番外編 宇宙漂流記ルミナス 59 シンジュク・スターダストアイズ1
今度の世界は新宿かよ!
だがどうもここはオレの元々いた日本とは少し違うようだ。
——レイジ、遠方空中に未確認の巨大な建物が見えます。アレは何でしょうか?——
何いってんだ、新宿でデカい建物といえばやはり新都庁だろ。
って!? なんじゃありゃぁ!???
信じられない。
オレの見ている前方に見えたのは空中に浮く巨大な城だった。
あの形、大阪城? 安土城?? 姫路城?? とにかく昔の日本の城が空中に浮いている。
「うわっ!? 何だよアレ!」
「きゃああぁっ! オバケえぇー!」
空中に浮いた城から大量の骸骨が鎧を着たような奴らが飛んで来た。
妖怪達にはルミナス号のビームが効かない。
攻撃がすり抜けてしまうのだ。
何だよ何だよ、ここはギギギの義太郎の世界か?
だが、その疑問はその後で解消された。
「烈火豪炎朱雀斬!」
「青龍波濤撃!」
空中のルミナス号に襲い掛かろうとした妖怪を倒したのは、鎧を着た二人だった。
って、アレは見覚えがある! ウチの姉ちゃんの部屋のポスターにいたぞアイツら。
えっと、確か……MUSYAウォリアーズ……だったかな。
——鎧装伝MUSYAウォリアーズ——
1980年代後半に突如日本に現れた邪妖大帝弩邏胡を倒す為に武者の末裔がヨロイテクターを武装して戦うアニメだ。
四神と黄竜の鎧を先祖から受け継いだ武者の末裔が東京を舞台に戦っていた。
当時流行っていた聖獣士空矢や天空大戦バサラの流れを汲むヨロイものと呼ばれるアニメの一つだ。
つまりここはMUSYAウォリアーズの世界って事か!?
「カネチカ、あのバカでかいものは何だ?」
「さあな、でも邪悪な妖力は感じない、妖魔のものではなさそうだな。まあヨシトラならわかるかもな」
間違いない。
外の音を聞き取ったが、ヨシトラは上杉義虎の事だ。
MUSYAウォリアーズの参謀役ともいえる頭脳明晰キャラ、それが上杉義虎だった。
オレは外に通信を試みた。
「頼む、助けてくれ。オレ達は別の世界からワープしてここに来てしまったんだ。あの妖怪達に襲われて動けない」
「どうする? 勝久?」
「うーむ、オイは細かいことはようわからんが、アイツら困っとるみたいだから助けてやるたい」
「わかった、僕も協力しよう。とりあえずシン達と合流だな」
どうやらあの赤い鎧のヤツは島津勝久みたいだな。
そうなるともう一人の青い鎧のは長宗我部兼親か……。
という事は、後三人、上杉義虎と尼子経高、織田信太郎がいるってわけか。
オレ達は妖魔の群れを勝久と兼親に追い払ってもらい、どうにか新宿御苑の池のところにルミナス号を着水させた。
「ありがとう、助かった。オレはレイジ、一応日本人だ」
「大丈夫たい、言葉の通じる相手なら敵じゃないとわかるたい」
——オイオイ、って事は反対に言葉が通じなければ問答無用で敵として倒すって事か??
「カツ、その言い方だと言葉通じなきゃ問答無用で相手を倒すっていってるようなもんだぞ。言い方に気をつけろ」
「すまんたい、そういう意味ではなかったんじゃがな……」
「アナタ達はどうやら敵ではなさそうですね。オレは織田信太郎、みんなにはシンって言われてます」
彼がMUSYAウォリアーズのリーダー、黄竜のシンこと織田信太郎か。
やはりここはMUSYAウォリアーズの世界で間違いないな。
——ようこそ、シンタロウ様。ワタシはこのルミナス号のメインシステムのMAYAです。——
「うわっ! 誰もいないのに声が聞こえたですたいっ!?」
「落ち着け、カツヒサ。これはAI。つまり人工知能だ。しかし今の日本の技術ではここまで精巧なAIは作れないはず、という事はアンタ達、未来から来たのか?」
流石は参謀キャラ、義虎は冷静に状況を把握しているようだ。
だが、そんなオレ達に襲いかかる三人の敵がいた!
「外に妖邪の気配を感じる! これは……三鬼将か!?」
急いで外に飛び出したMUSYAウォリアーズの前に三人の禍々しい鎧を纏った奴らが空中に浮いていた。




