番外編 宇宙漂流記ルミナス 143 バトルロボぶっちぎり大逆襲3
オレ達の前にいきなり現れたガンドラーのやつは、見るからに悪党ですと言わんばかりのガラの悪い奴や、80年代の不良ツッパリスタイルの今見ると変なデザインの奴だった。
「オウオウオウオウ、そこのヨワっちそうなヤツ、さっさとヒっこんでろ。オレっちはよわいモノイジメはしないんだ」
「ウソつけ、お前、ボクが拾った光る石を横取りしただろ!」
「オウオウオウオウ、クソガキ、それはいつどこでだ? ナンジナンプンナンビョウ、このシロノスセイがナンカイマワったトキだ? オウ?」
この大人気なさ、コイツは本物のバカだ。
子供のロボットにいい年した成体ロボがケンカを売っている。
「3日前のこの先の谷だ! そこでボクが拾った光る石をコイツらの仲間に奪われたんだ!!」
「何だと? クソガキ!」
「オウオウオウオウ、ウソついちゃいけないな。ウソをつくとコワーいおニイさんにボコボコにボコられちゃうよーん」
そう言ってグレテンダーは指の関節をゴキゴキと音を鳴らして子供ロボを脅した。
「オウオウ、テメーら、アレをヨウイしろ」
「がってんです、グレテンダーの兄貴!」
そう言ってガンドラーの下っ端が用意したのは、家の瓦だった。
それを丁寧に10枚重ねて酒場の床に置いたのだ。
「さあ、ミせてやる。オレっちのツヨさをな! ウオォオリョァ!!」
ゴシャンッ!!
グレテンダーは重ねた瓦を10枚拳で打ち砕き、ドヤ顔を見せてきた。
「どうだ、コレがオレっちのツヨさだ! カワラ……オイ、オレっちはカワラナンマイワったんだ?」
「えーっと、グレテンダー様は、瓦を……9枚割りました。流石です!」
「ナン……だと? ゼンブじゃねーじゃねーかよ! イチまいノコってるじゃんかー!!」
どうやらグレテンダーは用意した瓦を全部割れなかったことが悔しかったらしい。
「グオオォリャァー!」
グレテンダーはなだめるガンドラーの部下を殴り、蹴り、投げ飛ばして酒場をめちゃくちゃにして暴れ回った。
「やめましょうよ、お店の人に迷惑です」
「ああっ!ナンだ、このアマァ! オレっちをオコらせてぼこられたくなければダマってろ!」
グレテンダーは酒場にいた女性型ロボに殴りかかった。
だが、それを彼女は軽くかわし、グレテンダーを投げ飛ばした。
「グベェッ!!」
グレテンダーが投げ飛ばされ、一緒にいたガンドラーの下っ端は全員が気を失ったグレテンダーを抱えてその場を逃げ出した。
「お、覚えてろー!!」
まあ典型的な悪党の捨て台詞だな。
グレテンダーを投げ飛ばした女性型ロボに、デレデレになったレッドジェットが声をかけた。
「ア、アンタ強いな。惚れ惚れする強さだぜ。どうだい? オレと一緒に空の旅と洒落込まないかい?」
「そ、そんな。ワタシ、そんなつもりないです。それより、あなた方にお聞きしたいことがあるのですが、トム・ストームという人をご存知ですか?」
「トムだって?」
セイナが何かを言おうとしたのを止めたのはトリプルダムだった。
そして、レッドジェットは女性ロボに尋ねた。
「お嬢さん、トムに一体どういったご用事なんだい?」
「彼は……あの卑怯者は、ワタシのお父さんを卑劣な罠で殺した仇なんです」
「バカなっ! トムがそんな卑怯な事をするわけがない!」
「そうよ、トム兄さんが、そんなわけっ」
セイナ達の反応を見た女性型ロボはセイナの後ろに周り、レーザーナイフを突きつけた。
「動かないで、動いたらこの子がどうなるかわかりません」
「セイナお嬢さん!」
女性型ロボはセイナにレーザーナイフを突きつけながら話し始めた。
「ワタシはミナ。キガイ父さんを卑劣なやり方で殺した仇、トム・ストームを殺す為に旅しているの」
「ま、待て、ミナ。誤解だ! トムがそんな卑怯な事をするわけが無い!」
「信じられないわ。ワタシは旅の占い師に教えてもらったのよ。仇のトムがこの町の近くにいるって」
何やらややこしい話になってしまったようだな……。




