番外編 宇宙漂流記ルミナス 50 輝く瞳3
オレ達はルミナス号の中で食事をする事にした。
今は動けないルミナス号だが、頑丈さや設備からするとこの島の中で一番安全な場所とも言える。
それにエネルギー不足とはいえ、ウィンセル、ランセル、ガンセルの三機のMVがあるので、ブランカの戦闘車両くらいなら返り討ちにできる。
異星人の遺産であるオーグはルミナス号には入らず、入口を門番のように守ってくれているので、オレ達は安心して食事することが出来た。
「さあ、みんな。ごはんできたよー」
「わーい、もうおなかペコペコだ」
男の子は山で獲物探しと海で魚釣り、女の子達は木の実を集めたり料理をして、全員分の食事が用意できた。
まあ料理の指揮はケイトさんがやってくれたので、味は問題ないだろう。
フラウ・カッツェとボビーも後ろでアキレスに睨まれながらも縄を解いてもらい一緒の食事をしている。
「おかわりまだあるからね」
オレ達は全員で食事を済ませ、このアウストラル新島についての事をキートン博士とコウから聞いた。
どうやらキートン博士はコウの父親だった矢上博士の弟子で、アウストラル新島の古代遺跡について調べていたらしい。
その中で見つけたのが異星人と古代の地球人との関係性だったようだ。
その研究結果に目をつけられ、世界的コングロマリット企業であるBLANKAに矢上博士は殺されてしまった。
そしてその研究成果はキートン博士が受け継ぎ、矢上博士の息子であるコウとこのアウストラル新島にやってきたというわけだ。
食事を済ませたオレ達は、装甲車とオーグで移動する事になった。
装甲車の後ろに牽引のカーゴを突貫で取り付けた形だ。
キートン博士とセドリック達はどうにかルミナス号に残り、ウィンセルが動くように整備中、オレは子供達に小型ドローンを渡し、ウィンセルやルミナス号の整備のために残った。
フラウ・カッツェとボビーは船長とアキレスに睨まれた状態で装甲車の雑用をさせられている。
さて、この整備が終わるまで何事もなければいいんだが……。
ドローン越しに見ていると、コウ達は島の東部の山脈、通常馬の背に到着したらしい。
ここにはブランカの一個隊が逗留していた。
どうやらこの場所で異星人の遺産を探しているようだ。
「敵襲だ! 蒼の巨神が出たぞ!」
「トッド様に伝えろ、巨神襲来、応援求む!!」
オーグは目を赤く光らせ、その辺りにあった岩を掴んで放り投げた。
中型戦車が投げられた岩でへしゃげ、オーグはその砲塔を力任せに捻じ曲げた。
「うわぁぁあ!! バケモンだぁー!」
戦車兵はへしゃげた戦車を乗り捨てて中から脱出、その直後にオーグは戦車を基地の燃料タンク目掛けて放り投げた!
ドゴォアーン!!
激しい音が馬の背の麓に響く。
幸か不幸か、そして馬の背の麓のBLANKAが採掘していた場所は、燃料タンクの大爆発で吹っ飛び、岩に隠れていた地下への道が開かれた。
ビコンッ……ビコン……。
オーグの目が光る。
そう、オーグには何かを感じたのだろう。
オレはこの作品、新規のテレビ局開設で見れなかったので内容は古いレンタルビデオショップに偶然残っていた最終回付近しか知らない。
だが確かこの後、オーグの制作者の異星人には弟がいて、その弟の乗るもう一つのガーディアンが出て来たんだった。
「アノン……ガーディアン」
「何だって! レイジくん、キミはなぜその名前を知っているんだい!?」
キートン博士がオレの呟いた言葉に反応した。
どうやら彼は何かを知っているようだ。
「アノン。矢上博士の残した古文書を解読した内容に出て来た名前だ。何を意味するかわからなかったが、レイジくん、キミが何か知っているならぜひ教えて欲しい!」
キートン博士がオレにものすごい距離で迫って来た。
そう言われてもオレの知っているのは、昔見たアニメのダイジェスト映像の最終回近くの話だけなんだが。




