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番外編 宇宙漂流記ルミナス 57 失われた老兵達のレクイエム4

 浮上したルミナス号で移動したオレ達は戦艦ソードフィッシュの残骸の有る地域に向かった。

 今頃その場所ではセドリック達が敵と応戦中だろう。


 街から離れ、二十分ほどしてオレ達が見たのは……朽ち果てた巨大な戦艦の残骸だった。

 どうやらこれが第一降下隊の旗艦だった戦艦ソードフィッシュらしい。


「こちらセドリック、今敵と応戦中。至急救援を!」


 セドリックの通信がルミナス号に届いた。

 今はバンビッドの敵ロボットと戦闘中のようだ。


「こちらルミナス号、あと数分で到着予定、それまで持ちこたえてくれ」

「了解、すぐに頼む!」


 オレ達が到着すると、そこに居たのはウィンセル、ランセル、ガンセルだけではなく、盗賊団に奪われたはずのライドテクターだった。


「あー、アイツら。おれ達のライドテクターを!!」

「デック、よく見ろ。アレはどう見ても素人の動きじゃないぞ」


 どうやらオレの予想は当たっていたらしい。

 盗賊団の正体はやはり第一降下隊の生き残りだったようだ。


「MAYA、電磁バリア展開、その上でレーザーで援護射撃を頼む」

――了解です。電磁バリアフィールド展開。――


 ルミナス号は電磁バリアフィールドを展開し、バンビッドの戦闘ロボットに威嚇射撃をした。

 思わぬ伏兵に対し、バンビッドは撤退したようだ。


「セドリック、マルコ、ジャッキー。無事か?」

「うん、こっちは大丈夫だよ」


 オレ達は戦艦ソードフィッシュの近くにルミナス号を着地させ、盗賊団のリーダーと話をした。

 当然ながら一番激昂しているのは元軍人のナッシュだった。


「何故だ! アンタ達はそれでも軍人か!! 恥を知れ」

「へっ、若造が。ワシらみたいな老いぼれに何が出来るってんだよ。その日のおまんまを手に入れるので必死なんだよ」

「コイツら、修正してやる」

「まあ好きにしろや、それで打って響くような奴らならこんなとこで盗賊稼業なんてやってないってよ」


 この盗賊団は老人の男ばかりだ、どうやら本当に十五年前の第一次降下隊の生き残りだったらしい。

 壁には埃まみれの第一次降下隊のエンブレムのレリーフが傾いたまま壁にかかっている。


「……食え」


 鍋を持った壮年の男がオレ達に煮込んだシチューを手渡してくれた。どうやらこれは彼が作った料理のようだ。


「お。アールグレイのヤツ、どうやらお前達が気に入ったようだな。アイツは気に入らない相手にはあのシチューをぶっかけて追い払うからな」


 オレ達にシチューを振舞ってくれたのはどうやらこの部隊の隊長だった男のようだ。

 彼はシチューを用意すると、通信機の前に座り、どうにか受信をしようとしているみたいだった。


――……こ……だ……オウ……ガガッ……ザザザッ……よ…………――


 だが通信は通じないようだ。


「無駄だ無駄だ、そこにあるのは通信も出来なくなったポンコツ、アイツはアレを子守歌にして寝ているんだよ、使えなくなった通信機、使い物にならなくなった軍人、まるで俺達みたいじゃぁないか」


 なんだかな、話を聞いているとやるせなくなってきた……。


「ちょっと待ってな、オレが修理してやるよ」

「無駄だ無駄だ、どうせ通信が通じたって俺達に何が出来るってんだ……若いの、出しゃばったマネはせんほうがいいぞ」


 だがそう言われて素直に引き下がれるかよ。

 オレにだってエンジニアの意地ってもんがあるんだ。

 壊れた機械が直せて使えるようになればまだ使い道があるってもんだ。


 オレはルミナス号に会った予備電子パーツを使い、通信機を修理した。

 これでようやく通信が復活する。


 だが通信機は受信だけは出来るものの送信の為のチャンネル設定が壊れていてこちら側からの送信は出来なかった。


――こちら火星軍地球奪還作戦司令部総責任者、アールグレイ大佐、第一次、第二次降下隊の生き残りがもしいたなら至急返信を求む、こちら火星軍地球奪還作戦司令部総責任者、アールグレイ大佐、第一次、第二次降下隊の生き残りがもしいたなら至急返信を求む……。――


 通信を見ていた元隊長は、その夜、誰にも何も告げずにどこかに姿を消してしまった。

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