番外編 宇宙漂流記ルミナス 124 STAR_SHIP1
超大型破壊惑星チェンジフォーマーのアンノウンはマトリックスシステムを壊され、ルミナス号のワープシステムで宇宙の果てにワープされた。
これでもう地球に戻ってくる事はないだろう。
まあ戻ってこれたとして数百万年後だとしたら、その時の事まではわからないし……。
「キミ達のおかげで助かった、ありがとう感謝する。ウィンセル」
「あ、あの……ウィンセルはあのロボットの事で、オレはレイジというんだが……」
「そ、そうか。それはすまなかったな、レイジ」
トレーラー司令官とオートロン戦士達は、アンノウンを宇宙の果てに追い払ったルミナス号に感謝していた。
一方のデセプトロン軍はスターストームがステレオウェーブによって鳥形ロボと豹型ロボに嚙みつかれ、マントと王冠がボロボロになっていた。
「か、勘弁してくれッ、オレ様はアンノウンに操られていたんだ、本心ではなかったんだッ!!」
「まったくこのスターストームめが、しばらくそこで頭を冷やしていろ」
「え? オレ様を処刑しないのか!?」
「お前を殺した事でワシに何の得がある? 生きて反省してワシのために働け。それがお前の罰だ」
流石はテラトロンは理想の上司といわれるだけの事はある。
あれだけ手痛い裏切りを受けながらテラトロンはスターストームを許したのだ。
「トレーラー司令官、ここはいったん休戦としよう。どうやらワシらは共通の者に救われたようだな」
「そうだな、ここで下手に客人に不快な思いをさせるわけにもいかないな」
テラトロンとトレーラー司令官がオレ達の方に話しかけてきた。
「わたし達はぜひキミ達にお礼をしたい、わたし達に出来る事を言ってくれ」
オレはMAYAを通し、この世界からワープするためのエネルギーが欲しいと伝えた。
すると、オートロン陣営、デセプトロン陣営の双方からエナジオンキューブが集められ、ルミナス号のエンジンにセットされた。
どうやらこのエナジオンキューブを使えばワープ装置のエネルギーに出来るようだ。
オレ達はチェンジフォーマー達に別れを告げ、ワープ体制に入った。
――ワープ開始まで、5.4.3.2.1.0ワープ!!――
さて、今度も変な世界に飛んだらどうしよう……。
どうやらオレ達がワープした先は、宇宙空間だったようだ。
ここが宇宙だとして、どの宙域なのか……。
ルミナス号に突然攻撃を仕掛けてきた連中がいる!!
あれはっ!? 大型宇宙船?
――どうやらここはアルデバラン星系かと思われます……敵の艦影該当データ無し!!――
アルデバランって、牡牛座かよ。
またずいぶんと遠くの場所に飛ばされたもんだ、というか敵は何なんだ!
「我らバスコーン海賊団。おとなしく投降しろ。なお、命の補償はしない。逆らっても無駄だ、おとなしく運命を受け入れろ」
冗談じゃない、そんな連中に従うなんてまっぴら御免だ!
ってか、バスコーン海賊団って……まさか、ここはあの世界なのか。
バスコーン海賊団といえば、襲った相手を皆殺しにして船を爆破するという最強最悪の海賊団だ。
確か、SFパトロール・グラスマンの敵!
くそっこんなとこでやられてたまるか。
ルミナス号は電磁バリアを展開、どうにかバスコーン海賊団の砲撃を食い止めているが、このままではバリアが破られてしまう。
万事休す、そう思っていた時、俺達の前に助けが現れた。
「そこの宇宙船、無事か? こちらブリティッシュ号、こちらブリティッシュ号。バスコーン海賊団に襲われた民間船を発見、直ちに救助活動を開始します!」
ブリティッシュ号からレーザー砲が発射された。
レーザー砲はバスコーン海賊団の海賊船に直撃、ダメージを受けたバスコーン海賊団の宇宙船はそのまま撤退した。
助かった……。
でもこのオレ達を助けてくれたのが、俺の予想通りだとしたら、ブリティッシュ号に乗っていたのは彼か。
海賊のいなくなった宙域でルミナス号にやってきたのはグラスマンの一人だった。
「僕は宇宙パトロール隊・グラスマンのシム・キムスンです、よろしく」
どうやらやはりここはグラスマンの世界のようだ。




