番外編 宇宙漂流記ルミナス 49 輝く瞳2
——レオパルド・コネクション——
船長に聞くとどうやらあのフラウ・カッツェという妖艶な美女がボスの非合法犯罪組織らしい。
「久々だね、CIAのワンちゃん」
「メス猫に吠えられても怖くはないけどな」
船長に挑発されたフラウ・カッツェが顔を紅くして怒っている。
「ボビー! やっておしまい!!」
「イエス、ボス」
ボビーと呼ばれたスキンヘッドの大男が船長の乗る装甲車にガトリングガンを乱射した。
ガガガガッガガガッ!!
「どうかしら、少しはワタシの怖さがわかったかしら。アンタ達がアウストラル島の地図を持っているのはわかってるのよ。怖い目に遭いたくなければすぐに地図を渡すのね」
フラウ・カッツェが高笑いをしている。
彼女は船長を無力化すれば他の連中は大人しくなると思っていたのだろう。
だが、ここにはコウがいない。
彼は物陰に隠れて移動したようだ。
「さあ、蜂の巣になりたくなければ大人しく島の地図を渡すのね、あの馬の背と呼ばれる山脈に何かがあるのは知ってるわよ」
「オーグ! アイツらを捕まえるんだ」
「グオオォォ」
「何!? あの声、あの坊やかい! って……何なんだい? そのバカデカいのは!???」
どうやらフラウ・カッツェはオーグの存在を知らなかったらしい。
あまりの展開に動かなかったフラウ・カッツェ、そしてガトリングをぶっ放したボビーにオーグの巨大な手が上から覆い被さった。
「オーグ、捕まえちゃって!」
「グオオオーン」
オーグの目が点滅し、その後フラウ・カッツェとボビーが握られ、身動き一つ出来なくなった。
「どうだ、まいったか!」
「わ、わかったから、わかったからここからおろしてぇー!」
片目の隠れた妖艶な美人が台無しの変顔でフラウ・カッツェが泣きそうになっていた。
彼女のあまりの変顔にドロシーやキートンも笑っていた。
オーグに地面に降ろされた彼女にアキレスが飛びかかり、ロープで何周も周りを回転してぐるぐる巻きにしてしまった。
「おばさん、何でアタシたちを狙ったのよ。答えてくれないと……」
「お、おばさんって! って、アンタ、ワタシに何をするのよ、や、やめて。な、なにをするつもりなの!?」
ドロシーの目が座っている。
そして彼女は両手の指をクネクネと妙な動きで動かしてフラウ・カッツェに迫った!
「な、何をするの……お嬢ちゃん。や、やめて、やめてちょうだい!!」
ドロシーが縛られたフラウ・カッツェの靴を脱がし、足の裏を思いっきりくすぐり出した。
「アハハハハッ! や、やめて、やめて、キャハハハハッくすっくすぐったい、死ぬ! 死んじゃうからやめて、やめてぇー!!」
ドロシーはフラウ・カッツェをくすぐって情報を聞き出そうとした。
どうやら彼女はかつての恋人であるトッドにアウストラル新島の異星人の遺産を手に入れてプレゼントするためにこの島にコウ達を追いかけてやって来たらしい。
武器を取り上げられたフラウ・カッツェとボビーはアキレスに見張られたまま、捕虜にされたようだ。
彼女はエプロンを付けさせられてここで料理を作らされているようだ。
「ワタシ、食べるのは一流の店か特注のシェフの料理だけなのよぉ〜、それが何でこんなとこで料理させられてるのヨォー!」
「ボス、肉……ヤケタ」
ボビーが焼いた肉は、真っ黒焦げだった。
いや。これは焼いたというより燃やし尽くしたというべきか。
あまりの料理の下手さに、ルミナス号の女の子達とドロシーが手伝って料理を用意した。
包丁を持ったフラウ・カッツェはどうにかルミナス号の女の子を人質にしてここを逃げ出そうと考えたようだったが。
「ガルルルルッッ!」
「ヒッ、ヒィッ。な、何もしないわよっ!!」
大型犬のアキレスに睨まれ、脱出を諦めるしかなかった。
「みんなー、ご飯できたよー」
さあ、食事をしよう。