番外編 宇宙漂流記ルミナス 122 チェンジフォーマー5
トレーラー司令官が爆発する! のネタは有名だが、実際はタイトル詐欺みたいなモノだった。
ナレーターまでもがAパートの終盤でトレーラー司令官が爆発する! と言っていたが、Bパートが始まるといきなりスターストームが攻撃を仕掛けてきて、その当たった攻撃が運がいい事に暴走寸前だったマトリックスシステムを停止させたのだ。
その後医療兵のオートロン戦士に助けられたトレーラー司令官は終盤で何事もなかったかのごとく参戦に復帰した。
つまり、このトレーラー司令官の爆発騒動はマトリックスシステムを停止させれば止まるってわけだ。
そしてスターストームはこの件でトレーラー司令官を結果的に助けてしまった事になり、テラトロンにこっぴどく叱られた。
そしてそのスターストームはテラトロンの命令を無視し、トレーラー司令官を銃で狙っている。
「ヘッ、ここでアイツを仕留めればオレ様がデセプトロンのニューリーダーだッ!」
本編と同じようにスターストームがトレーラー司令官を銃で撃った。
「グゥァァーーーッ!」
「ヘッ、オレ様の栄光のために死んでくれよ」
勝利を確信したスターストームがトムキャット型戦闘機に変形して笑いながら飛び去った。
残っているのはオートロンの戦士達だったが、医療兵が到着するにはまだ少し時間がかかりそうだ。
そして本編と同じ流れとはいえ、あれだけ大量のエナジオンキューブを取り込んだというのは今までにはありえないパターンだった。
流石にオレもあの場所に生身で行くのは自殺行為だ、だがあのままトレーラー司令官を放っておけば本当に爆発してしまう。
オレはセドリックに頼んでウィンセルを貸してもらった。
このウィンセル、子供でも操縦できるようにカスタマイズされているのでオレなら余裕で動かせる。
そのウィンセルに乗ってオレは予備のパイロットスーツを着た状態でトレーラー司令官の元に向かった。
「誰だお前は?」
「待ってくれ、オレは地球人だ。トレーラー司令官を助ける為にここに来た」
「見た事のないチェンジフォーマーだな。お前は何に変形するんだ?」
「いや、このウィンセルは変形はしない」
オレがウィンセルの名前を出した事で、オートロン戦士はオレの名前をウィンセルと勘違いしてしまった。
「そうか、ウィンセル。ところでトレーラー司令官を助けに来たと言っても、もう戦闘が終わってさらに司令官はこのままでは爆発してしまうんだ。来てもらってなんだがもうタイムオーバーなんだよ……」
オートロンチームはまるでお通夜だ。
本編と違い医療兵の到着も遅れているし、エナジオンキューブの過剰摂取に加えてスターストームの攻撃だ、これが爆発に拍車をかけている。
中では新リーダーを誰にするかの話し合いまで始まっているくらいだ。
どうやらその話の中では続編や映画と同じラディウスがリーダーに、アルティマ・マキシマムが副官になるようだ。
このアルティマ・マキシマムだが、トレーラー司令官とは別の意味でのネタキャラ筆頭だ。
彼はファミリードライブゲーム屈指のクソゲー、トレーラーの謎の主役だったのだがこのゲームは開始直後に見えない弾丸が襲ってくるので当たったら一撃でドカン! つまりアウトになるとんでもゲームだった。
まあ、こんなゲームの話はオレより詳しいやついるかもしれないからここで話すようなもんでもない、それよりもトレーラー司令官を助けてやらないとな。
「とにかくここはオレに任せてくれ。医療兵が来るまでにできる処置はしておく」
「ウィンセルさん、ア、アンタ何者なんだ?」
「まあ、通りすがりのメカニックだとでも思ってくれ」
オレはウィンセルのマニピュレーターを使いトレーラー司令官の胸部を開き、暴走していたマトリックスシステムの動力パイプを外し、別バイパスに繋いで爆発を食い止めた。




