番外編 宇宙漂流記ルミナス 154 シリーズ初!? 悪が勝つ7
せっかく立ち去ったはずの大武神フンサイオーを呼び止めてしまったのはドクロマント子爵だった。
「覚悟しろ鉄屑! このドクロマント、貴族の誇りにかけてお前を成敗してやる!」
あーあ、勝てるわけないのにどうしても喧嘩をふっかけるかな?
だから没落したのに、貴族ってプライドだけで生きてるのか?
実は、このヤッテヤルマンのラスボスがドクロマントなのだ。
ドクロマントは、本来はドクロ一族の本家であり、未来でタイムマシンを発明したドクロマントはこのドクロ一族が没落したのが先祖であるドクロスキー家のせいだと確信。
そこでタイムマシンでビジョーヌの元に現れ、遠縁のドクロスキー家だと名乗ってご先祖さまレーダーを渡し、コレナンダーの秘宝を集めさせようとしたのだ。
つまり、ご先祖さまレーダーの指示はドクロマントの自作自演というわけだ。
そしてそのドクロマントの改変した未来がディストピアになってしまう危険性をコンピューターで導き出した未来から、ドクロマントの野望を阻止するためにやって来たのがヤッテヤルマンというわけだ。
計画通りならドクロマントはコレナンダーの秘宝を見つけ出し、世界を征服するはずなのだが、アホなプライドのせいで毎回自滅している。
今回もそれで大武神フンサイオーを怒らせてしまったわけだ。
大武神フンサイオーの額のランプが真っ赤に激しく点滅している。
「何やってんだ、貧乏子爵。ウスラトンカチ怒らせてどうするのよ」
「そうだそうだ、せっかくのアタシ達の芝居が台無しじゃない!」
「そうでまんねん、引っ込めこの唐変木のトントンチキ!!」
あーあーあー、大武神フンサイオーが悪口を自分に言われたと勘違いして激怒モードになってしまったぞー……。
「この悪人ども、やはり反省は口だけか! 怒髪天ッーーー!!!!」
「「「わーっ!!」」」
大武神フンサイオーの手の大弓から巨大な矢が放たれた。
ドゴォーン!!!!
巨大なドクロ型のキノコ雲が吹き上がり、悪だくみトリオとドクロマントがボロボロの姿で吹き飛んで消えた。
まあこれでも死なないのはギャグ作品だからなんだろうか。
悪だくみトリオが消え、ヤッテヤルマンは大武神フンサイオーと共に姿を消した。
そして、ひょっこりと戻って来たのはずぶ濡れのテッペイだった。
「ごめんごめん、海に落ちてしまって、軍人さんに助けてもらったんだ」
「もう、心配したんだからね!」
どうやらアユミはまだこの話ではテッペイがヤッテヤルマンだとは気付かずに終わりそうだ。
そして、ポナレオンとオキルソンの対決は悪だくみトリオ達のせいで水入りになってしまった。
「ポナレオン、今日のところは一旦退こう、だが次は必ず雌雄を決してやる! 首を洗って待っていろ!」
「望むところだ、オキルソン。余は必ずエーギリスを手に入れてみせる!」
どうやら日にちこそ、ずれ込んでしまったものの、歴史は改変されずに済みそうだ。
「あのー、ポナレオンさん。もし良ければ貴方の辞書を貸してもらえませんか?」
「ふむ、良いだろう。お前達は余の命の恩人だ。待っていくが良い」
これでコレナンダーの秘宝が一つ手に入ったのか。
そう思っていると!
なんと、ポナレオンの辞書が開き、中から強烈なエネルギーが放たれた。
どうやらこの辞書にはコレナンダーの秘宝に共鳴するエネルギー感知のギミックが仕込まれていたようだ。
その場所は大西洋の方角、バミューダトライアングルを指し示していた。
これを利用すればワープ可能かもしれない!
オレ達はルミナス号のカモフラージュを解除し、ポナレオン、オキルソンに今までの顛末を説明。
最初は驚いていた二人だったが、話を聞いてすぐに内容を受け入れたのは流石に指揮官というべきか。
オレ達はルミナス号をバミューダ海域に向けて発進した。
テッペイとアユミは修理されたタイムバッシャーで元の時代に戻ったようだ。
そしてバミューダ海域に到着したオレ達は、その強大なエネルギーを使い、ワープする事にした。
——エネルギー充填完了。ワープ開始まで5.4.3.2.1.0.ワープ!!——
ルミナス号はワープに成功、しかし次に行くのはどこやら……。
ワープが完了したオレ達が見たのは、京都だった。
あの砂でできた庭のある寺、何かで見覚えがあるぞ。
オレがドローンで調べた場所にいたのは、寺の境内で座った銀髪の軍人らしい人物だった。
今度はどこの世界に飛んだんだー!?




