番外編 宇宙漂流記ルミナス 117 アイアンファイター5
ギルベルトことギリーは空中で爆発四散した。
「ギルベルトォォー! ギリィィ!」
ドラクリオ博士が叫んだ。
悪人ではあれど、彼も人間だったのだろう。
弟のサイボーグだったロボが成層圏を目指し爆発した事で涙を流して悲しんでいた。
そんなドラクリオとグラン・フランベの両博士は霧雨影丸に逮捕され、夜のロボット騒動は終了したかと思われた。
だが、ブラックフォックスの目が赤く光り、アイアン28に攻撃を仕掛けてきた!
「な、なぜだ? ブラックフォックス」
「アイアン28、私ハロボットトシテ、オ前ヨリモ優レテイル事ヲ証明スル。コノドビーコソガ世界一ノロボットダト認メサセルノダ」
ドビーはブラックフォックスにアイアン28への攻撃を命令した。
だが、ブラックフォックスの動きが止まった。
「何故ダ? 何故私ノイウ事ヲ聞カナイノダ?」
ブラックフォックスはそのまま動かなくなってしまった。
どうやら、電子頭脳に負担をかけ過ぎたために頭脳が焼き切れてしまい、シュタイン博士の不完全な頭脳コピーが初期化されてしまったようなのだ。
「ソンナ……私ダケデハアイアン28ニ勝テルワケガナイ……」
三つ足のロボットドビーは悔しそうにその場でうずくまってしまった。
そんなドビーに声をかけたのは章太郎だった。
「ドビー、君は素晴らしいロボットだよ。でも正しさが足りなかった」
「何ダト? 正シサダト?」
章太郎はドビーにロボットは弱い人の力になるために活躍するもの、その力は正しく使えば正義になり、悪人が使えば悪の手先になる事を教えた。
「ソウダッタノカ。私ガ勝テナカッタ理由ガヨクワカッタ……」
そして、ドビーとブラックフォックスは国際警察機構に保護され、メンテナンスされる事になった。
ブラックフォックスの動かなくなった電子頭脳はドビーのものとリンクする事で再動し、シュタイン博士の頭脳のバックアップリカバリーも成功したらしい。
「私ハ人間ヲ愚カナ者ダト思ッテイマシタ。シカシ、章太郎サン達ノオカゲデ私ハ再ビ力ヲ取リ戻セタノデス。ソシテ何故シュタイン博士ガブラックフォックスヲ作ッタノカノ理由モワカリマシタ」
ドビーが言うにはシュタイン博士は宇宙帝王と名乗る侵略者の存在に気がついていたらしく、その宇宙帝王と戦うためにブラックフォックスを完成させたらしいのだ。
アイアン28とブラックフォックスは宇宙帝王と戦うために強化される事になった。
そして、オレ達のルミナス号はその戦いに巻き込むわけにはいかないと大崎署長に解放され、どうにか元の世界に戻るワープシステムの研究をドビーの中のシュタイン博士の知識と崎島博士の協力で進めてもらう事になった。
その研究が完了するまではオレ達は崎島博士のお世話になり、ウィンセルやルミナス号のデータを提供する事になった。
研究が終わるまでの数日間は章太郎や崎島博士の娘の鈴子さん達とルミナス号の子供達が一緒に遊んだりしていた。
そして数日後、ドビーと崎島博士のおかげでワープ装置の修復できたオレ達はこの場所を離れる事になった。
「さようならー」
「ガオォォーン!」
「オ元気デ」
「ピッガガガッ!!」
この後章太郎やアイアン28、ドビーにブラックフォックス達に任せれば宇宙帝王を倒すこともできるだろう。
そしてルミナス号はワープに入った。
——ワープ開始まで5.4.3.2.1.ワープ!——
さて今度も変な場所行かなきゃ良いんだが……。
そしてワープ完了後のオレ達は……また地球にいた。
どうやらまたワープ失敗か。
だが地球もパラレルワールドの可能性がある。
サボテンのある荒野っぽい場所に出たオレ達が見たのは……飛行機と車の変形するロボット軍団同士の戦っている場所だった。
そこで目に入ってきたのは、赤と白の大型トレーラーが崖から転がり落ちる姿だった。




