番外編 宇宙漂流記ルミナス 76 ロンリーストライカー5
オイオイオイ、本編で見たことも無いような敵が出てきたぞ。
このニックってやつとドルフィンってマシン、どこかで見たような気がするが思い出せない。
「ニック、そいつ等にトドメを刺してしまえ」
「……わかった、でもやり方はボクにやらせてくれ」
「いいだろう、確実にコイツらを殺せよ! これは命令だ」
ニックはアルディオン相手に銃を構えた。
「悪く思わないでくれ、ボクにはボクのやり方があるんだ」
ドルフィンの変形したロボットは、アルディオンの肩や足を狙ってきている。
どうやら致命傷を与えるよりは確実に動けなくしてからとどめを刺そうというのだろうか。
オレ達が監視モニターをハッキングしてみている映像からはそう見える。
「ニック、もしコイツらを殺せばお前を宇宙に返してやる、オレはその為のオメガバリア破壊のノウハウを持っているのだからな」
どうやらあのニックというヤツは宇宙人で、地球から宇宙に帰れなくなっているのをあのウェンリーが宇宙に返してやるという条件で用心棒や殺し屋みたいなことをやらせているみたいだな。
「イクシードブロー!」
「グッ!!」
ドルフィンのパンチがアルディオンをかすめた。
しかしかなりの威力だ、かすっただけでアルディオンに衝撃が奔ったらしい。
「やってくれたな、これはお返しだ!」
アルディオンが今度はミサイルを乱射、しかしドルフィンは取り出したサーベルでミサイルを全て切り払った。
「ボクは無駄な戦いをしたくない、大人しく投降するんだ」
「そうもやってられないのよね!」
コウが変形させたスーパーカーでドルフィンの周囲を翻弄するように走り回った。
「無駄な事はしないでくれ、ボクは君達を傷つけたくない」
「そうも言ってられないんでね! 行くぜ!」
スーパーカー形態からロードストライカーの中間とも言えるスタイルに変形したアルディオンは下半身を車のまま、上半身をロボットにしてドルフィンの左側の足と腕にパンチを叩き込んだ。
「グハッ!!」
「悪いな、おれも負けるわけにはいかないんでね!」
ドルフィンは中破し、その場に崩れ落ちた。
幸い爆発はしなかったようだが戦闘不能でもう動けないだろう。
「クッ、クソッ! こうなったらもう最後の手段だ!!
ウェンリーはそう言うと何かのボタンを押した。
「オメガバリアに反応しないように作ったグランドミサイルだ! これでオメガバリア発生装置を破壊してやる!!」
その後、オレ達のいる地域に大きな地震が起きた!
どうやらグランドミサイルがオメガバリア発生装置を破壊したようだ。
「オレは諦めんぞ、空を取り返し……この地球の支配者になるのだ!」
ウェンリーは用意していた飛行機にメイを乗せ、エクスキャリバー社から脱出するつもりだ。
「クソッ、逃さねえぞ!」
だがアルディオンのミサイルを下手に飛行機に当てるとメイまで爆死してしまう。
それなのでコウはビームガンしか撃てなかった。
このままではウェンリーを逃してしまう!
だが、カヤはニヤリと笑いながらオレにエクスキャリバー社のメインシステムコンピュータを操作させた。
「伊達に大手金融システムを破壊して懲役二百五十年の実刑を受けた俺のハッキング能力を見くびらないでほしいな!」
カヤはプログラムをいじり、オメガバリアシステムのプログラムを改ざんしてしまった。
「さて。ここでオメガバリアを再度張ればどうなるかな!」
なんと、カヤは破壊されたオメガバリアを濃度を薄める事で発生装置を一つ無視して再度貼り直してしまったのだ。
飛行機は揚力を失い、静かに落下していった。
これであの飛行機はもう飛べないはず。
——ひょっとすれば、ルミナス号なら電磁バリアを張ればあのオメガバリアの中でも飛べるのでは無いのか?
オレはMAYAに問い掛けてみた。
「MAYA、電磁バリアを張れば飛ぶ事は可能か?」
——やってみないとわかりませんが、多分可能かとは考えられます。——
よし、これでどうにかこの状況を打破出来そうだ!




