番外編 宇宙漂流記ルミナス 132 レーザーブルースカイ4
ダーク帝国の若いエリート兵ダリオ。
彼はリアルな世界からの路線変更で参戦してきたダーク帝国のロボットパイロットだった。
彼の専用機ダリオ・ザバンは主人公機のビデリオンよりシャープなデザインの悪役ロボで、新鋭の当時駆け出しだったメカデザイナーが手がけたものだった。
ベテランのデザインしたビデリオンが複雑なデザインすぎて色の塗り間違いがあちこちで見られたのに対し、ダリオ・ザバンは赤と黒の二色だけなので色カパも無く、デザインもシンプルだったのでかなり良い作画になっていた。
しかし、露骨な路線変更から登場させたイケメンライバルはどうしても浮いたキャラになってしまい、結局は人気には繋がらず昔からの合体変形スーパーロボットシリーズは打ち切り、ロボアニメ製作班はその後チェンジフォーマーの方に回される事になった。
今ビデリオンが戦おうとしているのはそのダリオ・ザバンなのだ。
ダリオと敏は24時間戦った事がある。
24時間一睡もせず、ダリオの出方を見ていた敏に対し、ロボの中のダリオはウトウトしていたというオチの話だ。
敏はそれくらいの集中力の持ち主で、スーパーロボットの主人公に相応しいキャラといえたが、相手のダリオがそのオチだったのも人気に繋がらなかった理由だとも言えるかもしれない……。
「へっ! 敵の中ボスのお出ましか、色違いのハイスコアくらいは出せるんだよな」
「お前が何を言っているかはわからないが、戦うというならあいてになろう! ボクはダーク帝国のダリオだ!」
「ダリオかサビオか知らねえけど、おれと戦おうというなら相手になるぜ!」
「「ダリオ様、あのような地球人ごとき我ら兄弟にお任せください」」
ダリオの専用機の後ろから二機のロボットが出現した。
「我が名はバギ」
「我が名はゾル」
「「地球人よ、我ら兄弟が相手だ!!」
兄弟の戦士は左右に分かれ、左右からビデリオンに攻撃を仕掛けてきた。
「くそっ、コイツら……離れろっ」
兄弟の息のあったコンビネーション攻撃は左右に武器を手渡しながら中に閉じ込めたビデリオンに確実にダメージを与えている。
「フッ、所詮地球人なぞ」
「我らの敵ではない!」
ボロボロにやられる一方のビデリオン、そしてバギゾルの専用機ザバンがビデリオンにトドメを刺そうと攻撃を仕掛けてきた。
「死ね! 地球人め!」
バギとゾルのザバンの右腕から巨大なブレードが出現、一気にビデリオンを串刺しにしようとした!
「今だっ! レーザーテレポート!」
「な。なんだと!?」
「ぐっうわぉぁあっ!」
なんと、トドメを刺されそうになっていたのは芝居で、ビデリオンはほぼ無傷だった。
ビデリオンがボロボロに見えたのは新武装のオーバーバトルギアの部分だったのだ。
ビデリオンはオーバーバトルギアパーツを外し、機体を一気に畳んでパンタグラフのように縮んで攻撃をオーバーバトルギアパーツに集中させたのだ。
そして、ビデリオンはバギゾルの兄弟の攻撃がトドメに一気に中心めがけてブレードを突き刺してくることまで見抜き、トドメの瞬間にテレポートで中央から抜け出したのだ。
「ま、まさか……地球人ごときに、出し抜かれるなんて……」
「不覚……」
バギゾルのザバンはお互いの急所を貫き、大爆発を起こした。
「バギ! ゾル! よ、よくもボクの部下を……! 許さんぞ地球人!」
「おれには鹿島敏って立派な名前があるんだ、地球人じゃねえよ」
「サトシ……か、いいだろう。サトシ、お前はこのボク、ダリオが倒してやる!」
「へっ、侵略者の宇宙人に負けてたまるかよ!」
「ボクの名前は戦士ダリオだ! 宇宙人では無い!」
あらら、どうやらこの二人似たもの同士って感じみたいだな。
ビデリオンとダリオ・ザバンの一騎打ちが始まった。




