番外編 宇宙漂流記ルミナス 157 夢色セレナーデ3
確か、この世界には超大型マスドライバーがあったはずだ。
あの動力源はかなりのエネルギーを使った電力だった。
その電力ならタキオンエネルギーとまではいわなくてもある程度の航行に耐えれるだけのエネルギー波確保できるだろう。
それにこの世界にはライオの父である天才科学者クラート博士がいたはず。
そういった点からもシェーンとライオの会合はミスさせるわけにはいかない。
オレはセドリック達に京都の町でダン・ジェム隊が出てくる危険性について話した。
「つまり、あのテラって建物にいるこの世界の人を守ればいいんだよな?」
「ああ、その通りだ。頼んだぞ、セドリック」
「わかった、任せてくれ」
これだけ長い間一緒にいると、セドリックはオレの行動に意味があると分かってくれているようだ。
まあこの世界の主力兵器MAとルミナス号のMVなら性能的には飛行可能な機体と言う意味ではこちらのほうが有利だ。
幸いダン・ジェム隊のMAは飛行可能な機体が試作機の一体だけで、他は全部地上戦型だ。
一つ難があるとするなら、ダン・ジェム隊のMAはどれもが攻撃力と装甲に性能を全振りしているといったところか。
幸い京都の街には水中用戦型のMAダ・ラバが活躍できる場所が無いのでアレが脅威になる事は無いだろう。
それよりもバイク一体型のストーク・ランドールやダン・ジェム用のデイザムの方がよほど脅威だ。
いくら機動性に特化したMVのウィンセルでもあの一撃を喰らえばただでは済まない。
そこでオレはウィンセルにある装備を搭載することにした。
「セドリック、新しい装備を付けてみたんだ、これを使ってみてくれ」
「これは?」
「小型化に成功させたバリアフィールド発生シールド。まあ、バリアシールドだと思ってくれ。これはルミナス号の船首にあったバリアフィールド発生装置を超小型簡略化したモノなので本来のバリアフィールドの十分の一程度の能力だろうけど、それでも無いよりはよほどマシかと」
セドリックはウィンセルの指を使ってシールドのボタンを押してみた。
するとウィンセルの左手に小型のバリアシールドが発生した。
「これは! コレがあればかなり楽に戦えるね」
「ただしエネルギー消費が激しいので、ずっと発生させるとすぐにエネルギー切れになるから気を付けろよ」
「わかったよ、レイジさん。ありがとう」
セドリックはオレに礼を言ってそのまま京都の街に向かってウィンセルで飛び立った。
さて、ダン・ジェム隊がいらない事をしてこなければいいんだが……。
セドリックとマルコのウィンセルとランセルを見送ったオレ達は地球連合軍基地のある舞鶴を目指す事にした。
そして嵐山を超え、日本海側に向かおうとした時……下の方からまた砲撃がルミナス号を狙ってきた!
「くっ、どうやら偽の認識番号がバレたみたいだ! このままどうにか引き離して舞鶴まで向かわないと」
だがダン・ジェム隊のストーク・ランドールだと思われる機体は、バイクのタイヤ部分を高速で回転させながらピッタリとルミナス号目掛けて追いかけてくる!
こんなとこでアイツ相手にやられるわけにはいかないんだ。どうにかして舞鶴まで逃げ切らないと。
オレ達は高速地上移動のMAを引き離す為、高度を上げ、一旦山の上空の方を目指した。
流石にあの車輪の機体で山の方までは簡単に追いつけないだろう。
そう安心したはずだったオレ達だったが、舞鶴近くに到着したところでまた別の敵の来襲に出くわす事になった。
「ゲッ、何でアイツがここにいるんだよ!?」
舞鶴の港近くに到着したオレ達の前では、地球連合軍の軍艦と一体の水中戦型MAが戦闘中だった。
アイツは……ダ・ラバじゃないか!
そしてさらにストーク・ランドールが迂回路から舞鶴までオレ達を追いかけてきやがった!
前門の虎、後門の狼とは言ったもんか。
さて、この難所をどうやって切り抜ければいいんだ!?




