番外編 宇宙漂流記ルミナス 94 聖戦士の翼6
思った以上に話が長くなりました、この世界の話は次回で決着です。
オーラソルジャー・スラカヴェは三機が縦に並び、一気にルミナス号に襲い掛かってきた。
このままではやられてしまう! だが、ウィンセル、ランセル、ガンセルの三機のMVは、その攻撃を待ち構えた。
「向こうが三機ならこっちも三機、どちらの方がコンビネーション勝ってるかやってやる、行くぞ、ジャッキー、マルコ」
「わかったぜ、セドリック」
「まかせな、サクッとやってやろうぜ」
流石にこれだけあちこちのロボアニメの世界で戦えばあの三人の少年パイロットもいっぱしの強さになるだろう。
今の彼等なら歴戦の戦士が相手でも引けは取らない。
スラカヴェが並んで一気にルミナス号に襲い掛かったタイミングで、ランセルがデッキから飛び降り、スラカヴェの頭部を踏みつけた。
「踏んでっただとぉ!?」
「イナ、何をしている! 敵が前にいるぞ!」
「な、何だって!! ぬぁあっ!!」
ランセルの奇襲に怯んだタイミングにウィンセルのリニアレールガンが炸裂、腕と頭部を失ったスラカヴェは戦線離脱するしかなかった。
「くそっ、イナがやられた! ゼヒ、ここは撤退だ!」
「わかりましたガライティ隊長!」
スラカヴェは這う這うの体で離脱、ルミナス号は無事オーラフォートレス・シキシマを守る事が出来た。
――さて、ダンザイン本編のキョウとイワモト王はどうしているのだろう。
オレ達が周囲を探ると、キョウ達聖戦士はデア・ゲリングの巨体の中に入り込むところだった。
「キョウ、お前達は一体何をするつもりなのだ!」
「イワモト王、おれ達はネルソンに捕らえられたレ・フェアリアのシルフィを助け出してくれと頼まれたんだ! 彼女が捕らえられている限り、ネルソンは地上人を召喚させ続けるだろう」
「そうか、聖戦士よ、無事、シルフィを助け出すのだぞ」
これは本編でもあった内容だ。
だが、キョウ達が助け出そうとしたシルフィはルザール達によって拷問され、命を落としてしまう。
その事を知ったレ・フェアリアの長であるアゴヴァ・ラオンは怒り……オーラフォートレスやオーラクルーザー、オーラソルジャーといった悪しき兵器を全て地上に追放したのだ。
だから下手にアゴヴァを怒らせるわけにはいかない。
何が何でもシルフィを助け出してもらわないと。
「セドリック、マルコ、ジャッキー。頼む、キョウ達を手伝って捕らえられているシルフィを助け出してくれ」
「わ、わかったよ。事情はよく分からないけど、その子を助け出せば良いんだよね」
セドリックはオレのいう事を聞いてくれた。
なんだかんだと言って一緒に何度も死線をくぐってきたオレの事を信頼してくれているのだろう。
ウィンセル、ランセル、ガンセルの三機はデア・ゲリング目指して飛び立った。
「これは……オーラソルジャーとは違う機械人形か、だが……儂らの手助けをしてくれるというのか、コレが翼の導きなのだろうな」
イワモト王がタモンテンに乗りながら感慨にふけっていたが、そこに猛攻撃を仕掛けてきたのはネルソンの乗るデア・ゲリングだった。
「貴様は……ネルソンか! まさか、隣にいるのは……ルザールなのか!」
「アナタ、死んでくださいます? ワタシはアナタの事が大嫌いだったのですわ」
「そうか、儂はそれほどまでに嫌われていたというのか……なあ、ネルソンよ。同じ民族同士で儂を蔑むか……」
「せ、聖戦士を敵にするなど……」
「のう、ルザールの柔肌は温かいよなぁ……」
「ハ……ハハハハッ」
「死ねよァあああああっ!!」
まあそりゃブチ切れるわな。
自分の妻が寝取られた上、命まで狙われたわけだから。
完全にブチ切れたイワモト王は菊花王にオーラをたぎらせて握り、タモンテンの機体でルザールの居る艦橋を切り裂いた。
「確かに儂は余所者……そうではあるがぁああああっ!!」
彼の何とも言えない怒りの矛先はルザールを一瞬で戦場の塵と変えた。
不幸中の幸いか、隣にいたネルソンは剣圧で吹き飛ばされ、軽い打撲で済んだようだ……。
バイスアース上空の戦いはまだ終わらない。




