番外編 宇宙漂流記ルミナス 155 夢色セレナーデ1
ライバルの銀髪はうろ覚えでした。ヘルメットのシーンが多いし……。
むしろ京都の出てくるロボアニメの話で分かるかなと思ったんですが。
少し落ち着いて考えよう。
オレ達のルミナス号が今いるのは地球の京都だ。
それも有名な竜安寺の石庭ってやつの近くだ。
今竜安寺の石庭にいる銀髪の軍人は……確か、ライオ・クラート、月面帝国ギルノスのエースパイロットで蒼き大鷲と呼ばれているやつだ。
って事は、この世界は飛行戦記バリグナーの世界だ!
——飛行戦記バリグナー——
ポストガンバーグのコンセプトで作られたリアルロボアニメで、三体のB兵器と呼ばれるギルノスの新兵器を偶然手に入れてしまった修学旅行の悪ガキ三人組が戦争にやむなしに巻き込まれていく青春群像劇だ。
当時流行っていた空軍パイロットの映画が参考になっているらしく、空戦特化型の飛行可能なロボット兵器(MA)による空中戦の描画に定評のある作品だった。
この話で京都に来た主人公達と敵のエースパイロットのライオが出会うシーンがあったが、ちょうどそのタイミングだったようだな。
地球に降りた主人公のシェーン・アオバ達は重慶の地球連合軍基地に向かう途中で日本に立ち寄る。
そこに待ち受けていたのがギルノス宇宙軍から反乱分子の容疑で東方戦線に左遷されたライオだったというわけだ。
だが、その漁夫の利を狙ってギルノスの廃棄物と言われたダン・ジェム大佐のダン・ジェム隊がシェーン達を京都で待ち伏せしているのだ。
この話はダン・ジェム隊の初登場の話だったのだが、作品のイメージに合わないようなヒャッハー! な連中が入って来たのはリアル路線だけでマンネリ化してきてて視聴率が低迷した為とも言われている。
幸いオレ達のルミナス号はまだ地球側にもギルノス軍にも見つかっていない。
今のうちに早くこの場を離れた方が良さそうだ。
だが! どうやらオレ達のルミナス号は既にダン・ジェム隊に把握されていたようだ!!
京都の山中、多分嵐山の辺りと思われるが、その辺りから上空目掛けてビーム砲が放たれた。
「危ないっ!」
スターリングの操舵のおかげでルミナス号はとっさのところでビーム砲を回避する事が出来た。
だが、今のエネルギーがほとんど尽きている状態のルミナス号では電磁バリアを張る事も出来ない。
このままではビームの直撃を受けてしまうだろう。
くそっ、どうにかしてここを離れた方が良さそうだな。
ここからなら琵琶湖に向かってそこで潜った方が良いかもしれない。
だがそれではライオとシェーンが竜安寺で会う話に間に合いそうにない。
そうなるとやはり、無理をしても京都は離れるべきでは無いのだろうか。
そんな事を考えていたオレだったが、ビーム砲の攻撃はその後すぐに途絶えた。
一体何故だろうか……?
だが、その答えはすぐにわかった。
どうやら発進信号の周波をキャッチしたMAYAがギルノス帝国軍の新兵器の物だと偽装して発進した為のようだ。
だが、それが偽装だとバレるまでは時間の問題だろう、よりによってパスコード認識番号12345678は無いだろ……。
まあどうにか一旦京都の外れにルミナス号を置いて、その後で移動する事にしよう。
さて……一般人の入って来れない場所でここはって場所は……。
オレ達は舞鶴の防衛軍基地を目指す事にした。
その前にシェーン達と会っておいた方が良いな、今後の話的にここで接点を作っておいた方が後々動きやすくなる。
「ここ面白いね、変わった建物が一杯ある」
「ボク、こんなの歴史の教科書でしか見た事無いよ」
「すげーな、木で出来たあんなデカい建物があるなんて」
ルミナス号の子供達は京都の街並みを見て驚いている。
まあコンクリートや金属の建物ばかり見ている子供達にとってこんな木と紙と石で出来た建物ばかりの街は新鮮に映るようだな。
「ジャッキー、マルコ、セドリック、MVは発進できそうか?」
「あまりエネルギーは無いけど、出るのは出来そうだぜ」
とにかく一旦ここの様子を確認した方が良さそうだ。




