番外編 宇宙漂流記ルミナス 118 チェンジフォーマー1
あの崖から転がり落ちる大型トレーラーはめちゃくちゃ見覚えがあるぞ。
あの赤白のトレーラーは、迷ゼリフのオンパレード無法地帯と言われたトレーラー司令官か。
って事は……ここはチェンジフォーマーの世界かよ!!
——戦え超ロボット軍団チェンジフォーマー——
チェンジフォーマーシリーズの第一弾で、元はバンザイのライバルおもちゃ会社だったタカトミの作った変形ロボシリーズダイクロンとして作られたヤツだ。
ダイクロンはアニメ化企画に失敗し、玩具の版権が宙ぶらりんになったまま米国に不良債権化したものを安値で譲り渡された。
そして、向こうでオリジナルのロボアニメとして、日本からバンザイが貸した竜帝王ゴードラゴンやショーグンファイターズに対抗する為にハズテル社にタカトミが好きに使って良いと譲り渡したところ、パイロットの乗らないロボそのものが意識を持った生命体という扱いの作品にして大ヒットしたのだ。
その後日本に逆輸入され、チェンジフォーマー、または王者シリーズとして凱旋した作品だ。
オレ達が今いるのはそのチェンジフォーマーの一作目の世界というわけだ。
あのダムの崖から転がり落ちるトレーラー司令官はMAD素材ネタとして有名だ。
「のぉわぁぁああー!!」
あの間抜けな叫び声を上げながら転がり落ちるのをエンドレスに繰り返す動画が動画サイトで公開されるとあっという間に100万再生を突破した。
まあ今はあのトレーラー司令官を助けてやった方が良さそうだな。
「MAYA、トラクタービームって出せるか? あの転がり落ちるトレーラーを地面に叩きつけられる前に引っ張り寄せるんだ」
——この距離だと完全に引き寄せるのは出来ませんが、地面への落下の衝撃を和らげるくらいなら可能です。——
「わかった、頼む」
ルミナス号から放たれたトラクタービームは転がり落ちて地面に落下する寸前だったトレーラー司令官を引っ張り上げ、ゆっくりと地面に着地させた。
「こ、これは? わたしは助かったのか。あの宇宙船は?? 我らの母星のものではなさそうだが……地球製なのか?」
「トレーラー司令官、デセプトロンの飛行軍団が迫っています!」
「わ、わかった! オートロンチーム、出撃だ、チェンジフォーム!」
大型トレーラーが変形して人型ロボになった。
それに続くようにスポーツカーやセダンタイプの自動車が変形、そして空から飛来した飛行機のロボット軍団との戦闘が開始された。
「トレーラー・プライムッ! テメーを倒してオレ様がデセプトロンのニューリーダーになってやるッ! 喰らえッ!」
空から戦闘機がミサイルを乱射、トレーラー・プライムと呼ばれたオートロンの司令官を狙い攻撃した。
だが、トレーラー司令官はそれをエネルギーで作った斧でミサイルを切り払い、ジャンプしてすれ違いざまに戦闘機ロボを攻撃!
「クソッ、このスターストーム様が、こんなことでッ!!」
戦闘機は地面に落下する前に変形し、ロボットの姿に変わった。
「…………」
アレは!? カセットデッキ型のロボットが戦場の端にいる。
オレが子供の頃欲しかったステレオウェーブだ。
少し高めの玩具で、実際のウォークマンのように電池で本物のカセットが回ったやつだ。
そのステレオウェーブが自らのボタンを押し、カセットテープから変形した猛獣が飛び出した。
一方のトレーラー司令官は車型ロボ以外の仲間を呼び出した。
「来てくれ、ダイノロンチーム、戦闘開始だ!」
「俺、ティラノロック、俺、つよい。チェンジフォームする」
トレーラー司令官の呼び出した恐竜型ロボが変形して人型ロボになった。
「よし、オートロン、総攻撃だ!!」
トレーラー司令官の号令でオートロンチームが総攻撃を開始した。
それを沈黙したまま見ているのは、情報参謀のステレオウェーブだった。




