番外編 宇宙漂流記ルミナス 62 シンジュク・スターダストアイズ4
弩邏胡の魂核として取り込まれたマユラ。
そして弩邏胡はルミナス号のレーザーで破壊された黒甲冑を自己修復させた。
「ォオオオオオオッ!!」
「な、何というバケモノ、あれが弩邏胡の真の力か!」
「裏切者の武者共よ……余が弩邏胡、乱世の覇者也……さあ、我が贄となるが良い……」
地の底から響いてくるような低音の声、これが弩邏胡の声なのか!
そして、弩邏胡の目が光り、三鬼将の姿を捕らえた。
「ううぁああああっ! 又兵衛ぇええっ!」
「ぐおおおおっ、辰之進んんーっ!」
「二郎衛門殿ぉおおおーっ!」
なんと……三鬼将は弩邏胡の中に吸収されてしまったのだ。
「素晴らしい世だ、この都のあちこちから心地良い悲鳴と怨嗟、そして飽く事無き底無しの欲望の活力が漲ってくるわ……これなら余の完全復活もそう遅くは無い……」
どうやらあの弩邏胡は人間の欲望や恐怖を力にする事が出来るらしい。
「そうはさせんぞ! 弩邏胡!! オレ達がいる限り、この世を貴様の好きにはさせん」
「ほう、その鎧……貴様ら、武者の末裔か。良かろう、裏切者共々余の贄としてくれるわ!」
弩邏胡が巨大な刀を握った。その刀には骸骨で出来たような鍔と柄が有り、それは見るもおぞましい姿だった。
「魂魄喰餓刀……貴様等の魂までも喰らい、二度と転生できなくしてやろう……さあ、来るが良い……」
「な、何だあのおぞましい刀は!」
「気を付けろ、うゎああっ!!」
弩邏胡の刀の前にMUSYAウォリアーズは手も足も出なかった。
「何と他愛無い、鎧袖一触とはこの事か……さあ、それでは魂魄を食んでやろう……」
「シン! 私の渡したその煌帝剣、それは弩邏胡を倒す唯一の力、閃煌帝の鎧を呼ぶことが出来るのだ! さあ、叫べ。閃煌帝よ此処に在れ! と!!」
錫杖を構えた酒羅が叫んだ。
「閃煌帝の鎧!?」
「今はそれに答えている時間は無い。さあ、叫ぶのだ、閃煌帝よ此処に在れと!」
――閃煌帝! それってあの作中のクライマックスに出てきた黄金に輝く鎧の事か!
確か……あの話って二回放送してしまった放送事故で有名になったんだよな。
でも話題にはなったものの、肝心の玩具は売れなかったってオチだったか。
まあ、あの時代はゲーム機のファミリードライブ全盛期で閃光戦隊ファイトマンの巨大ロボ・グレートファイトも売れなかったから仕方ないか。
唯一売れたのは獣闘士空矢の黄金十二神将のビーストアーマーくらいだ。
いかんいかん、本題から脱線してしまった。とにかくあの弩邏胡を倒せる力、それが閃煌帝の鎧という事のようだな。
「みんなの鎧の力、オレに貸してくれ!」
「「「「了解!」」」」
MUSYAウォリアーズは鎧パワーを高め、色とりどりの光を放った。
そして赤、青、黄色、白の光が一つに集まり、黄金の光となって信太郎の元に集まった。
「な、何だこの光は!?」
「弩邏胡、お前を必ず打ち砕く。閃煌帝よ……此処に在れ!」
信太郎が叫ぶと、黄金の光が黄竜となり、空を駆けた。
そして、彼の元に光の塊として舞い降り、そこには黄金に輝く神々しい鎧が姿を見せた。
「超武装! 閃煌帝……黄竜!」
「な、何だと!?」
「行くぞ、弩邏胡!! うぉおおおっ!」
閃煌帝の鎧の前には敵は無かった。
妖邪兵は鎧に触れた瞬間消滅し、閃煌帝の鎧をまとった信太郎は弩邏胡を一刀で首を切り落とした!
「ふっ、はははは……面白い、所詮それは余の傀儡に過ぎぬわ……よかろう、貴様等を全員屠り、この世を余の物としてやろう。さあ、野望楼に来るが良い……それまでせいぜい精進する事だな……ぐわははははははっ」
そう言い残し、弩邏胡の首は新宿上空から姿を消した。
弩邏胡がいなくなると、新宿の上空に見えていた野望楼の城郭も消滅、そして空から三鬼将とマユラが落ちてきた。
「危ない!」
落下した四人をウィンセル、ランセル、ガンセルとMUSYAウォリアーズが助け、犠牲者は出ずに済んだ。
◆
「しかしどうやってここからワープすれば良いんだ?」
――残念ですがこの時代にタキオン粒子を使ったワープシステムは無さそうです。――
困っているオレ達に声をかけたのはMUSYAウォリアーズと三貴将、それに酒羅とマユラだった。
「お前達はわたし達の命の恩人だ。困っているなら我等が力を貸そう。わーぷ、とかいったな。それは我等の術でどうにかできるやもしれん、我等全員の活力を合わせれば城郭の一つくらいを動かす事は可能だ」
「そうですね、ワープ理論はまだ判明していませんが、僕達の活力、鎧パワーを使えば物質転移は可能でしょう」
そして全員が巨大な陣形を作り、マユラと酒羅がその力を集めた。
「行くぞ、転移の術……お前達の思い描く辿り着きたい場所を念じるのだ!」
――行きたい場所、そりゃあやっぱり地球だろ……! しまった! ここは移民惑星テラニアと思い描くべきだった!!
だが時すでに遅し、オレ達はワープに入ってしまい……どうやら地球のどこかに到着したようだ……。
「オイ、見覚えの無い大型の飛行船があるぞ。シーザー、変形して様子を見るんだ」
「わかった、アキト」
「こちらも変形して様子を見るわ」
オレ達の前で軍用ジープと重戦車、それにヘリが変形してロボットになった。
オイオイ、ここは地球なんだろうけど……一体何処なんだよ?




