番外編 宇宙漂流記ルミナス 105 黄金軍団ゴールドタイタン5
タカ君とセンターンの二人はジャイロ・セプターから逃げる為に文字通り手を組んでいる。
というより電子手錠で手が繋がれた状態だ。
そして、センターンはメカ人間のエネルギーであるエネルギウムが怪我した箇所から漏れ出し、弱っていた。
「なぜわたしを助ける? わたしを見捨てて手首を切り外せばお前は自由になれたのに……」
「わからないよ! でも、ここでお前を見捨てたらまるでぼくが血の流れてない冷たいメカ人間と同じになってしまうと思ったんだ」
「人間とは、理解し難い……者だな」
「そりゃそうだろうよ、人間はお前達みたいなデータじゃないんだ」
タカ君はそう言ってエネルギウムのコードをセンターンに繋ぎ、補給を手伝ってやった。
装甲の外皮から漏れていたエネルギウムは装甲部分を応急処置で貼り付ける事で止められたようだ。
エネルギウムを補給して動けるようになったセンターンはその辺りにあった手斧を握り、タカ君の手首目掛けて振り下ろした。
「危ないっ!!」
ゴキィン!
「お前、何故避ける? 手首を取り外して自由にしてやろうとしたのに」
「そんな事できるかよ!」
「おかしなものだ。たかだか手のパーツ一つ、取り外して後で付け直せば何の問題もなかろうに。何故たかだか一つのパーツを惜しむ?」
「ぼく達はお前らみたいなメカ人間とは違うんだ!一度手首を切ったらもう元には戻らないんだよ!!」
センターンは不思議そうな顔をしていた。
そうか、コイツらには情が無いのではなく、パーツは取り替えの効くものという事が常識なのか、だから仲間を見捨てるというよりも、使えないパーツをパージするといったイメージで行動しているのだな。
タカ君はその辺りに乗り捨てていたバギーを動かそうとした。
「クソッ、鍵がなきゃ動かないのか」
「どけ、小僧」
センターンがバギーの電子部分に触れると、バギーはエンジンをふかして動き出した。
「何故? 何故バギーが動いたんだ?」
「わたし達メカ人間は地上のどのようなメカにも働きかける事が可能だ。あの程度のカギ、データの上書きなぞ容易い事だからな」
センターンがエンジンを入れた事でタカ君はバギーを操縦し、ジャイロ・セプターから逃げた。
「小僧、基地に向かえ、場所はわたしが先導する」
コレが罠かどうかはわからない。
だがタカ君はセンターンの誘導するようにバギーをオゴルダ大王の地球侵略基地の一つに向けて走った。
さて.オレのドローンは一旦このバギーのトランクに置いておくとしよう。
幸い発信機さえあれば電源切れていても場所が把握できる。
オレはタイタン軍団にタカ君の居場所を伝えた。
「すまない、みんな……」
ゴールドタイタンの修理はアイシータイタンのフィクサー装置で行われた。
オレも修理を手伝ったが、パーツの受け渡しや溶接、修理中のパーツ固定といったアシスト作業が大半だった。
だがアイシータイタンだけでなくオレが手伝った事でゴールドタイタンの修理は想定したよりも短時間で済ませる事が出来たようだ。
「私はタカ君を助けに向かう。誰か、彼がどこにいるのか知らないか?」
「オレのドローンの発信機を頼りにすれば、センターンとタカ君がどこにいるのかはすぐにわかるぞ」
「そうか、すまない。恩に切る。タイタン軍団出撃だ!」
ゴールドタイタンをリーダーとしたタイタン軍団はタカ君とセンターンを探す為、ドローンの発信機を頼りに出撃した。
一方その頃、タカ君とセンターンはバギーに乗りながらジャイロ・セプターに追いかけられていた。
「急げ、このままでは追いつかれるぞ!」
「そんなこと言っても、くそっーっ、どうすればいいんだよ!!」
タカ君とセンターンのジャイロ・セプターからの逃避行はまだ続いているようだ。




