番外編 宇宙漂流記ルミナス 78 疾風ブルーゲル1
オイオイオイオイ、外に出ると死んでしまう世界って一体どこなんだよ!?
どうやらMAYAが言うには、この世界はオレ達が外に出ると放射能と細菌ですぐに死んでしまうらしい。
――完全に詰んでるじゃねえかよ!!――
どうするんだよ、外に出られなきゃこの世界から移動する事も出来ないんだぞ。
まったく、こんな不毛な世界に飛ばされるなんて初めてだ……。
だが、どうやらこんな世界でも生体反応はあるらしい。
オレ達は外に出ると死んでしまうようなこの世界だが、そんな環境で生きている人類達がいるようだ。
遠くの方に何か人間らしき者達が住む場所がある。
オレはルミナス号からドローンを飛ばし、辺りを探る事にした。
ルミナス号は電磁バリアを張っているのでこの内側ならどうにか無事なのだろうが、電磁バリアの中では流石に人間が生きていられるというワケでもない。
はて、一体どうなる事やら……。
ドローンのカメラの捉えた映像は、この過酷な世界の中で生きる人間達だった。
どうやらオレ達には猛毒でもこの連中にはそれが当たり前らしく、この世界に生きる人間達はこの放射能と細菌まみれの世界で何の違和感も無く生きていられるようだ。
どうやら見た感じ、アイツらは今バザーで集まっているようだ。
マーケットやバザーで集まった連中はロボットや日用品を緑の石でやり取りしているらしい。
何というか……ここはまるで西部劇にロボットが出てくる作品みたいだな。
確か、これはオレも見覚えがある。
えっと……戦闘ロボ・ブルーゲルだったっけ。
――戦闘ロボ・ブルーゲル――
野望渦巻く地の果てで、熱血ブロンとその仲間、父の仇はいずこかと攻め来るマシンをなぎ倒し、ブロン・アロスが暴れる物語だ。
一週間の掟を定めたインデントと呼ばれる支配層とオーミネイズと呼ばれる人民達が生きる惑星デラを舞台にウォーカービークルと呼ばれる日常用や戦闘に使うロボットで逞しく生きる様子を描いた西部劇風リアルロボアニメだ。
――ってことは、ドームの中でしか生きられないインデントがここにはいるはず。
つまり、インデントとは放射能や細菌の中で生きられない旧人類、つまりオレ達と変わらない人間ってとこか。
それならオレ達はインデントのドームに向かった方が良さそうだな。
あのドームの中なら放射能や細菌を遮断した密閉空間のシェルターみたいなものだからオレ達でも生きる事が出来そうだし……。
「MAYA、あのドームの方角に向かってくれ」
――了解です、ドームまで約十キロ少し……大体二十分で到着予定。――
さて、あのドームが穏健派のインデントの住んでいる場所ならいいんだが……まあ、オレ達はアイツ等の言う野蛮人のオーミネイズではないから話は通用するだろう。
オレ達はインデントのドームの入り口近くに到着した。
「すみません。このドームの責任者に話がしたいのですが、誰か取り次いでもらえないでしょうか?」
まあ下手に出ておけばそれほど問題も無く話を出来ると思う。
インデントの強硬派はオーミネイズを野蛮人扱いしているが、オレ達はむしろインデントの方に近い人間だ。
「おお、これは見た事の無いタイプのグランドクルーザーだ。これはこれは非常に興味がありますな。さあ、中にお入りください」
どうやらオレ達の事にこのドームの支配者はかなり興味を示したようだ。
ドームの入り口に透明の遮断壁が下ろされ、オレ達のルミナス号はその地下入口の方からグランドクルーザー用の入り口に通された。
ドームの中は無菌状態で、放射能の心配も無さそうだ。
オレ達はドームの施政官が待つ部屋に通された。
「ようこそお越しくださいました。儂がインデントの代表、ドナン・キングです」
オレ達を出迎えたのは、インデントのボスらしいスキンヘッドの老人だった。




