番外編 宇宙漂流記ルミナス 128 STAR_SHIP5
グラスマンの竜人ウォーケンが教えてくれたが、ルミナス号のバリアは干渉遮断バリアというものだそうだ。
どうやらこれは悪意のある攻撃をすべて物質、エネルギー関係なく遮断してしまうことができるもので、障壁で攻撃を跳ね返したり受け止めているのとは原理が違うようだ。
つまり、ルミナス号に積み込まれたモノリスに対して敵対的な行動を取った相手の攻撃を異空間に追いやってしまい、ダメージを与えないようにするらしい。
という事は、このルミナス号のバリアって、ただの電磁バリアではなく周りを転移式ワープ装置かブラックホールを搭載しているようなものってわけじゃないか!!
そりゃあ今までにどれだけのピンチになってもルミナス号がほぼ無傷だったってわけだ。
攻撃を食らった時といえばエネルギーが完全に枯渇してルミナス号がバリアを発生できなかった時くらいだ。
「レイジ、君達は我々に協力してもらえるのか?」
「わ、わかった。グラスマンはこの世界でオレ達を助けてくれたし、モノリスの事も教えてくれた。そのお礼としてアンタ達のいうように囮になってやるよ」
「それは助かる。君達が囮になっている間に今あの惑星にいるシム・キムスンが仲間達と惑星ロネリゴのソルトナイト精製工場を破壊してくれるはずだ」
なるほど、オレ達はそこにバスコーンの増援を向かわせないようにバリアで囮になってくれというわけか。
まあグラスマンにはバスコーン海賊団からピンチを助けてもらった借りがあるからな。
「それでは作戦開始だ!」
オレ達のルミナス号は惑星ロネリゴに降りようとするバスコーン海賊団の邪魔になる位置に停止し、バリアを発生させた。
降下ポイントを邪魔されたバスコーン海賊団が必死にオレ達を排除しようと集中砲火してきたが、バリアの前には全く歯が立たないようだ、これが干渉遮断バリアの力か……。
一方の地上ではシム・キムスン達が囚人や強制労働させられていた鉱夫達を解放し、バスコーンのソルトナイト精製工業が破壊された。
これで物語が解決するか、と思いきや……シムの同僚のケリスがバスコーンの宇宙船に拐われてしまったらしく、彼はブリティッシュ号でバスコーン要塞に殴り込みをかけようとしている。
だがブリティッシュ号は何度もの激戦で満身創痍、そのまま突っ込めば機体が崩壊しかねない。
オレ達はルミナス号のバリアを展開し、ブリティッシュ号を守る形でバスコーン要塞に突撃した。
要塞内部に入り込んだシムは無事ケリスをガラスの力で助け出したが、要塞と一体化した敵のボス、ヘルマットと対決し、ピンチに陥る。
地面に叩きつけられそうになった彼をウォーケンが助けようとしたが時間的に間に合わない!
そこでルミナス号から短距離ワープでウィンセルごとオレが飛び出し、叩きつけられる寸前のシムを間一髪助けだした。
「ありがとう、アイツは僕が倒す! 少し力を貸してくれ」
シムをウィンセルの掌の上に乗せたまま、オレはヘルマット目指して飛んだ。
ヘルマットのビームがウィンセルに当たる前にグラスの力で遮断された、これが干渉遮断バリアなのか……。
「行くぞ、グラスパワー、フルパワーだ!!」
「グァァァガガガァァァッ、ワシの体が。崩れるっ?」
グラスマンのフルパワー攻撃のエネルギー波を喰らったバスコーンのボス、ヘルマットは色を失い、その場に崩れ出した。
「やった! 僕たちの勝利だ!」
「急げ、早く脱出しないと巻き込まれるぞ」
シム達とオレ達は他の宇宙パトロール隊に助けられて脱出。
そして要塞の中枢システムと一体化していたヘルマットを失い、バスコーン要塞は木っ端微塵になった。
「やったじゃないか! ボウズ!」
見た目のファンキーな爺さんなボビーや大男のバンカーク達が喜んでいた。
これでこの世界の脅威を倒せたのかな。
オレ達は宇宙パトロールにルミナス号の修理とエネルギー補給をしてもらいワープ装置を作動させた。
——ワープ開始まで、5.4.3.2.1.0ワープ!——
ウォーケンが言うようにオレ達にはやる事があるのかもしれない。
でもそうだとすれば、まだしばらくはこの異世界転移が続くのだろうか……。
次にオレ達の到着した場所は……上空に地球の見えるゴミ捨て場??
どうやらオレ達は月のゴミ捨て場に到着してしまったようだ。
確か、月の世界が舞台の作品はいろいろあったかもしれないが、このゴミ捨て場が出てくるという事は……。
「MAYA、ここからパソコン通信接続は可能か?」
——ダメみたいです。何か大きなジャミングの妨害が……。——
パソコン通信と月のゴミ捨て場、となるとここはあの世界に違いない。




