番外編 宇宙漂流記ルミナス 134 レーザーブルースカイ6
将軍の秘書が反乱軍のスパイという展開は本来の元ネタでした。
路線変更が無ければもっとハードな話になっていたそうです。
反乱軍と地球防衛軍アースフォースは一旦休戦し、地球の侵略者ダーク帝国と共闘して戦う事になった。
敵の敵は味方とはいうが、この展開は本来の路線とも路線変更とも違う流れと言えるだろう。
監視付きとはいえゴッドワルド博士は彼の恩師であるブルーライト博士と和解し、ダーク帝国のピラミッド要塞を倒す方法を考えていた。
「マリリン、君はどちら側で話を聞きたい?」
「えっ!? スタローン将軍……それは」
「もう隠す必要はない。君が反乱軍のスパイだった事は分かっている。だからと言って何かをするというわけではない。むしろ両サイドの現状を知っている君だからこその意見を聞きたいのだ」
「将軍……」
このマリリンが反乱軍のスパイだったという展開は本来の路線変更が無ければ表沙汰になるはずの事だったのだが、本編では物語中盤でゴッドワルド博士の暗殺から反乱軍が瓦解したので最後までこの設定が使われる事はなかった」
「マリリン君、君はよくやってくれたよ。だが、今はアースフォースと戦っている場合ではない、我々の敵はダーク帝国なのだ」
「ゴッドワルド博士……」
どうやら観念したマリリンさんが話すには彼女は以前ゴッドワルド博士の助手だったそうだ。
そして月面反乱軍のスパイとして地球防衛軍アースフォースに入り込み、スタローン将軍の秘書として動いていたらしい。
そして彼女は双方の軍勢にいた所からのお互いの弱点を話した。
「地球防衛軍アースフォースはビデリオンという圧倒的な戦力がありますが、他のロボットの性能が追いついておらず、主戦力はE1E2E3の三機以外に存在しません。その為ビデリオンがエネルギー切れになると脆いと言えます」
流石はスタローン将軍の秘書の立場から見ていただけはある。
マリリンさんは地球防衛軍アースフォースの弱点を的確に指摘していた。
「一方の月面反乱軍は、ビッグベア部隊による戦力はアースフォースに勝るものの、ビデリオンに対抗できるだけのロボットは存在しません。また、ゴッドワルド博士の副官だったアーチやインパルス大佐が功を焦り、毎回博士の完璧な作戦を台無しにしていたと言えます」
まあ、月面反乱軍の弱点は人材不足と資源不足って事だ。
「流石だな、的確に双方のウィークポイントがわかっている」
「む、むう。確かに彼女のいう通りだ。今は地球人同士が戦っている場合ではなさそうだ」
月面反乱軍と地球防衛軍アースフォースはダーク帝国のピラミッド要塞を倒す為、協力して戦う事になった。
オレ達のルミナス号もその作戦に参加し、ピラミッド要塞の近くでバリアを展開し、援護に回った。
「おれ、面白いこと考えちゃったぜ!」
「サトシ、なんだその大量のゴミは??」
「月面にあったゴミの山さ、これをビデリオンでワープしてあの要塞の中に全部プレゼントしてやろうと思ってさ」
「ハ、ハハハハ……なんだそりゃ」
敏の考えたテレポートゴミ捨ては、思った以上にダーク帝国にダメージが大きく、月面の不法投棄ゴミを山盛りでピラミッド要塞に何度も捨てると、流石のダーク帝国のピラミッド要塞も根を上げたらしく月面上空から撤退せざるを得なかった。
また、敏はテレポートで戻ってくる際にピラミッド要塞の内部から風穴を開けたので、そこからは反乱軍のビッグベア部隊とアースフォースのロボットが人質を救出し、シルビアの父親も助け出す事ができた。
「へっ、敵さん尻尾を丸めて逃げるみたいだぜ」
「どうやら我々の勝ちのようだな」
ダーク帝国のピラミッド要塞はワープで姿を消した。
またいつか戻ってくる可能性もあるが、その時は月も地球も一緒に戦えるだろう。
スタローン将軍とマリリンさんの呼びかけで地球政府は月面のゴミ廃棄を撤廃するとゴッドワルド博士に約束した。
そして和解したブルーライト博士とゴッドワルド博士はオレ達の事情を聞き、ワープ装置の点検をしてくれた。
——ワープ開始まで、5.4.3.2.1.0!——
ワープの完了したオレ達のルミナス号は地球のどこかの海辺に到着したようだ。
道路の看板には名勝・明神岩と日本語で書かれているのでどうやらここは日本らしい。
ん? アレは??
何やら長髪の美男子が海辺に打ち上げられている。
どうやらここに漂着してしまったようだが、彼の顔は見覚えがある。
どう見ても地球のものではなさそうな服装の彼は宇宙船から離れてしまった宇宙人なのだろう。




