番外編 宇宙漂流記ルミナス170 パーフェクト・ソルジャー7
ブルーティッシュウルフとフィオナ、これは虎に翼というくらい最悪の組み合わせだ。
以前やったプレイターミナル2のメタルズ無双でコイツと出くわした時に何回ゲームオーバーになったか。
だがそれはゲームの設定がチートだったというよりは、本編そのものの動きをゲームに再現したら全く攻撃が当たらずに相手の攻撃はまるで避けられないというとんでもないものだった……。
よりによって、今オレ達の前にいるのはそのフィオナの乗ったブルーティッシュウルフというわけだ。
まあここで下手に攻撃を仕掛けなければオレ達はただの避難民とみなされるだろうからここはそのままやり過ごさせてもらおう。
フィオナはパーフェクト・ソルジャーと呼ばれる最強の兵士だが、プログラムで動いているかのごとく、民間人には攻撃しないように通達されている。
それは優しさというよりは、下手に軍上層部からすると民間人を敵にして反感を買わないための策なのだろう。
長きにわたる戦争でヒッタイト軍のたどり着いた結論は、いかに民間人に犠牲を出さずに軍に協力させるかといったところだ。
その上でも下手にフィオナ、つまりパーフェクト・ソルジャーに民間への攻撃をさせると後々の軍の物資調達や兵員の導入に支障を来たすと見たのだろう。
つまり、ここで下手にフィオナを攻撃しなければオレ達は無事にここを潜り抜けることが出来るってわけだ。
「あの機体は! 隊長の……小隊全員の仇だ、こんなとこで見つけることができたなんて」
え?? メーテルリンクさん。頼むからいらない事しないでください……。
だが、オレの望みも虚しく、メーテルリンクはブルーティッシュウルフに向けて迫撃砲をぶっ放した!
ドゴォォン!
一瞬怯んだブルーティッシュウルフだったが、その後、一瞬の沈黙の後、オレ達の乗るバギーに向けて銃を突きつけてきた。
どうやらメーテルリンクがいらない事をしてくれたおかげで、オレ達はフィオナに民間人を装ったゲリラ部隊だと認識されてしまったようだ。
パーフェクト・ソルジャーが一度戦闘モードになると目の前の敵を全て倒すまで止まらない……マジでこれは終わった………。
「オイバカァー! 何やってんだよぉ! 敵さん怒らせてしまったじゃないかぁー!!」
ヴァニラが甲高い声で叫んだ。
ボウトはバギーから商品や金が落ちないように必死に全身を張って押さえつけている。
ココアはセドリックやマルコと一緒になってパニックで騒いでいる状態だ。
ここで冷静なのはオレだけか。
キリオはルシャットと一緒に街でATに乗って戦闘中なのでこちらに加勢できる状態ではない。
これはマジで万策尽きたんじゃないのか!?
この状況を作ってしまったメーテルリンクはシナップス小隊の敵討ちで頭に血が上っているし、マジでどうすりゃいいのよ?
仕方ない、ここはどうにかメーテルリンクをなだめてここをバギーで切り抜けるしか無さそうだ。
だが成功の確率はかなり低い。
そんな運の悪い時には運の悪い事が重なるものだ。
今度はアッシリア軍、いや、反乱軍のアンサンブルEX-10の隊長機が姿を見せた。
隊長機って事はクァン・ユゥーかよ、マジで勘弁してほしい。
どうやらクァン・ユゥーは本当にフィオナのいるヒッタイト軍と繋がってたようだ。
「カッハッハハハ、ボウト、良いとこでお前を見つけたよ。ちょうど良い、反乱軍から巻き上げた金はそっくりそのまま返してもらうぞ。どうせ死人に金は必要無いだろう。何、地獄の渡り賃くらいは残してやる……ありがたく思うんだな!」
そう言うとクァン・ユゥーはオレ達のバギーにライフルを突きつけてきた。
マジでこの状況、どう切り抜ければ良いんだ!?
高笑いするクァン・ユゥーのATストライクトータスとフィオナのブルーティッシュウルフがオレ達を狙っていた。




