第七話 巨大獣オゲゲオ 猛将バルガルの追撃! 6
困った、マジで困った。
この展開は原作と違うのでこの後どうなるかが見えない。
本来なら三島長官の恩情で病院に向かう途中でバルガル将軍のグローン円盤に見つかり、そのバルガル将軍を失脚させるためにグローン円盤に巨大獣オゲゲオで攻撃を仕掛ける巻き添えとしてエリーザ様が瀕死の重傷を負う流れだ。
だが今は、三島長官によるスパイ容疑で護送される途中で、バルガル将軍のグローン円盤がエリーザ様を捕らえている装甲護送車の前に現れた形だ。
ここで下手にオゲゲオを出すわけにも行かないし、だからといってこのまま三島長官に連れて行かれてしまってはスパイとして処刑確定だ。
この流れ……一体どうすれば。
だがその空気を変える予想外の人物が現れた!
「誰だ!? その制服、IDと所属をッ ぐがっ!」
「ごめんなさいねぇ。ちょっと眠っててもらえるかしら!」
護送車に何者かが潜入し、エリーザ様を連れ出した。
「貴女は?」
「はい、今は黙ってて。わたくしは貴女の敵じゃありませんから」
「あれは……ミザーリンだ! どうやら防衛軍の女隊員の服装で変装しているらしい」
ミザーリンはバイクの後ろにエリーザ様を乗せてどこかに走り出した。
「おお、アレは! 間違いないっ。エリーザ様だ。皆の者、決して傷つけるではないぞ、エリーザ様をお守りするのだっ!」
バルガル将軍以下、グローン円盤が大量に出現し、エリーザを乗せたミザーリンのバイクを追いかけた。
「追ってきます、私なんて構わず貴女は逃げてください!」
「残念だけどそうもいかないのよね。だから走るわよっ! 舌噛まないようにね」
ミザーリンがバイクを全速力にして高速道路目指して走り出した。
グローン円盤がそれを追いかける。
なんと、それに加えて防衛隊のファントム戦闘機まで現れた!
「いいか、人質にしようなどと思うな。スパイは即座に射殺しろ」
「了解……です」
何という事だ。
俺が傍受した通信では三島長官自ら射殺命令を防衛隊員に出していた。
そんなに戦争の火種が欲しいのかアンタは!
仕方ない、ここはエリーザ様を守る為に巨大獣オゲゲオを出現させよう!
マーヤちゃん、そろそろ出番ですよ。
「行け、巨大獣オゲゲオッ!」
「ギャガガアアアアアッ!」
鳥のような翼を広げ、宇宙船のポッドから巨大獣オゲゲオが姿を現した。
ここはまだ市街地とは言えない場所だ。
この岬沿いの道でどうにか防衛隊を足止めしなくては!
オレは巨大獣オゲゲオで防衛隊の車をせき止めた。
オゲゲオの巨体に防衛隊が銃で応戦するが全く何の意味も無い。
まるでアルティマンの科学特殊隊と怪獣の戦いを見ているような気分だ。
まあこれでどうにか足止めが出来ればエリーザ様はミザーリンが無事回収してくれるだろう。
そう思っていた時、巨大獣オゲゲオの胸部の下を狙い、防衛隊のファントムから巨大獣オゲゲオ目掛け、ミサイルが放たれた。
なぜそんなに弱点にピンポイントに攻撃できるのか?
「ケカカカカカカ、スパイごと吹き飛べぇ! 隊員など何人消し飛ぼうと構わんわっ!」
だが残念だったな、オゲゲオのその弱点にはもう火薬は入っていない。
何故なら俺の魔改造によってこの巨大獣はすでに動く火薬庫ではないからだ。
「なぜだ! 何故爆発せんのだ!」
三島長官が狼狽えている。
どう考えてもアイツはこの巨大獣の弱点を知っていて、ここを攻撃すれば大爆発を起こすと分かっていたような狙い方だ。
しかし何故三島長官が??
しかもあの笑い方、非常に聞き覚えのある不快な笑い方だ。
三島長官はもっと――わっはっは!――と豪快な笑い方をする人物だった。
これは何かがおかしい。
とにかく今は巨大獣オゲゲオで防衛隊からエリーザ様を守らないと!
そんな風に考えていた俺の前にダインマシンが現れた。
どうやらダインジェットはダインボンバーと既に合体した状態で飛んでいるようだ。




