番外編 宇宙漂流記ルミナス 83 疾風ブルーゲル6
こんなとこにICBMを打ち込んできたドナン・キングのヤツもまさか……自分のいるドームに投げ返されるとはとても思わないだろう。
また、この世界で飛行する大型の船なんてものは存在しないのでイレギュラーな存在であるオレ達がミサイルを持ったままドームに落とそうとしたら、ビックリして降参するだろう。
「急がないと時間が無いぞ! はやくその巨大ミサイルをオレ達の船に持ってくるんだ!」
「お、おう……」
「わ、わかったよ、アンちゃん」
ブロンとチンプも一時休戦、ブレーカーやシュガーの連中は衝撃を与えないようにオレ達のルミナス号にICBMを運んだ。
ルミナス号からはロボットアームを伸ばしてICBMをキャッチ。
そしてウィンセル、ランセル、ガンセルが甲板の上で落とさないように電磁バリアの中でICBMを受け取った。
「さあ、コレを持ち主のところに返してやらないとな! MAYA、上空高く飛ぶ事は出来るか?」
——あまり無茶をせず低速航行なら可能です。——
「わかった、それじゃあ頼んだ」
オレ達のルミナス号が空高く飛び上がったのを見て、ブレーカー、シュガー、それにアイゼン・ガングの連中がかなり驚いていた。
まあこの世界のインデントでも空を飛ぶ大型の船を作る技術は失われているから当然だな。
ドナンのドームの上空に到着したオレは、彼らに向けて交渉の通信をした。
「ドナン・キングに忠告する。お前の放ったICBMはオレ達が手に入れた。コレをドームに落とされたくなければ大人しく投降しろ」
流石のインデントのボスもドームにICBMを上空から落下させると聞いて逃げ出すこともできずに投降してきた。
コレでついにインデントの首魁とも言えたドナン一派は敗北を認めたのだ。
まあICBMで全部壊滅させるはずだった奴らが全員生きたままドームに押し寄せれば命は無さそうなので、このICBMはもう捨てて問題無いだろう。
オレ達はICBMを遠く離れた海に捨てて大爆発させてきた。
放射能で汚染されたかもしれないが、元から放射能まみれのこの惑星デラなら問題は特に無いだろう。
オレ達がICBMを捨ててドナンのドームに戻ると、そこにはブレーカーやシュガーの連中、それにアイゼン・ガングの奴らが結集し、ドナン一派を全員捕縛していた。
コレでもう戦いは終わったのだ。
インデントのリーダーであるアストリア・ランスがドームにオレ達を呼び、戦争終結のパーティを催してくれた。
アストリアはインデントの特殊技術でオレ達がこの世界の外に出ても生きていられるような薬を用意してくれたのでパーティは外で盛大に行われた。
さて、洗脳されていたメルチは、アストリアのおかげで洗脳が解け、どうにかアイゼン・ガングの連中と合流。
そしてオレ達は盛大なパーティを楽しんだ後にインデントの技術で作り上げたタキオンエネルギーを補給してワープが可能な状態になった。
「みんな、ありがとう!」
「達者でなー!」
「また会おうぜー!」
「メールーチー!」
「ヘッ、主役はオレだ!」
「どけっ、テメェら!」
みんな思い思いに好き勝手言いながらルミナス号の飛ぶ方向にオレ達を追いかけて走ってくる。
この活力がこの星の強さなんだろうな……。
そして、戦闘ロボ・ブルーゲルの連中がオレ達に追いつかないところまでルミナス号は飛行、誰も見えなくなった所でMAYAはワープを開始した。
——ワープ開始……5.4.3.2.1.0ワープ!!——
さて、次はどこやら……。
どうやらオレ達が到着したのは火星のようだった。
しかし火星がテラフォーミングされている世界って事はどう考えてもオレ達の知っている時代では無さそうだな……。
そしてオレ達の前に見えたのは……折り鶴のような巨大な宇宙船と、その敵と思われる中華風の鎧を着た兵士を巨大化したようなロボットだった。
オイオイ。そろそろ目的地にワープさせてくれよ……。




