番外編 宇宙漂流記ルミナス 116 アイアンファイター4
フランベ三世はアイアン28に破壊され、残ったのはギルベルトだ。
「フハハハ、このドラクリオ博士の作ったギルベルトはアイアン28やブラックフォックス以上のパワーを持つのだ! 見るが良い。行け、我が弟ギリーよ!」
確かギルベルトはドラクリオ博士の弟であったギリーをサイボーグ化し、メイン操縦機としたロボットだったはず。
詳しくは忘れたが、戦時中に負傷し、瀕死で助からない弟をサイボーグ化した事でドラクリオ博士は各界からバッシングを受けた。
その後、何処ぞとなく姿を消した彼が世界への復讐の為にクロス団に協力してもらい作り上げたロボットがギルベルトだ。
まあ、20世紀らしい時代の闇に翻弄された老人の話というべきなのだろうか……。
ギルベルトがブラックフォックスにパンチを叩きつけてきた。
ブラックフォックスはそれを迎え撃つ形でキックを放つ。
攻撃特化型ロボット同士の対決は激しい肉弾戦を繰り広げている。
あまりの激しさにアイアン28も間に入れないくらいだ。
それにアイアン28は先ほどのフランベ三世との対決でフルパワーを使い切り今はエネルギー不足で動けない。
オレは大崎署長に頼み込み、ウィンセル、ランセルの二機の拘束を解いてもらい、アイアン28のエネルギーを運んでもらうようにした。
そして今はアイアン28のエネルギーを充填中だ。
ギルベルトが高熱の熱戦砲を発射した。
それを迎え撃つ形でブラックフォックスが破壊光線を発射。
お互いのエネルギーが両者の中間で衝突、相殺された。
双方の強さはほぼ互角だと言えるだろう。
「ギルベルト、何をしている! お前は世界最強なのだ、そんなシュタインごときのロボット、蹴散らしてしまえ!!」
ドラクリオ博士が叫ぶ。
その隣にいたグラン・フランベ博士は頭を抱えながらフランベ三世の敗北を受け入れられずにブツブツと何かを呟いていた。
エネルギー充填の終わったアイアン28が戦線に復帰、章太郎が命令を出した。
「アイアン28、ブラックフォックスを助けるんだ!」
「グオオーン!」
アイアン28の目が光った。
そして空を飛んだアイアン28はギルベルト目指し、急降下、そしてギルベルトを持ち上げる形で空に放り投げた。
「な.何だとぉぉ!?」
ドラクリオ博士が叫ぶ。
そして、アイアン28とブラックフォックスが手を組み、協力してギルベルト目掛けて飛んだ。
ブラックフォックスが空中のギルベルト目掛けてフルパワーの破壊光線を放つ!
その光線の放たれた部分目掛け、きりもみ回転のアイアン28が高速体当たりをぶちかました!
ギルベルトは二大ロボのフルパワー攻撃を受けて海に落下。
そして戦闘が終わった。
「そ、そんな……このドラクリオ博士のギルベルトが……アイアン28、あれこそ間違いのない化け物……だ」
落胆したドラクリオ博士。
だが、事態はこの後思いもよらない展開を迎えることになった。
なんと、ギルベルトはまだ破壊されず満身創痍ながら生きていたのだ。
「ギルベルト、もういい。戦いは終わった。さあ、帰ろう」
だが、ギルベルトはドラクリオ博士の言う事を聞かなかった。
「ギルベルト、どうしたというのだ!? なぜ命令を聞かない!?」
ギルベルトはドラクリオ博士の制止を押し切り、最後に残ったエネルギーで空高く飛び上がり、どこまでも高く、高く空を目指した。
「ギルベルト、戻れ! 戻らんか、そのままでは爆発してしまうぞ!!」
それでもギルベルトはパーツをボロボロにしながら空高くを目指した……そうか! 原作で確かギルベルトのメインシステムになったサイボーグ人間ギリーは宇宙飛行士を目指していたんだ。
つまり、今のギルベルトはギリーとして、宇宙に行きたいという願いだけで飛んでいたのか。
「戻れ、戻るんだギリー!! もういい、帰ってこいぃぃ!!」
しかし、宇宙を目指したギリーはそのまま破片を撒き散らしながら宇宙を目指し、最後は大爆発を起こした。




