番外編 宇宙漂流記ルミナス 53 輝く瞳6
アノンガーディアンとオーグは殴り合い、遺跡を響かせた。
だが、そんな中でアノンは突如の異変に気がついたようだ。
「な、何だ! この巨大なエネルギーの塊が飛来する感覚は!」
「アノンさん! 一体何があったと言うんですか!」
「わからない、だが……限りなく巨大な死を呼ぶ力、それがこの島に迫っている。私はそれを阻止せねばならぬ。コウ、戦いは一旦やめさせてもらうぞ!」
そう言ってアノンのガーディアンは馬の背の頂上に飛来した。
「なんと、アレが今の人類の作った兵器だと言うのか。このようなものをこの島に落とさせるわけにはいかない!」
アノンが島のエネルギーを電磁フィールドにして核ミサイルを防ごうとした時、丁度オレ達のルミナス号が核ミサイルを宇宙にワープさせた。
「な、なんだと。コレが今の人類の力なのか……」
アノンのガーディアンを追いかけてコウがオーグと駆けつけた。
「アノンさん……」
「コウ、私はまだ時間が必要だと感じた。この星の人類が正しく歩めるか、否か。私は再び眠りにつき、その時を待つことにしよう」
そう言うとアノンは光り輝き、ガーディアンごと再び地下の遺跡に移動した。
「私はこの島と共に眠る。コウ……我が兄の子孫よ、再び会える時を信じている。さらばだ……」
「アノンさぁーん!」
そして激しい地響きの末にアノンのいた遺跡が地面に沈み始めた。
「急げ! ここはもう持たんぞ。全員ビークルに乗れ!」
船長が大きな声で叫んだ。
そしてその場にいた全員が遺跡から脱出した。
「ジンクマン……一体どうなっているのだ!」
「大統領、まさか俺が生きている事が不思議なようですな。もうこの島には何の価値もありませんよ、ここはいずれ沈む島ですからね」
船長はそう言うと通信機を投げ捨てた。
「トッド総帥、お父上が……亡くなられました。そして、BLANKAは、今までのアウストラル新島開発に注ぎ込んだ資金の回収の見込みも見えず、政府に押収され、壊滅……です」
「な、何だと……。ハ、ハハハハハ……まさか、こうなるとはな」
フラウ・カッツェを抱き寄せたトッドは笑っていた。
「そうか、全て失ったか。まあいい、オレはまだ生きている」
「どうするんだい、もうアンタにはねぐらも今晩のメシも無い一文無しなんだよ!?」
「なぁに、まあどうにかなるさ。オレにはまだ若さがある。だからオレについて来な、リンクス」
「トッド……」
リンクスはどうやらフラウ・カッツェの本名らしいな。
BLANKAが壊滅し、全てを失ったトッドだったが最後に手にしたものは本当の愛だったのだろうか……。
そして、ついにこの島に最後の時が近づいていた。
港には船が停泊し、BLANKAの残党やアウストラル旧島の住人達が船に全員乗った。
オレ達もこのままではこの島と沈んでしまうかもしれない。
早く、遺跡が全て沈んでしまう前にエネルギーを充填しなくては!!
コウはオーグと最後の別れをしようとしている。
「オーグ、また……会えるよね」
「グォォ……」
オーグの目は光らない。
そして、オーグは沈みゆく島の方に向かい、ゆっくり歩いて行くのだった……。
「さようならぁぁぁぁぁ!!」
コウの叫びが潮騒にかき消された。
アウストラル島は沈み、コウ達はCIAの用意した輸送船で島を後にした。
オレ達はルミナス号を浮上させ、充填したエネルギーでワープを開始した。
——ワープ開始、5.4.3.2.1.ワープ!!——
今度こそ成功してほしいが、そうも行かないんだろうな……。
さて。次はどこやら。
ワープ完了後のオレ達が見たのは、明らかに文明の荒廃した地球だった。
まるで大戦争の後のような焼け野原と荒野ばかりだ。
そんな場所に不時着したオレ達は食料を探す途中でバイクに乗る一団に遭遇した。
「よう、アンタらもレフレスポイントを目指してるのか?」
「レフレスポイント??」
「バンビットの巣だ。オレ達は地球を取り返す為にそこを目指している」
えっと……バイクがロボットになる作品があったような気がするが、コレ……何だったっけ??




