番外編 宇宙漂流記ルミナス 137 宇宙を駆ける王者3
タケルが叫ぶと六機の巨大ロボが一つに集まり、合体を始めた。
ガイアが空に飛び、それを追いかけるように五色の光が一つに集まる。
そしてトールが右腕に、シバが左腕に、アヌビスが右足に、アプチが左足になり、胴体部分のタロスが開き、中の空洞の部分にガイアがすっぽり収まった。
そしてガイアが入ったタロスの前側の体が閉じ、ガイアの頭部がタロスの上にせり出す。
ガイアの頭部を覆うようにタロスの胴体から出てきた巨大な頭部がかぶさり、巨大な六柱合神ロボ・ゴッドアースが完成した。
「ゴッド……アース!!」
完成した巨大ロボは、左右非対称、そしてやたらと線が多く、当時アニメーター泣かせと言われた複雑なデザインだった。
今の時代だと一度作れば3DCGで動かす事はある程度のスキルのクリエイターなら問題ないだろうが、当時にこれを全部手描きで描いて塗っていたというのは、流石に脱帽ものだ。
まあそれゆえにこのロボットゴッドアースは戦闘シーンでほとんど動かなかったので別名不動明神ともいわれている。
必殺技の巨大な剣を構えたスーパーファイナルゴッドアースも剣を構えたポーズの絵を何度も真横にスライドを繰り返し、その後でぶった切った敵のシルエット、そして大爆発とゴッドアースのバストアップといった構成で出来ていたが、アニメーターの負担を減らすためだったとすればそれも手抜きとは言わず仕方ない事かと。
まあこの当時にあった他のロボットも左右非対称の合体スーパーロボットが多かったので合体ロボブームだったからだといえるだろう。
五体のドラゴンが合体する竜帝王ゴードラゴン、ゴッドアースとよく間違えらえる光速超神ゴッドマグマ、それに驚異の十五体合体ロボ・機甲船団ダイバザーXV、どれも左右非対称な上に線の多いロボットだったが当時はよくこんなもの描けたものだと感心する……。
ってそんなロボット談義はさておき、ゴッドアースとエスパーロボ・ゴールザッジが向かい合っている。
「合体しただと! だが、負けるわけにはいかん。ゲース皇帝の命令だ、死んでもらおう。死ねっ、サイコビーム!」
ゴールザッジの胴体からビームが放たれた。
だが、ゴッドアースはびくともせず、まったくの無傷でサイコビームを受け止めた。
まあはっきり言ってこの作品、ロボアニメのはずなのにロボットの戦闘シーンはほぼ二分以内というトンデモ作品だからな、ゴッドアース最強伝説とも言われているほどだ。
ゴッドアースが本編でダメージを受けたシーンは殆ど無く、敵の攻撃を無傷で受け止め、その後はアースファイヤーからの敵の足止め、巨大剣アースフラッシュを呼び出し、それを横に構えてスライド、もしくは縦両手構えからのスーパーファイナルゴッドアースでとどめを刺すのがたいていのパターンだった。
たまに別の技を使うパターンもあるが、それでもファイナルゴッドアースでとどめを刺すのはほぼ確定だ。
「ば、馬鹿な!? ゴールザッジのサイコビームがまるで効かないだと!?」
「おれは地球人として侵略者のお前たちを倒す、行くぞ、アースファイヤー!!」
ゴッドアースの腰のエンブレムからエンブレムの形の炎のビームがゴールザッジに突き刺さった。
「な、動けんっ!?」
「アースフラーッシュ!!」
ゴッドアースの右手のトールの変形した腕に巨大な剣が握られた。
「スーパー……ファイナルゴッドアース!!」
「うううわぁぁああああああっ!!」
ドゴォォオオーンッ!!
哀れエスパーロボのゴールザッジはものの一分も持たずに大爆発を起こした。
この強さ、まるで特撮ヒーロー・グライダーマンの巨大ロボ・レオナルドンだな。
アレもとんでもない強さで最短戦闘記録九秒少しといういまだに破られない伝説を持つ巨大ロボだ。
エスパーロボが大爆発する中、全く動かないゴッドアースは夕日を浴びて輝いていた。




