番外編 宇宙漂流記ルミナス 87 サムライサバイバー4
なんという事だ! エルセインから脱出したバルボラは羅侯の腕にロミア姫を掴んだまま飛び去ってしまった!
羅侯はかなりの速度で飛んだ為、あっという間に姿が見えなくなってしまった。
エルセインに残されたロミア姫の部下達は突如のバルボラの謀反に驚き、たじろいでいる。
「クソッ、バルボラのやつ! ロミア姫をどうするつもりなんだ!」
「リュウ……」
黒魔獅子王に乗ったリュウが羅侯を追いかけようとしたが、獅子王の速さではとても追いつけそうにはない。
「クソッ、見失ったか! 一体どうすればいいんだよ!」
そのすぐ後、獅子王と合体していた竜牙が分離した。
そして竜牙は全速力で走り、空高く跳躍した。
「え? 鳳王……どうなってるの?」
リュウの仲間の紅一点エニーの乗る鳳王が竜牙に呼ばれ、自動操縦で空を飛んだ。
そして、竜牙は両手を広げ、その背中には鳳王が翼を広げて合体、竜牙は紅魔鳳王に合体完了し空を翔けた。
そのあまりの速度に、その場にいた全員があっという間に紅魔鳳王を見失ってしまったようだ。
「何て速さだ……あっという間に見えなくなってしまった」
どうやら空戦特化型の戦闘形態が紅魔鳳王のようだ。
エニーの乗る紅魔鳳王は飛び去った羅侯に追いつき、ロミア姫を発見した。
「見つけたわ、お願い……鳳王!」
紅魔鳳王は羅侯めがけて体当たり!
そしてその手から離れたロミア姫をくちばしでくわえ、その場を飛び去った。
「しまった! まさか竜牙にあんな力があるとは!!」
ロミア姫を取り戻したエニーはエルセイン目指して飛び、無事ロミア姫をエルセインの甲板に降ろす事に成功した。
「やったぜ! 流石はエニー!」
「アタシだって女だてらに戦えるのよ」
ロミア姫を取り返し、安心したエルセインだったが、そこに襲いかかって来たのはバワード長官の乗るフォートレス艦だった。
「薄汚い異星人ども! そしてリュウ、エニー、マック! よくもよくもワシの計画を滅茶苦茶にしてくれたな! 絶対に許さんぞ!!」
フォートレス艦からビーム砲が乱発された。
それは火星軍の味方すら巻き込むフレンドリーファイヤーで、バワードは自らの部下すら巻き添えにエルセインを沈めようとしていた。
流石は超絶不人気悪役の代名詞とも言えるバワードだと言えるか。
「死ね! 死ね! 死ね!! ワシの野望を阻む者らは全てぶっ殺してやる!!」
フォートレス艦の砲撃を受けたエルセインだったが、艦橋に戻ったロミア姫は怯えることもすくむ事もなく気丈な姿勢で立ち続けた。
「皆のもの、決して怯えてはなりません。我等は誇り高きラザリオ星人です。悪に決して屈する事なく、戦うのです!」
このロミア姫、可愛いだけでなく芯の強さもあってそりゃあ当時大人気になるわけだ。
エニーも可愛いけどこの作品はダブルヒロインでもっていたと言える。
……まあ、その分主人公のリュウが空気だったのは仕方ないけど。
ロミア姫はエルセインの艦首を持ち上げ、船の先端にエネルギーを貯めた。
オレ達はルミナス号から通信を拾い、辺りの様子を確認中だ。
そして拾えた音声はロミア姫の乗るエルセインとバワード長官の乗るフォートレス艦のものだった。
「フォトンカノン、準備完了! 姫様、いつでも撃てます!」
「わかりました。デミアン、フォトンカノン、外してはなりません!! 撃て!」
エルセインから高出力エネルギーのフォトンカノンが発射され、バワードの乗るフォートレス艦に撃たれた。
「バワード様、前方から巨大なエネルギー反応です」
「な、ぬぁんだとぉ!! よけろ、よけんか馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」
だがエルセインのフォトンカノンはフォートレス艦の側面に直撃した。
「のわーぁぁぁあ! あれ? 痛く……ない?」
残念ながらフォトンカノンはフォートレス艦の装甲を貫けるほどの威力は無かった。
「お、脅かしおって。こんなこけ脅しでワシを驚かせたとは許さん! そうだ、良い事を思いついたぞ」
どうやら悪知恵に長けたバワードは何かろくでもない事を思いついたようだ。




