番外編 宇宙漂流記ルミナス 159 夢色セレナーデ5
あのダ・ラバとストーク・ランドールを同時に倒す方法だが、そう簡単に実行できる事ではない。
まずは水中専用のダ・ラバは海や湖の中ではバリグナー系のB兵器では相手にならないだろう。
実弾攻撃は海中では威力が減る上、ビームやレーザー系の光学兵器は海中で使用出来ない。
リニアレールガンならどうにか攻撃できるかもしれないが、あの水中での敏捷性ではまず攻撃が当たらない。
そう考えるとダ・ラバは地上におびき寄せる必要がある。
こちらの戦力は、ルミナス号とガンセル、それに数機のバリグーンだ。
だがそのバリグーンは正規軍人とはいえエースパイロットではない一般兵かAIが乗っているので、あのダン・ジェム隊にはとても相手にならないだろう。
こちら側の戦力になりそうなのはジャッキーの乗るガンセルとルミナス号、それに練度のあまり高くないパイロットやAIによる操縦のバリグーン数機だ。
この戦力でどうやればあの歴戦のダン・ジェム隊を倒せるのだろう。
普通にやっただけではとても勝ち目はなさそうだ。
そうなると、取れる手段は限られてくる。
ダ・ラバとストーク・ランドール、この二機はそれぞれが戦局を変える程の攻撃力のある特殊MAだ。
つまり、ここにある戦力だけでは力不足だが、この二つをおびき寄せ、お互いに攻撃をさせて同士討ちさせる、それが一番確実に同時に倒せる方法と言えるだろう。
「ジャッキー、ガンセルであのストーク・ランドールを狙ってくれ、こちらはルミナス号でダ・ラバをおびき寄せるから」
「わかった、ストークランドールってあのバイクみたいな変な形のMVの事だな、任せてくれよ!」
……まあ、ジャッキーやセドリックにとっての乗り込み型大型ロボットの総称はMVなので、ここであれはMAだと言っても意味がなさそうだし、話は一応通じているのでそのまま進めておこう。
「頼んだぞ、ここであの二機を同時に倒すんだ」
ジャッキーはワイヤーで釣る形にしながらルミナス号の下部デッキから出て下に向かって砲撃を開始した。
この攻撃は威嚇行為の様なものなので、直接当たればめっけものってとこだ。
だがあの血の気の多いボル大尉ならこれで誘き寄せられるだろう。
案の定ストーク・ランドールは高速で移動しながら砲撃をルミナス号に当ててきた。
かなりの衝撃がルミナス号に響く、だが致命傷では無いので航行には問題は無い。
だがオレはあえてMAYAにルミナス号の調子が悪くなったように斜めに傾けながら低空飛行で操縦してもらった。
それに釣られて陸に揚がって来たのがダ・ラバだ。
バナン大尉のダ・ラバは少し跳躍すればルミナス号を切り刻めると踏んで陸に出てきたようだ。
ルミナス号はここで残り少ないエネルギーを使いバリアフィールドを前面にだけ張った。
後面のストーク・ランドールはジャッキーのガンセルが対応中だ。
地球防衛軍のバリグーンも援護攻撃をしてくれているがまるで攻撃が当たらずに戦力外と言える。
後方からはストーク・ランドール、前面からはダ・ラバ。
ルミナス号はダン・ジェム隊の二人に挟まれる形になった。
「よし、一旦ここでガンセルは内部にしまうぞ!」
ジャッキーのガンセルをルミナス号のデッキに収容し、今はダ・ラバの猛攻を前面のバリアフィールドでどうにか凌いでいる。
そして走ったまま砲撃を続けていたストーク・ランドールはついに防御の手薄なルミナス号の真後ろに貼り付いた。
——よし! 今だっ!!
「MAYA、前面のバリアフィールド解除で一気に上昇してくれ!」
——了解です、バリアフィールド解除、ルミナス号、上昇します。——
「な、なんだぁ!?」
いきなりのルミナス号のバリアが無くなり、一気に攻撃を仕掛けていたダ・ラバは勢い余ってそのまま後方のストーク・ランドールに向かって直進した。
「バッバガッ! ごっぢぐんなぁ!! バカバカバカバカカバッッ!!」
「テメェこそそこをどきやがれェ!!」
ドゴァァーンッ!!
哀れストーク・ランドールとダ・ラバは、お互いの攻撃の直撃を受け、どちらもが大破して戦闘不能になってしまった。
やった! これでダン・ジェム隊の二機を同時に倒せたぞ!!




