番外編 宇宙漂流記ルミナス 64 地球にプロポーズ2
バルバック隊は、最高責任者の高木大佐に連絡を取ってくれた。
「私が高木大佐だ。何、君達は敵ではないというのだな。それで……ワープ機能のミスでここに到着してしまったと……事情は分かった。まあ君達を一時保護させてもらおう。近くのリード基地で待つ」
高木大佐はダンディなイケおじといった感じの人物で、サングラスに髭の男だった。
「ありがとうございます、高木大佐」
「レイジが日本人で良かったな。おれ達日本語なんて分からないもんなー」
まあ、基本的には翻訳機のおかげで会話が成り立っているが日本人との会話となるとやはりネイティブの日本語の方がきちんと伝わるからな。
「よお、俺達がリード基地まで案内するぜ。俺は玄武彰人、アキトと呼んでくれ」
「シーザー・オライオンだ。よろしく」
「アタシはレイ・タイタニアよ。よろしくね」
日本人、それにいかにも金髪の白人系の男、それにアメリカ人の女性、どうやらこの三人がバルバック隊らしいな。
「オレはレイジ、とりあえずこのルミナス号のメカニックをやってる」
「へえ、メカニックか。それなら是非ともうちの仕事を手伝って欲しい。勿論衣食住は保証するからさ」
まあ、ここにいても敵に襲われるかもしれない、それなら確かに彼等の言うリード基地に行った方が良いだろう。
リード基地に到着したオレ達は高木大佐に迎えられた。
「よく来てくれた、私がこの基地の責任者、高木大佐だ。君達のあの大型船、アレは宇宙船なのかな?」
「はい、アレはルミナス号です。子供達をゼクトニアンの襲撃から逃す為に避難したものの、ワープ機能の故障で目的地に到着出来ず、ここに来てしまいました」
まあこの説明でほぼ間違っていないので嘘は言っていない。
さあ、この後どうすればいいんだろうか。
「事情はよく分かった。まあ君達は基地に荷物を置いたらすぐにここに集合してくれ」
物わかりの良い人物だな、でもいきなり訓練に参加させるとか言われたら流石にオレ達も困るぞ。
……だが、荷物を置いて基地の指令室に到着したオレ達は、いきなりバッグを持たされることになった。
「今日は久々の休日だ。君達も一緒に楽しみたまえ」
え?? 先程までの厳格な指揮官といったイケおじがいきなりアロハシャツに麦わら帽子で姿を見せた。
一体どうなってるんだ??
まあ、どうやら話を聞くと、今日はバルバック隊のお休みの日だったらしい。
そしてリード基地の近くにあるビーチに全員で移動する事になった。
どうやら今はこの地域は夏で全員が海水浴シーズンで楽しんでいるらしい。
しかし、何というか……第一印象と違って、羽目を外している連中の締まりのない顔が何と言うかギャグそのものだ。
シーザーはカメラを首からぶら下げて女の子達をナンパしている。
「ねえ、キミ達。ボクカメラマンなんだけど……是非モデルになってくれない?」
「え-、そんな事言われてもー」
「ねー、いくらわたしたちが可愛いからってー」
何やってんだか、こんな時に敵が攻めてきたらどうするんだ?
「おーい、向こうでフライドチキン買ってきたぞー、海の家に出店がでてるんだ」
え? フライドチキン……? 何だか嫌な予感がする。
フライドチキンと言えば、あの戦国将軍ゴーマージンのボテクールの店じゃないだろうな?
オレは気になったので包み紙を見てみる事にした。
って、やはりボテクールフライドチキンじゃねーか!
――って事は、下手すればここら辺のどこかにゴーマージンがいてもおかしくないな。
オレは一旦ルミナス号に戻る事にした。
「MAYA、この辺りを探ってくれ」
――了解です、この近辺に偵察用ドローンを飛ばしてみます。――
偵察用ドローンはオレが作った物だ。
オレはこれを使い、偵察をするやり方をMAYAに伝えているので、コレで周囲を調べる事が出来る。
……って、この辺りを調べるとやはり近くにゴーマージンが立ったまま置かれていた。




