第八話 巨大獣ガゴンゴ ミザーリンの美しき罠 6
さていつものロボット格納庫。
今回はロボット整備班、ミザーリンの指示が無くて何をしていいのかわからないまま。
ミザーリンはガッダインチームの内部分裂を起こす為に再び地球に降下。
なのでロボット整備班、指示が無くて動けない。
お前ら指示無いと何も動けないの?
仕方ないのでまた俺はマーヤちゃんとロボット制作作業スタート。
マーヤちゃんさっきまで見ていたテレビですっかりなりきり状態。
「上官殿! 自分は何をすればよろしいでありますかっ!」
「そうだな、とりあえずそこのパーツを集めてくれ」
「イエッサー! ボス!」
海外ドラマの――コンバットフォース――に影響されたマーヤちゃん、今日は軍人モードらしい。
さていつまで続くやら。
とりあえずいつものガッダイン5大百科の巨大獣図鑑……。
――巨大獣ガゴンゴ――
全長54.6メートル、重量1700トン
かなりの巨体で中には引火性ガスが詰め込まれた歩くガスタンクみたいな巨大獣。
それもそのはず、この巨大獣の目的は攻撃する事ではなく、攻撃されて大爆発を起こし、北原未来要塞ベースを破壊する為の物。
引火性ガスが全身に詰め込まれている事を知らない流が遠距離攻撃で倒そうとするが、千草や竹千代にあの機体を爆発させれば基地が吹っ飛ぶと聞き、手も足も出せなくなる。
その後巨体で押しつぶすような形でゴロゴロと転がり、ガッダイン5を苦しめるが、メインパイロットを交代した龍也によってマグネティックランサーを身体に受けて穴の開いた場所からガスが外に漏れ出す状態にされ、超電磁ワイヤーで海に放り投げられた後、超電磁スマッシュを喰らい海の上で大爆発を起こした。
何というか、歩くガスタンクってのが物騒極まりない。
まあ以前の毒液タンク巨大獣みたいな物で、今度は毒液タンクがガスタンクになったようなモノだ。
丸い胴体に申し訳程度の手足がついているが、歩くよりも転がった方が速いのでこの手足は亀のように引っ込む。
それでゴロゴロと体当たりしてガッダイン5と戦うのだが、この巨大獣はロボットゲームには未登場だ。
なんせ攻撃シーンがカッコ悪い。
子供の頃テレビでこれを見ていた俺は――カッコ悪ー! と大爆笑していた覚えがある。
何だか作るのにもそれほど力が入らない。
やっぱりカッコよさの無いロボはやられ役としては何だが、いざ自分で作っても愛着が沸かないもんだ。
「ご主人様ー。この子可愛い」
「え? マーヤちゃんこういうの好きなの?」
「ええ、丸々してて何だかユーモラスじゃないですか」
そうか、ブキミーダのヤツ、自分に嫌悪感を持たれないように、マーヤちゃんの好きな物を変なデザインにしてあったのか。
何と言うかそれはそれで返答に困るものがある。
その後どうにか巨大獣を完成させた俺は、シャールケン提督に呼び出された。
「ブキミーダ、ブキミーダはおるか。至急謁見の間に来るように」
「承知致しました。シャールケン様」
そして呼び出された俺はしょーもない悩みを聞かされた。
「うーむ、実はあまり大きな声では言えない事なんだが……エリーザが口を聞いてくれないのだ。心当たりは無いのだが、お前なら何か解決できる方法は無いか?」
もうそれ理由明白だって、どう考えても自分の部屋に用意してもらったテレビを取り上げられた事でヘソを曲げてしまったんだよ!
テレビっ子からテレビ禁止だのテレビ取り上げだのすればそりゃあ拗ねて口もきかなくなるって。
「お言葉ですがシャールケン様、エリーザ様は今何かお悩みなのかと。その気分転換にテレビでもあれば気はまぎれるかと思われます」
「何、悩みだと!? まさか……地球人の男に気を惹かれた等という事はあるまいな!?」
「もしそうだとしたら、早急に手を打たねばなりません。テレビでも見ていればそのような男の事なぞすぐに忘れるでしょう……」
まあこれも適当な詭弁だが、シャールケンなら信じてもおかしくはない。
「そうだな、それではこの部屋に置いたテレビをエリーザの部屋に戻しておけ。そしてここには大型のテレビを設置しろ」
まあどうにか、目の前の問題は解決したようだ。




