番外編 宇宙漂流記ルミナス 96 戦え! テクターA1
今回ちょっと元ネタがマニアックかも。
テレビアニメ以外の作品にも参戦です。
オイオイオイ、何だよ何だよ。
今度はB級ホラー映画の世界に転移か??
オレが見ていたドローンからの映像に映っていたのはいかにも80年代といった風景の夜のベッドタウンでサラリーマン風の男がイカかタコの怪物に変貌する姿だった。
アレがモンスターや宇宙人の擬態なのか、それとも犠牲者が怪物化して更なる犠牲者を増やそうとしているのか、それはわからない。
だが、一つ言えるのは……あの怪物が何の罪もない女の子を襲おうとしているということだけだ!
だが、このドローンには武器らしい武器は付いていない。
せいぜいスタンガン程度の電圧を相手にぶつける程度だ。
「キャアアー! 誰か、誰か助けて……」
しかし夜の郊外には誰もおらず、このままではあの娘は怪物の犠牲になるのが確実だ。
何の手出しもできないオレはただ指をくわえて見ている事しか出来ないのか……。
——だが、そんな彼女に思わぬ救いの手が差し出された!!——
「ミサキ! 無事か?」
「え? 貴女……ダレ??」
なんと、少女を救ったのは、スタイルの良い全身スーツのレオタードにプロテクターを着た髪の長い耳の尖った綺麗な金髪の美少女だった。
「シスター・ムラサキの手下ですね! 喰らいなさいっ!!」
なんと、美少女は生身の姿のまま、イカともタコともつかない異形の怪物を素手で殴り飛ばした!
凄いパワーだ、少女の一撃は軟体生物になったはずの怪物を打ち砕き、辺りには怪物の緑色の体液が飛び散った。
「グ……グゲェ……」
怯んだ怪物目掛け、少女は拳を突き立てた。
「テクター……ビィィームゥ!!」
少女の拳から放たれたビームは、イカ型の怪物を跡形もなく消滅させた。
「あ……あの、助けてくれて……あり、がとうござい……ます」
「ミサキ。無事で良かったです」
「あの……貴女のお名前は……?」
「ワタシは、テクターA。貴女を守る為に宇宙からやって来ました」
——そうか! 見覚えがあると思ったらアレはテクターAだ!!——
——戦え! テクターA——
ロボアニメと美少女のコンセプトで作られた映画作品で、B級ホラー映画要素と美少女、ロボットの出てくる作品だ。
宇宙の邪悪な意思ヨグソトースに操られた狂気の女科学者シスター・ムラサキ。
彼女は新たな寄生先として地球を選んだ。
だが、狂気に落ちる前に彼女は残った最後の善の心で美少女アンドロイドと巨大ロボを作り出した。
それがテクターAとテクターロボ。
だが不完全だったテクターロボを動かす生体エネルギーにはもう一人の地球人のパートナーが必要だった。
その適応者に選ばれた少女が真神美崎である。
家族を宇宙人ヨグソトースの犠牲にされた美崎は、家族の仇を取る為にテクターAと共にシスター・ムラサキと戦う事を決意した。
……まあ.何というか、80年代テイスト丸出しの作品だよな。
音楽はバトルヒーローシリーズの渡部天明が手がけていたので非常に特撮ヒーローのような曲調だったのを覚えている。
確か、この後美崎の家族を襲った宇宙人が乗った宇宙船が練馬上空に出現し、地球防衛軍の宇宙戦艦富岳が出撃するも返り討ちの出オチになるんだよな……。
とにかく一旦オレ達はあのテクターAとミサキを助けてやった方が良さそうだが。
「何者ですか! 何処から見ているのです!!」
げっ、カメラドローンの存在に気が付かれた。
テクターAは念波で通信機に話しかけて来た。
——お前達は何者だ? 何故ワタシとミサキを見ている?——
「オ、オレ達は敵じゃない。攻撃する気は無いから、頼むから攻撃しないでくれ。アンタ、あのヨグソトースと戦っているテクターAだろ」
——何故お前はワタシの名前を知っているのですか! アナタはこの星の軍人なのですか!」
あーあ.変な誤解されてしまった。
とにかく一旦テクターAとミサキをルミナス号に呼んだ方が誤解は解けるかもしれないな。




