウム溶液は本編でフィオナがシャワーとして浴びていたようなもので、本来は彼女の身体に悪影響を与えるものではない。
だが、ブルーティッシュウルフに被ったギギリウム溶液は、本来の摂取量を超えたもので、薬でも本来の摂取量を超えると毒になるようにこのギギリウム溶液はブルーティッシュウルフならびにその中にいるフィオナを蝕む形で状態異常を起こしているのだ。
「ギャァァァァアアアッ!!」
苦しむフィオナは敵味方関係なく銃を乱射しだした。
オレ達はそれを避ける為、バギーでクァン・ユゥ―のATにパイルバンカーを打ち込んだまま走り抜けた。
このまま行けばカメン王国の遺跡だ。
そこの近くにルミナス号を着陸させているから、そこまで戻れればこのややこしい騒乱の世界から脱出することもできるだろう。
フィオナのブルーティッシュウルフにハチの巣にされたクァン・ユゥーは這う這うの体で逃げ出した。
その後、その場に現れたキリオ、そしてフィオナの機体とキリオの肩の赤いATが対決した。
白熱迫る攻防戦の末、決着はつかず、フィオナはその場から撤退した。
それを追いかける形でキリオは彼女を追った。
一方、クァン・ユゥーは密林を抜けて逃げ出すことに成功した。
だが、逃げ出した先に待ち構えていたのはルシャットだった。
「ひっ、ひいいいえええっ。た、頼む、見逃してくれ! 金ならいくらでもやる、いや、女か? それとももっと……」
「お前は正真正銘のクズだな」
ルシャットが満身創痍のストライクトータスをむんずとつかみ上げ、そのまますぐそばの崖の方に向かった。
「た、助けてくれ、助けてくれぇー」
「自業自得だ、地獄の鬼相手に交渉するんだな」
ルシャットはクァン・ユゥ―をストライクトータスごと崖下に向けて投げ捨てた。
「うぁあああああっ!」
ドローンから見た結果がコレだが、まあ、この結果は本編通りなのであまり触れる話でもないな。
それよりもオレ達はここからさっさと離れないと、ここから移動する事すらできない。
幸いカメンの遺跡にはクエンタ文明の遺跡があるんだが、これが本編でも高エネルギーの収束装置になっていたので、そこに行けばこの世界からワープする事も可能だろう。
オレ達はメーテルリンク、ボウト、ヴァニラ、ココア、それにマルコ達を乗せたバギーでルミナス号の所に向かった。
ルミナス号に到着したオレ達は中に入り、ルミナス号をカメンのクエンタ遺跡の中心部に着陸させた。
どうやらこの広い場所、ここは何かの儀式に使われた場所のようだな。
オレのカンではココはワープ装置のような気がする。
だが、肝心のワープをさせるためには何かが足りなそうだ。
ボウトはルミナス号とMVを見て驚いている。
そりゃあ全高4メートル少しのロボットの世界に10メートル以上の大きさのロボットが出現したら誰だってこうなるわな。
「た、頼む、あの巨大なATを売ってくれ、金ならいくらでも出す!!」
ボウトはウィンセルを見て何が何でも欲しくなったようだ。
だがそんなことを言っている間にオレ達は反乱軍、正規軍どちらにも囲まれてしまったようだ。
「あの巨大な船はウイズマンの遺産に違いない、何が何でも手に入れるのだ!」
「ウイズマンの遺産は我らカメン正規軍の物だ、手出しは許さん」
あーあ、最悪の結果になってしまった。
これだけ戦乱ドンパチの酷い世界で両方の陣営に目をつけられてしまうなんて。
そんな最悪の状況下で悪い事は重なるものだ。
キリオとフィオナのATは何かにおびき寄せられるようにこの遺跡に引き寄せられてしまったらしい。
そして、さらにそこにもう一人謎の人物が遺跡の奥から姿を現した。
どうやら白い髪の男のようだ。
「アレは……」




