番外編 宇宙漂流記ルミナス 54 失われた老兵達のレクイエム1
バイクがロボットになる作品、思いつくのは二つあるが一つはもっと80年代の東京みたいな場所だったのでこちらでは無い。
そうなると【ロボットシミュレーションゲーム】未参戦のトラノコプロのロボアニメの方か。
——機甲旅団モースピード——
バイクの変形するライドソルジャーを着込み、謎の異星人バンビットに対抗する生き残りの地球人がレフレスポイントを目指すロードムービーロボットアニメだ。
「よお、おれ達はレフレスポイントを目指して旅をしている。まあ通常機甲旅団モースピードって言われてるかな。おれはデック・ボウイ。よろしくな」
この名前の由来が木偶の坊なんだから失笑するしか無いな。
「僕は火星降下団生き残り、ナッシュだ」
この名前は何も無い、からの無しでついた名前。
まあ火星降下団は彼以外全滅だからそれも仕方ないな。
「フローラ・パートリーよ、よろしく」
まあなんと言うかカッコイイ系のお姉さんって感じの女性で彼女もどうやらバイク乗りらしい。
「バンバーン! あたい、ラブ・アニータ。愛を常に探す乙女なの。ルミナスちゃんもレイジちゃんもよろしくね」
この馴れ馴れしさ、ある意味怖いもの知らずだな。
「ギム・オーストンだ。元、軍人だが……あまりそんな事はきにしないでくれ。よろしく」
見た感じ恰幅良さそうな大男だが、どこか頼りなく感じるのは気のせいか?
次の男は痩せ型でまるで美しい女にしか見えない人物だった……。
「シモン・ベルベットだ。よろしく頼む」
何だよこのとんでもないイケボは!
だが彼のすごいのはそれだけではなかった。
「ねえ、私の歌を聞いてみて」
「な、なんだこの声は!?」
「綺麗……男の人だなんて思えないわ……」
なんとシモンは男の声と女の声を完璧に使い分けることの出来る人物だったらしい。
どうやらこの旅における資金の稼ぎ頭とも言えるのが彼、つまりシモンらしい。
最後の一人は赤髪の大人しい少女だった。
彼女は何か言おうとしているのだがなかなかきっかけを作れないようだ。
「ア……エイジャ……わたし」
どうやらこの少女の名前はエイジャというらしい。
この六人がモースピードの面々で、レフレスポイントを目指しているらしい。
オレ達はガス欠のルミナス号をエギオスと呼ばれる飛行マシンと大型バイクに引っ張ってもらうことになった。
どうやらFZQと呼ばれるエネルギーがこの世界で使われるエネルギーらしい。
タキオンに互換性のあるエネルギーでエーテル体の一種の燃料らしいな。
それを手に入れるためにオレ達はこの近くの街に寄る事になった。
街についたオレ達は警戒されていた。
「帰れ! 盗賊団めっ!! お前達に渡す燃料も食料もここには無い! 早く帰らないと村の全員でお前達を追い返してやる!!
「え? 盗賊団?? 誤解だ、オレ達は旅芸人の一座なんだよ。この街に来たのも公演のためなんだ」
「信じられるかよ! この街の近くに盗賊団がいるのは知っているんだぞ!!」
緊迫した自警団の前に絶世の美女が姿を見せた!!
まさか、アレは!?
「あら、自警団の皆様、ご苦労様です。私たちはこの街で戦う兵士の皆様のために慰問に訪れたのです。どうか街に入れて下さらないかしら?」
「こ、この声!! あの姿!! あ、貴女様はシモーヌ様。さあどうぞお通りください」
女装のシモンの知名度はかなりなものみたいだな。
そして街に入ったオレ達はコンサート会場を用意してもらい、シモンが歌う準備を始めた。
いやー、しかしどう見ても女にしか見えんわ……。
そして、町の住人が集まり、シモンの慰問コンサートが始まった。
しっとりとしたバラード、ロック、シモンはどんな曲でも歌いこなし、観客達は全員が彼女(?)に魅了されていた。
そして、シモンのコンサートは大成功、彼らは旅費と食料、それにFZQ燃料を手に入れた。




