番外編 宇宙漂流記ルミナス 68 STEPアドベンチャー1
何だ何だ何なんだ。
オレ達はどこかの田舎の村の連中にルミナス号を囲まれてジロジロ見られているようだ。
まあ何と言うか、日本の昔話アニメにでも出てきそうな藁ぶきの家がたくさんあるここはどう見ても現在の日本や地球じゃないだろう。
それにあの虹のかかるものすごく高い山、アレは見覚えがある。
確か……姉ちゃんが昔好きだったアニメで……魔導機神グランドソード……じゃなかったっけ?
「おぬしら、その船から出て来てもらえんかのう、少し話がしたいんじゃが」
どうやら村の長老夫妻らしい二人組がオレ達に向かって大声で叫んでいる。
ここは取って食われるわけではなさそうなのでいったん外に出てみるか。
オレ達はルミナス号から降り、村の中央の広場に移動した。
「なんぞなんぞ、こりゃあまたけったいな衣装じゃのう」
「じいさま、コレはけったいではなくハイカラというんですわ」
「さすがはばさま、よーしっておるわい」
ここにいる村人がまさに田舎者って感じなのでむしろオレ達の方が浮いている感じだ。
「あの、お婆さん、ここは一体何処なんですか?」
「お婆さんではない、ワシはこの村の巫女、バーバーおばばじゃ。そして隣にいるのがワシの旦那のジージーおじじじゃ。そしてここは階層山のふもとにあるドンドコ村じゃ」
オイオイ、この婆さん、まるで梅干し婆さんって感じでこれが巫女ってのは詐欺だろ。
しかしなんだなんだ、この展開、まるでRPGの最初の村みたいだな。
「おぬしら、救世主タケル様を御存じか?」
「タケル!?」
――そうか、違った! ここはグランドソードの世界で無く、その前番組だった魔神討魔伝タケルの世界だ!!
――魔神討魔伝タケル――
ドラゴンズ・スター等のRPGが流行ったゲーム全盛期にロボアニメとRPGを合わせたような子供向けに作られたアニメだ。
RPGの階層ボスを倒すイメージと、ロボアニメのアクション、それにSD化されたロボのカッコ可愛さで本来のターゲットである子供層だけでなく中高生の女子に大人気になったアニメだ。
ウチの姉ちゃんも漏れなくMUSYAウォリアーズとこれに天空大戦バサラやグランドソードにハマっていたからな……。
そうか、ここがタケルの世界だとするなら、まだタケルは第一階層のボスを倒していないという事か。
ボスを倒せばあの虹の色が本来の輝きに戻るはずだ。
それならどうにかタケル達に追いつけばこの世界の秘密も分かるかもしれない。
それに……そうしないと、この世界から別の世界にワープする方法が見つからない!
「バーバーおばばさん。救世主はタケルって名前なんだな」
「そうじゃ、救世主タケル様はこの世界の龍神池に姿をお見せになり、その後階層山に向かい旅立って行ったのじゃ」
うーむ、龍神池と聞くとどうしても……あの難攻不落の城を攻略する為に浮島の上を渡っていく視聴者参加型バラエティ番組を思い出してしまうな……。
「この村一番の忍術の使い手トモエがついておるからまあ問題は無かろうて、おぬしらも今晩はこの村に泊まってから救世主様の元に行くとよいじゃろう、ワシのお告げではそう出ておる」
そう言われてもすぐにここを出た方が良さそうなんだが、まあここは素直にバーバーおばばさんの言う事を聞いておいた方が良さそうだな。RPGの流れだとよほどの事が無い限りは村人の偉い人のいう事には従った方が良いだろう。
そしてその日の夜、オレとルミナス号の子供達はドンドコ村の村民に歓迎され、食事を出してもらった。
子供達は昔話にでも出てきそうなてんこ盛りの白いご飯を見て驚いている。
ってかオレも久々に白米が食べれるな、ここしばらくの間はずっとパンとかの生活だったからそろそろ米が食いたいと思ってたとこだったんだ
一晩ドンドコ村で休んだオレ達は、階層山を目指したタケル達に会う為、ルミナス号で向かうことにした。
幸いルミナス号はワープエネルギーを使っていないので自力航行は可能だが、この世界でルミナス号のエネルギーを確保できる場所はあるのだろうか……?




