番外編 宇宙漂流記ルミナス 63 地球にプロポーズ1
オレ達の前で変形した三機のマシン。
それは軍用ジープの変形した黄色とオレンジに緑のマシンと、全身ブルーの角ばったヘリが変形した細型の機体。
それに全体が白と灰色の重戦車の変形したマシンだった。
しかし、何というか……地味だな。
この頃はロボアニメ粗製濫造期と言われてはいるが、この作品もその頃のものだろう。
確か……特務部隊バルバックだったっけ。
——特務部隊バルバック——
突如地球に現れた侵略軍団リベリア星人。
そのリベリア軍に対抗する為に高木大佐の設立した地球防衛レスキュー隊から編成されたバリアブルロボ部隊の名前だ。
これも本編はあまりよく覚えていないが玩具は持っていた覚えがある。
しかし子供にとってはそれほど面白い変形システムではなくすぐに飽きて遊ばなくなったんだよな……地味だし、合体しないし。
まあせめてこの三体が合体して巨大ロボにでもなれば子供の時のオレも見たかもしれないけど、子供には小難しい政治劇やミリタリーの魅力は中々伝わりにくいものだ。
まあそれでもミリタリー好きにはそこそこ人気が高く、ザグザムやメタルズとは違った商品展開で本格的なデザインのパワードアーマーが結構人気あったみたいだな。
そういえば近所の潰れた模型屋がまだ盛況だった頃にこの作品のジオラマを見た覚えがある。
流石に市販品の玩具の色をもっと霞んだ色に塗り替えてたのにはビックリしたけどな。
そういえば本編完結後に見たOVAに何故か戦国将軍ゴーマージンが出てきたのがあったけど、当時は意味わからなかったがどうやら制作会社が同じというお遊びだったようだな……。
——って事は、下手すりゃここであの連中やドクージャの愉快な三人組が出てきてもおかしくないって事か!!
いやいやいや、流石にそりゃねーわ。
もしそうだとしたらもう一体変なロボまで出てきかねない。
えーい、考えてても意味がない。
それよりは今のこの状況を把握しなくては。
「MAYA、何か分析出来たか?」
——それがまだ……ただ、ここが以前ワープした事のある地球のどこかだということくらいまでしか……。——
どうやらここはやはり二十世紀の地球で間違いないようだ。
まあ流石にブルーリカバーやガルディオスは出てこないだろうけど……。
「アキト、アレはリベリア軍の大型飛行基地なのかしらね」
「わからない、とりあえずは高木大佐の指示を待とう」
「そうだな、下手に攻撃をしてハリネズミみたいな反撃をされても困るからな」
ほっ、助かった。
今のところバルバック隊はオレ達の事は様子見のようだな。
ここで下手に攻撃を仕掛けなければ向こうから攻撃してくる事は無さそうだ。
早く通信機器の故障をどうにか修理しないとバルバック隊や高木大佐へのコンタクトも取れない。
「レイジー。どうすんだよ、敵じゃないのかよアレ」
「待ってくれ、あれはどうやら地球人みたいなんだ。この通信機器が修理できたら彼らとコンタクトを取ってみようと思ってるんだ」
「そんな事しなくても、ウィンセルやランセルの通信機なら使えるんじゃないのかよ?」
あっ、そうか。その手があったか。
確かに前の新宿ではウィンセルとかのエネルギーはほぼ使わずにレーザードライフルでの援護射撃程度しか移動してないからエネルギー切れは起こしてないな。
「そ、そうだな。それじゃあランセルのレーダー機能を少し調整して遠方に届く通信用に設定してみるか」
オレはランセルのレーダー機能を調整し、ルミナス号周辺の三体の機体にコンタクトを取った。
「こちらルミナス号、こちらルミナス号。至急最高責任者の高木大佐と連絡を願う。オレはレイジ、地球人だ」
「え? 日本語? アンタ、日本人なのか?」
まあ日本語を話せれば日本人ってのは短絡的な考え方だが、ここは彼に高木大佐との連絡を頼む事にしよう。




