番外編 宇宙漂流記ルミナス 146 バトルロボぶっちぎり大逆襲6
高い渓谷の上に立った人物は逆光の中、大きく叫んだ。
「純なる姉弟の心を惑わし、悪の手先に使おうとするウジ虫ども! たとえ人は見逃しても天は見逃さん! 爽やかなる正義の風はいつしか悪を吹き飛ばす。人それを薫風と言う!」
「誰やねん、キサマ!」
「お前たちに名乗る名前は無い!!」
「兄さん!!」
これぞトム・ストームの登場シーンと言えるだろう。
まるで時代劇のような様式美で現れた彼は戦闘用のマスクを出し、高い渓谷から一気に飛び降りて関西弁チンピラロボを蹴り飛ばした。
「ぐべやぁぁつ!!」
「おのれ、トム・ストーム……だが、こちらには人質がいるのだ!」
ディエンドラが人質になっているトロンのいた方向を見ると、そこには切られたロープだけが残っていた。
「な、いったいどうなってるんだい!?」
「ロープは切らせてもらった」
「な、バルーバイン、お前はガンドラーを裏切るのかい!」
「勘違いするな、俺は正々堂々と勝負がしたいだけだ」
どうやらガンドラー軍団の中でも思想が違うのが色々といるようで、バルーバインと呼ばれた剣士のロボットは人質を嫌がる正々堂々とした武人らしい。
「その構え、まさか……天空真奧拳! 馬鹿なっ! 天空真奧拳の使い手は俺達以外には残っていないはず、まさか……お前は!」
「トム・ストーム、相変わらずの甘さだな。だが、その甘さが命取りとなるのだ!」
バルーバインの鋭い剣技がトム・ストームを襲った。
「剣竜よ!」
だが、トム・ストームは剣を取り出し、それを迎え撃った。
あれはシロノス族に代々伝わる秘剣、剣竜だ。
互角の戦いをしていたバルーバインとトム・ストームだったが、その後ろから何者かが二人を攻撃してきた。
「ぐわっ!」
「誰だ、卑怯者め!」
「なんやなんや、卑怯もラッキョウもあるかい、おどれらまとめて潰したらワイのコマンダーランキング上がるんや、あんじょう往生せいや! いくでぇ、ワイのスーパーでスペーシャルなとっておきや!」
そういうと関西弁チンピラロボは仲間五人と一つの巨大なロボットに姿を変えた。
「地獄から来た男! サタンデモーン6様、参上でっせい!」
トム・ストームとバルーバインはサタンデモーン6に吹き飛ばされ、トム・ストームは立ち上がりながら剣を構えた。
「行くぞ、剣竜! バトル・フォーメーション!!」
トム・ストームが剣を投げて叫ぶと、そこには赤いロボット、テンリュウが姿を現し、トムはその中に収納された。
そして、テンリュウが再び舞い上がると、そこにはさらに巨大なロボットが姿を見せ、テンリュウがその中に収納された。
まるでマトリョーシカ、おっと、以前もこんな合体するロボ見た覚えがあるぞ。
「バイ・ケンドー! 見参!」
トム・ストームは巨大ロボ・バイケンドーに合体し、サタンデモーン6と戦いを開始した。
一方のセイナ達は、どうにかミナとトロンを助け出したが、そこに現れたのはディエンドラとゲルジオスの二人のロボだった。
「おっと、その二人をそのまま連れていかれるわけにはいかないからねえ、さあ、ゲルジオス、頼んだよ」
「ケケケケケ、まあ任せておけ、この妖邪ウェーブで呪いをかけてやろう」
ゲルジオスが手を掲げると、ミナとトロンの二人が苦しみだした。
「さあ、苦しかろう。楽になれたければ、目の前にいるものを殺すのだ」
「ア……ガガ……テキ、コロス」
なんと、二人は呪いで洗脳されてしまい、凶暴な戦闘マシーン・キガイマークⅡになってしまった!
「くそっ、オレっちがなんでこんなメにあうんだ……」
「グレテンダー様、前、前を見てください!」
「あ? ナニがあるってんだぁあああっ!?」
哀れ、這う這うの体でガンドラーの基地に戻ってきたグレテンダーとその部下は暴走したキガイマークⅡに跳ね飛ばされてしまった。




