番外編 宇宙漂流記ルミナス 81 疾風ブルーゲル4
オレ達のルミナス号を助けてくれたのは超巨大ウォーカービークル形態のアイゼン・ガングだった。
しかしなぜほっかむりがついてるんだ??
アイゼン・ガングの頭部とも言える環境部分には超巨大な布で作られたほっかむりが付けられている。
まあ見た感じまだ雪が残ってるのでアレはカモフラージュのためだったのかも知らない。
どうやらアイゼン・ガングは雪原エリアからロックポイントを目指していたようだ。
確かロックポイントにはインデントの指導者であるアストリア・ランスが囚われていたんだよな。
つまり、アイゼン・ガングがオレ達のルミナス号を助けてくれたのは通り道の偶然ってわけだ。
「ブロン・アロス! 出てこい ぶっ殺してやる!!」
あらあらあら、とてもヒロインのセリフとは思えない物騒なセリフですこと。
「メルチ、目を覚ませ! お前の愛するブロンだよ」
「うるさい黙れ、土まんじゅう!」
メルチは元来の性格か、洗脳されたからなのかわからないがかなり凶暴な言動をしている。
彼女は今ガング・ガングの頭部の一番上に作られたお立ち台に立って指揮している状態だ。
オーミネイズである彼女は外の空気でも特に問題無く生きていられるようだが、それでも銃弾飛び交う中で平気で立っていられるのは恐怖を感じないように洗脳されているからなのだろうか。
アイゼン・ガングとガング・ガングの超巨大ロボット戦をやっている間にどうにかここから脱出しないと。
とりあえずオレ達はアイゼン・ガングに通信を送ってみた。
「こちらルミナス号、こちらルミナス号。応答願います、応答願います!」
「なんだ、お前達はどこの商団のグランドクルーザーだ?」
「オレ達はオーミネイズではありません」
「何だって? それじゃあインデントの連中なのかよ!」
確かアイゼン・ガングの艦長はメルチだったはず。
しかし今メルチが洗脳されているので艦長代理がオレと話をしている。
ロットセットってやつがオレと話をしている。
コイツ結構頭に血の上りやすいタイプだよな。
「いや、オレ達はインデントでもない、もっと別のとこから来たんだ!」
「マジかよ。そんなの信じられねぇぞ!」
まあこの世界の連中に別の星や世界から来たと言っても通じないだろうな。
それより穏健派のアストリアと話をしてどうにか状況を改善しなくては!!
「そちらのグランドクルーザーにアストリアさんはいるのか?」
「テメェ何でそれを知ってる!? やはりテメェらはインデントのブレーカーか!」
あーあ、変な誤解を招いてしまった。
あの瞬間湯沸かし器男をどうやって説得すればいいのやら……。
「おや、貴方方は僕に話があるのですか?」
「アナタは、アストリア・ランスさんですか?」
「ハイ。僕がインデントの指導者アストリア・ランスです」
どうやらアイゼン・ガングの奴らはロックポイントに囚われていたアストリアを助け出した後のようだな。
……って事は下手すると、あのドナンってヤツがアストリアをオーミネイズもろとも消し去る為にICBMを撃ち込んできかねない!!
「アンタ達に伝えたい事があるんだ! このままクロスポイントに行かない方がいい、ドナンが罠を仕掛けているんだ!」
「けどよー、そうも言ってられないみたいだぜ。
見ろよ、周りを全部グランドクルーザーに囲まれてるみたいだ」
「何だって! アレは、デラバイト・エンペラーに、グラン・ギャラン、マジかよ……袋のねずみじゃ無いかよ」
出るわ出るわ、ウォーカービークルにグランドクルーザー、反インデント組織のシュガーにインデントの雇われブレーカー、まさにお祭り騒ぎな総動員。
はて。これで一体どうなるやら……。
それらの大戦力がドナン・キングの狙いでクロスポイントに集められているようだ。
これをどうにかしないとマジで全部ICBMで吹っ飛んでしまうぞ!!




