番外編 宇宙漂流記ルミナス 133 レーザーブルースカイ5
ビデリオンとダリオ・ザバンの一騎打ちが始まった。
地球防衛軍アースフォースとダーク帝国、どちらの戦士もこの二人の対決の間には入れない。
下手に入れば確実に巻き添えでやられるからだ。
ダーク帝国はバギとゾルの二人の兄弟があっという間にビデリオンに敗れたのを見てしまい、手を出せない状態だ。
また、地球防衛軍アースフォースはゴッドワルド博士の反乱軍基地の内部を制圧する為に人員をそちらに回しているのでダーク帝国の方にまで手が回らない状態だ。
敏とダリオの対決は数時間にわたり行われている。
お互い一歩も引かない状態だ。
そして、二人はどちらもが動けないまま数時間向かい合っている。
おや、このシーンは見覚えがあるぞ……。
確かこの後二十四時間お互いが動けずににらみ合っている状態だったな。
でも実際蓋を開けてみれば、二十四時間一睡もせず相手の出方をうかがっていたのは敏の方だけで、ダリオの方はうつらうつらと居眠りをしていたというオチだった。
なんでそんな状態になったのかというと、二人だけで戦うためにお互いが集中できるように周囲からの通信を切っていたため、周りからのアドバイスがなかったからだ。
現に今もビデリオンは強力なジャミングを仕掛けているので誰も彼らに通信ができていない。
さて、どうにか敏に相手が寝ていることを伝えてやらないと……。
しかし、そのためにはいったいどういう方法を取ればいいのか。
オレはあたりを見渡してみた。
すると反乱軍基地に向けて俺が飛ばしたドローンは一匹の長毛種の猫の姿を捉えた。
あれは、ゴッドワルド博士の飼い猫だ。
そうだ、あの猫をちょっと脅かせて敏の視界に入れさせれば、何か状況が変わるかもしれない。
オレはドローンを動かし、猫を脅す感じにビーム砲を威嚇で撃ってみた。
「フギャアァァァッ!!」
ゴッドワルド博士の猫が驚いて飛び跳ね、敏のビデリオンとダリオのダリオ・ザバンの間を大きく飛び跳ねた。
「なっ、ね、猫!?」
「な、何だあれは!!」
お互い猫に気を取られた二人だったが、一瞬早く動いたのは敏のビデリオンの方だった。
「行くぞ、レーザーソードスパイラルアタック!!」
「ぐっ、ま、まさかこんなっ!!」
ビデリオンは両手に構えたレーザーソードを突っ込みながら体を回転させてダリオ・ザバンの機体めがけて突撃した。
「続けてテレポートアタックコンビネーションだ!!」
「ぐ、ぐあぁぁぁっ!!」
ダリオ・ザバンの後部に現れたビデリオンは四方八方にテレポートしながら全方位からダリオ・ザバンを滅多切りにした。
「くそぅ、こんなところで敗れるとはっ、ここは撤退だ!!」
満身創痍のダリオ・ザバンは後ろに大きく飛び跳ね、ピラミッド型要塞の中に退却した。
「やったぜ、ビデリオンの勝ちだ!」
「やったな、サトシ。こちらも反乱軍の鎮圧に成功した」
ジャミングが解け、チャーリーの通信を受け取った敏だったが、ビデリオンはそのまま動けなかった。
「やべ、エネルギー全部使い果たしちまった」
「敏、大丈夫??」
「くそっ、シルビアのとーちゃんを助けてやるはずだったのに」
どうやらビデリオンは先ほどの連戦で全部のエネルギーを使い果たしてしまったようだ。
そこに追い打ちをかけるようにモハーベの通信が入ってきた。
「スタローン将軍、大変です!! インパルス大佐が人質を連れてダーク帝国のピラミッド要塞に逃げてしまいました」
「な、何だって!!」
反乱軍の裏切り者はアーチだけでなく、インパルス大佐がいた。
その彼は敗色が濃厚とわかるとダーク帝国の三人とすぐに取引をしたらしく、シルビアの父親達を全員ピラミッド要塞に連れて逃げてしまったようだ。
基地の中で動けない地球防衛軍アースフォースだったが、ピラミッド要塞に攻撃を仕掛けていたのはなんと月面反乱軍だった。
なんと、捕まったはずのゴッドワルド博士は、偽装した反乱軍の兵士達によって基地の外に脱出していたようだ。
「地球防衛軍アースフォースの諸君、私は反乱軍代表ゴッドワルドだ。今私は君達につかまるわけにはいかない。だが、私は君達に協力しよう。今は地球人同士が争っている場合ではないのだ」
「ゴッドワルド君、キミは本気なのかね?」
「お久しぶりです、ブルーライト博士。貴方と会話するのは学会の時以来ですね」
どうやらゴッドワルド博士はこれ以上地球防衛軍アースフォースと争うつもりはなさそうだ。




