番外編 宇宙漂流記ルミナス 142 バトルロボぶっちぎり大逆襲2
「よお、アンタら飲まないのカ? これはこんな場所じゃめったに手に入らない最高級の燃料だゼ」
ロックドリルと呼ばれたドリル型ロボットが缶の燃料を飲みながら鉱石をガリガリと嚙み砕いている。
そうか、この星は機械生命体の住むシロノス星だから、酒場やレストランで出てくるのはこういったものなんだな。
でもオレ達は人間だ。
どう考えてもあんなもん飲み食い出来るわけがない。
「変わったやつらだナ、こんな旨いものめったに手に入らないのにヨ」
どうやらこの酒場で暴れていたガンドラ―のチンピラを彼らが追い払ったのでそのお礼としてごちそうしてもらっているという話らしい。
セイナもやはり機械生命体らしく、燃料をコクコクと飲んでいた。
遠慮なく食えと言われても……こんなもんどうしろってんだ。
オレ達が困っていると、店の奥の方に小さな子供ロボットが何かの木の実を抱えて建物に入ってきた。
「んしょ、んしょ……ねえ、パパ、ぼくこんなに拾ってきたよ」
「なんだなんだぼーず、こんな食えないもの持ってきてどうするんだ? すぐに変な色になって溶けてしまうゴミじゃないか。売り物にならないから捨ててきなさい」
「ちぇっ……」
いや、あれはどう見ても果物か木の実だよな。
確かに機械生命体にとってはゴミかもしれないが、オレ達にとっては唯一の食事になりそうなんだが。
「すまない、坊や、その果物をこっちに渡してくれないか?」
「え? ほんと??」
「おやおや、アンタら変なもの欲しがるんだな」
オレはスキャンした果物をルミナス号のMAYAに分析してもらう事にした。
もし毒でも入っていたら大惨事だからだ。
だが、この果物は栄養価の高い普通のモモかリンゴみたいなものだという分析結果だった。
オレ達はルミナス号の子供の分も合わせ、この果物を譲ってもらう事にした。
だがそれをロックドリルやセイナたちは物珍しそうに見ていた。
まあ、機械生命体にとってこんな有機体の食べ物は変に見えるんだろうな。
腹ごしらえの終わったオレ達は、セイナやトリプルダム、レッドジェット、ロックドリルと話をし、この星にワープでたどり着いたことを伝えた。
「まあ、そうだったんですね。そこにいきなりこのロックが現れてエンジン炉をめちゃくちゃにしてしまったと……」
「お嬢さん、面目ねェ」
「謝るならレイジさんたちに謝りなさい。ロックはいつも先を見ずに突っ込むんだから」
「そういっても、それがバトル族なんだからよォ、仕方ねえじゃン」
どうやらこのシロノス星にはシロノス族、バトル族、ジェット族、岩石族等の機械生命体が住んでいるらしい。
ある意味チェンジフォーマーに似たような世界観と言えるかもな。
そして話を聞くと、セイナ達は超エネルギー・バイリビドーを探して旅をしているらしい。
シロノス族族長の導師シロイは、ガンドラーによって殺され、バイリビドーの在処の載った秘伝書を奪われてしまったらしい。
そしてトムとセイナは天空真奧拳の門下だったロックドリルやレッドジェット、トリプルダム達とシロイの敵を討ち、秘伝書を取り返すために旅をしているという話だった。
酒場で話をしていると、そこに扉を蹴破ってガラの悪い連中が姿を現した。
まるでバンカラの学ランリーゼントの80年代ツッパリのようなレトロな不良スタイルのロボットだ。
「オウオウオウ、ここにオレっちのシャテイをボコしてくれたやつがいるってキいたんだが、それはドコのドイツだ!?」
「何だ、いきなり! 店をつぶしてどうするつもりだ」
「オレっちはグレテンダー、コマンダーランキング……えーっと、3よりウエのカズだから……オイ、オレっちはランキングいくつだ?」
「グレテンダー様は、コマンダーランキング7位です」
「そうそう、コマンダーランキング6イのオレっちがオマエらをボコしてやるためにオレイまいりにキたってわけだ」
なんというか、超絶に頭の悪そうなロボットが現れた……。




