番外編 宇宙漂流記ルミナス 84 サムライサバイバー1
忍者ではなくサムライでした。
どうやらオレ達の到着した火星は、テラフォーミングの行われた後の未来の世界だったようだ。
そこでオレ達は謎の宇宙船と怪ロボットの戦いに巻き込まれてしまったらしい。
謎の宇宙船はまるで折り鶴を巨大化したような姿をしている。
その宇宙船にまるで中世の中華風な兵士を巨大化したようなロボットの集団が襲っているのだ。
オイオイ、ついて早々戦闘か?
見た感じとしてはどちらに味方した方が正解かと言えば、多分あの折り鶴なんだろうな。
ルッキズムといえばそうかもしれないがロボアニメのセオリーから考えるとあの折り鶴型宇宙船はどう見ても主人公側のデザインだよな。
とりあえずコンタクトを取ってみよう。
オレはスターリングに頼んで折り鶴型宇宙船にコンタクトを取ってもらった。
流石に艦長でないオレが出しゃばるよりはこの方が良さそうだからな。
「こちらルミナス号。こちらルミナス号。応答願います」
「こちらはエルセイン、私はその艦長のロミア・ラザリオです。貴方方は味方なのですか?」
ルミナス号に応答したのは綺麗な品の良い女性の声だった。
「すみませんが僕達は今の状況がよくわからないのです。一体どうなっているのですか?」
「私達は今ガムーブ軍の攻撃を受けています。彼等は私達の敵でラザリオ星を滅ぼした侵略軍なのです」
これで決まったな、どちらに味方するべきか。
「わかりました、ルミナス号は貴女を援護します」
「感謝します、地球のサムライよ……」
「サムライ?」
オレ達はどうやらサムライと勘違いされているみたいだ。
「私達は地球に伝説のサムライを探して参りました。貴方方はサムライではないのですか?」
どうもこのロミアさん、少し天然ボケ入ってるみたいだな。
どこをどう見たらオレ達がサムライに見えるんだか。
「いえ、違います」
「そうですか、私達はいつになればサムライを見つけることができるのでしょう……」
そう言ってもなー、サムライなんて何時代の話なんだよ。
それにそんなサムライが一人いるだけで戦況が変わるなんてそいつはどんな奴なんだ?
「姫様。諦めてはなりません。伝説のサムライが見つかればガムーブ軍ごとき、敵ではありません」
どうやらラザリオ星では伝説のサムライってのが言い伝えにあるようで、それがどれくらいの強さかはわからないが、存在を信じられているようだ。
「ロミア姫、ここは俺たちに任せてくれ、行くぞ! 獅子王」
「そうよ、アタシ達だって戦えるんだから! 鳳王、出るわ!」
「ぼくだって、竜王。行くぞー」
エルセインから三体のロボが発進した。
一つは黒いライオンに金のタテガミの獅子王。
もう一つは赤い翼に白の機体の鳳王
最後の一つは青い姿の竜王だった。
「リョウ、それは伝説のサムライと共に戦った戦士です。その力で是非私達を助けて下さい……」
「わかったぜ、ロミア姫」
サムライの仲間が巨大なロボットだって?
どうやら彼女達の言うサムライとはオレの想像しているものとは全く別物なのかもしれない。
獅子王、鳳王、竜王がガムーブ軍の怪ロボットと戦っていると、そこに火星軍のものらしいロボが現れた。
「ゲッ。アレって……バワードの兵隊じゃねーのか!?」
「アイツ、民間人が襲われてるって時には全く相手にもしなかったくせによ!」
どうやら火星防衛軍のロボはガムーブ軍ではなくエルセインを敵とみなしているようだ。
そして、その銃口はルミナス号にも向けられた。
「ワシが火星軍総指揮総司令官バワード・カジャだ。侵略者の異星人に告げる。大人しく投降すれば命だけは助けてやろう」
コイツ、まさか……ロボアニメ歴代超絶不人気ワースト3のバワード長官かよ!
って事は……思い出した! ここは侍戦士竜牙の世界かよ。
って事はあの最強のサムライ型ロボットが出てくるのか。
——どこからともなく法螺貝の音が聞こえる。
これは、サムライ出現の合図だ!!
そして、凄まじい雄叫びと共に戦場に姿を見せたのは……和風の大鎧を身にまとったサムライのような姿のロボットだった。




