番外編 宇宙漂流記ルミナス 67 地球にプロポーズ5
イースター島に到着したオレ達を待ち受けていたのはイゼリア軍の大軍だった。
「まったくこんなに数が多いといくらバルバック隊でも骨が折れるってもんだぜ」
「ボヤかない、ボヤかない。今頃高木大佐の申請していた量産型ガジェットとキャリバー、タルカスがこちらに向かってるはずだ」
――まあこの作品はリアルロボ系と言われる物なので、軍用機のような量産型が出てくるのもあり得る展開だ。
一騎当千のスーパーロボットとはそこが違う。
だが、このイースター島には今その一騎当千のスーパーロボットまで現れたのだからしっちゃかめっちゃかといったとこだ。
「のう、ボテクール、儂らはなぜ今ここにいるのだ?」
「ドクージャとグッドサイガーが手を組んだのだから仕方あるまい、ワシも今とっておきのロボを出すのだ、行け! 七十二身合体ゴッド・ボテクール!」
オイオイオイ、前回は三十六身合体で今回は七十二身合体って……。
「相変わらず美しくない……」
「またそれか、ワンパターンめ、今度は合体シーンもきちんと用意しておいたわい、ミュージックスタート!」
「儂、何か胃と頭が痛くなってきた。精神安定の薬はどこじゃ」
コイツらがいるとシリアスな戦場でも途端にコントや漫才になるな。
イゼリア軍が唖然としてドクージャの連中を見ている。
さて、今のうちにオレ達はウィンセルやガンセルを使ってイースター島の調査に向かってもらおう。
イゼリア軍はバルバック隊やゴーマージン、ついでにマミーナーサにゴッドボテクールに任せればいい。
しかし流石だな、スーパーロボットの前にはイゼリア軍の手と足の生えた飛行機のような量産型機がポコポコ落とされている。
ゴーマージンとマミーナーサ、それにゴッド・ボテクールが大暴れだ。
バルバック隊も、もうアイツらに任せればいいんじゃないか? って雰囲気だ。
まあ、本来のバルバック隊は戦闘部隊というよりはレスキュー部隊がメインだからな。
それなのでバルバック隊は捕らわれた少年メカニックと男性の救助に向かったようだ。
オレ達もその援護をする感じか。
まあこのドローンを使えば警備兵くらいを翻弄する事は可能だ。
「ジャック、ここは俺がくい止める、お前だけでもさっさと逃げろ」
「だからボクはジョニーですって、ボブおじさんも一緒に逃げてください」
「そうはいかん、このイースター島の遺跡、これをあのイゼリア軍に渡すわけにはいかんのだ。お前だけでも生き延びて地球軍に伝えてくれ……」
二人を銃口が狙っている! 危ない!
オレはドローンをボブの後ろに飛ばした。
すると、銃口から放たれた弾丸はドローンをかすめ、跳弾がボブの足に命中した。
コレがもしそのままだったら、ボブの命は無かったかもしれない……。
「オイ無事か、バルバック隊到着だ!」
「アキトさん、ボクは大丈夫です、でも……ボブさんが」
「二人共ゲンブキャリバーに乗るんだ、この基地はもう危険だ」
「ジョニー、ありがとうよ。俺はお前をまるで息子のように感じたんだ……」
「そうだったんですね、ボブさん」
バルバック隊のアキトのおかげで二人は無事に助け出す事が出来たようだ。
「アキト、凄い事が分かったぞ、ここの遺跡はイゼリア軍の大型のワープ装置を設置された前線基地の跡だ!」
どうやらイゼリア軍はこのイースター島基地のエネルギープラントを利用し、ここの島とコロニーとのワープシステムを作動させようとしていたようだ。
そのワープシステムが発動してしまったのだ。
このままではコロニーごとここに大量のイゼリア軍がワープして来てしまう。
そうなると全面的大戦争は必須だ。
どうにかそれを止めなくては!
今それを止める方法は、ワープエネルギーの無駄遣いをさせる事でのコロニーからのワープを阻止する方法だ、これならオレ達のルミナス号のワープも同時に行える。
「MAYA、あのワープ装置を利用してルミナス号を移動させる事は可能か?」
――かなり無茶ですが、可能だと言えます。そしてそのエネルギーを使えばイゼリア軍のコロニーを地球にワープさせる計画は阻止できるでしょう。――
「ウィンセルとランセルはすぐにルミナス号に戻ってくれ、このイースター島からオレ達は一気にワープする! 急げ、時間が無いぞ!!」
「わ、わかった!」
「了解だ」
イースター島基地のワープシステムが発動開始した、今のうちにこのエネルギーを使いワープを完了させなければ!
「ルミナス号、ワープ!!」
――了解、ルミナス号、ワープまで5.4.3.2.1.0……ワープ!――
すんでの所でオレ達はワープに成功した。
あの地球がイゼリア軍との戦いに勝てるかそうでないか、それはあの残ったバルバック隊達次第と言えるだろう。
オレ達のおかげで戦争が終わるなんて短絡的な話では無いのだ。
――それより……次のワープ先はどこなんだ? なんか虹のかかったものすごく高い山が見えているんだが。しかも虹の色が灰色??
「おお、バーバーおばば、この者達は?」
「はて、救世主様とは違うようじゃが、別の世界から来たのかのう?」
「ドンドコ村のバーバーおばばもわからんとは……この奇妙な大船は一体何なんじゃ?」
オイオイ、ここは何処なんだよ、やたらと昔の日本の田舎の村みたいだけど。