番外編 宇宙漂流記ルミナス 125 STAR_SHIP2
オレ達を助けてくれたグラスマンの男性は、シム・キムスンと名乗った。
彼はSFパトロール・グラスマンの主人公で地球人と異星人のハーフだ。
グラスマンのグラスは惑星リテシアの善の宇宙人が作ったオーパーツで、他の者には作る事は出来ない代物だ。
グラスマンは戦前の米国のSf作家が州警察の権限を宇宙に持たせたらどうなるかのコンセプトで作られた作品だ。
このグラスを持つ者は身体の一部に透明なグラスが埋め込まれており、その力は超能力として発揮される。
このキムスンはそのグラスマンの中でもラストグラスと呼ばれる純正グラスマンの最後の一人だ。
なぜ純正グラスマンが最後の一人かと言うと、それは惑星リテシアがもう存在せず、グラスを作れる者がこの宇宙から消えてしまったからだ。
リテシア人はその危険性を危惧し、ラストグラスは遺伝するようにした。
その為、キムスン以降のグラスマンは生まれながらのグラスマン、つまり遺伝でグラスを持って生まれたグラスチルドレンだと言えるだろう。
グラスを持つ者は善である事を求められる。
それはグラスの力があまりにも強大で、他者を簡単に退かせたり屈服させらる程の力だから。
そして、グラスの持ち主は相手の嘘を瞬時に見抜く事が出来る。
だから彼等には嘘は通じない。
そして彼等も悪をなす事、噓をつく事が出来ない。
もしグラスを持つ者の行為が悪と見なされると、その者はグラスに身体を焼かれてしまうからだ。
また、グラスは他者がそのグラスマンを殺して奪い取ろうとしても、持ち主が死んだ瞬間にボロボロと崩れ落ちてしまうのだ。
だから誰もグラスマンのグラスを奪う事は出来ない。
唯一、グラスマンを恐れもせずに襲って来る者がいる。
それが宇宙海賊バスコーンだ。
バスコーンはかつて母星を追い出された悪のリテシア人達がその科学力を悪に使った連中の慣れの果てだ。
宇宙海賊となったバスコーンと善のリテシア人の意思を継いだ者達の果てしなき戦い、それがSFパトロールグラスマンだ。
この作品はロボは出てこずに超宇宙船ブリティッシュ号がロボの代わりに活躍していた。
まあロボットの概念ができるずっと前の作品である意味キャプテンニュートンみたいなもんだからな。
この世界でウィンセルやランセルのような巨大ロボは珍しいのかもしれない。
「キミ達はどうやらこの宇宙の者とは違うようだね。話さなくてもわかるよ」
さすがグラスマン、オレ達が何も話さなくても事態を把握したようだ。
「もし危険が無いのならそのままここから自由にしてあげたいんだが、どうもこの宙域にはバスコーンの艦船がウヨウヨしてるみたいだからね。ここはボク達に従ってもらうよ。残念だけどキミ達に拒否権は無いから」
この言い方は少しキツイかも知らないが、彼の前には下手なごまかしが通用しないのでこれは仕方がない。
そしてオレ達はブリティッシュ号に先導される形で宇宙パトロールの基地のある星についていく形になった。
流石にブリティッシュ号の強さに恐れをなしたのか、バスコーン海賊団は移動中に姿を見せなかった。
そして、オレ達はルミナス号とウィンセルやランセルといったMVをグラスマンの仲間達に色々と調べられた。
ウィンセルを調べたのは巨大なドラゴン型の宇宙人でどうやら彼もグラスマンの一人のようだ。
バスコーン海賊団についてオレ達が何も知らないというと、グラスマンはオレ達にバスコーン海賊団の危険性について話してくれた。
……だけどいくら嘘や隠しが無いとはいえ、子供達にダイレクトに恐怖を教えるのはどうかなと思う。
実際話を聞いていた子供の中には泣き出してしまっただけで無く、お漏らしをしてしまった子までいたくらいだ。
さて、バスコーン海賊団……一体どんな連中なのだろうか。




