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番外編 宇宙漂流記ルミナス 47 不思議・夢銀河5

 宇宙船ザイドリッツの黒い側面が大きく開き、蛇腹状になってから裏側に折り畳まれた。

 そして、内側の赤いマントが翻る形になり、内側に折り畳まれた足が太ももの部分から斜め下にスライド、足首のジェットノズルが内側に回転して爪先が完成。

 最後に宇宙船の船首部分が後ろに折りたたまれ、テンガロンハットに青いバイザーの頭部が出現。


 縮んでいた手が伸び、ファイティングフォーメーションの戦闘ロボザイドリッツが完成した!


「ウィルの分まで戦ってやるからな、待ってろよ、ウィル!」


 ウィルは要塞衛星ハイペリオンに侵入した際、メインコンピュータシステムの迎撃をくらい、マッハストライカーともども重傷を負ってしまった。

 今はルミナス号の救護室で看護師見習いの経験があるセーラが看病しているところだ。


「行くぞ、デスギラーめ! このハイペリオンをぶっ潰してやる!」

「そうはさせんぞ、地球人!」


 要塞衛星ハイペリオン内部でザイドリッツ目掛け、レーザー砲があちこちから撃たれた。


「こ、この声はルーラー総統!?」

「そうだ、15年前の地球侵攻の失敗で我は肉体に重傷を負ってしまった。それ以降我はこの要塞衛星ハイペリオンと同化し、サイボーグとして生き延びたのだ。地球人め、このハイペリオンが貴様らの墓場だ」


 だがハイペリオン内部に侵入したのはザイドリッツだけでない。

 ルミナス号は電磁バリアを展開し、ハイペリオン内部のビーム砲発射口目掛け、ウィンセル、ランセル、ガンセルのレーザードライフルやリニア砲で攻撃をしていた。


「やめろ、やめろ! 我の中で暴れるな!!」

「ルーラー総統、ご無事ですか!」

「お前は、ヘリオンか……」


 ルミナス号、ザイドリッツの前に飛んできたのはデスギラー軍のロボットに乗ったヘリオンだった。


「貴様ら地球人ごときが我々を謀るとは、絶対に許さんぞ!」


 ヘリオンはロボの膝の内側からビームソードを引き抜き、ザイドリッツに攻撃を仕掛けた。

 ヘリオンの猛攻の前にザイドリッツは防戦一方、だがその空気を変えたのは、ウィルのマッハストライカーだった。


「な、何だアレは!?」

「ウィル!」

「へっ、ラストダンスにおれを置いてけぼりなんてさせないぜ。マッハストライカー収納」


 マッハストライカーがザイドリッツのマントの内側に収納され、ウィルは船首部分に乗り込んだ。

 そして、何とウィルはマントだけをザイドリッツから外し、宇宙船形態に変形させた。


「みんな、ザイドリッツをおれの上に乗せろ」

「そうはさせるかっ!」


 ヘリオンがビームソードで切りつけた瞬間、ハイペリオンの迎撃システムが作動、ヘリオンのロボの手首に直撃し、ビールソードは手首から抜け落ちた。


「もらったぁ!」

「な、何だと!?」


 ザイドリッツはヘリオンのビームソードを奪い、そのままヘリオンのロボを袈裟懸けに切り裂いた。


「よくやったぜ、さあ、おれの上に乗りな!」

「ウィル……わかった!」


 ザイドリッツはマントの変形した宇宙船の上に乗り、ハイペリオンのメインシステム、ルーラー総統の前まで飛行した!


「や、やめろぉ!」


 ザイドリッツの胸部の二つの砲身が正面を向いた。

 そして、ザイドリッツのエネルギーが全て砲身に集められ、全身の発射口とロングバレルライフルが火を吹いた!!


「「「「ボルガニックフォーメーション!!!!」」」」

「ぐぅあああああああーーつっ!!」


 ルーラー総統のハイペリオン中枢部が大爆発を起こした。


「さあ、みんな。脱出だ!!」


 ザイドリッツとルミナス号は崩壊する要塞衛星ハイペリオンから無事脱出した。



 ——ザイドリッツの中は悲痛な空気がただよっていた。


「ウィルの馬鹿馬鹿! 何で死んじゃうのよ!!」


 どうやらウィルは重傷をおして出撃し、最後の力を使い果たしたようだ。


 物言わぬ彼をザイドリッツチームとルミナス号のクルー、そしてシャルル博士が見届けていた。


「わたしがきちんと見ていなかったから、ウィルさんが出撃してしまったんです……」

「セーラが悪いわけじゃない……彼は命をかけてやるべき事を成し遂げたんだ


 みんながウィルに最後の別れを告げようとした時……!


「いてて、あまり大きな声で騒がないでくれよ……」


 なんと、ウィルが目を覚ました! 彼は生きていたのだ!!


「もうっ! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!」

「イテテテ、死ぬっ! 死ぬっ!!」

「自業自得だ、このバカ!」


 そして、地球連合軍とデスギラー軍の戦いは終わった。


 オレ達はシャルル博士にワープ用エネルギーを補充してもらい、ザイドリッツチームに別れを告げ、ワープに入った。


「またね、シーユーアゲイン!」

「さようなら、みんな」

「君達の未来に神と女王陛下のご加護のあらん事を!」


——ワープ開始、5.4.3.2.1.0ワープ!!——


 ワープの完了したオレ達は南方の島らしき場所に不時着した。

 またワープ失敗か。ここはどこだよ。


「お前達はダレだ? BLANKAのやつらか! ねえ、お願い、敵だ、やっつけて!!」

「グオオオォォォ」


 何だ何だ! 今度は謎の少年と蒼い巨大ロボットだって!???

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第500部分到達、おめでとうございます! キリ番でザイドリッツチームの物語も良い形に収まったのもまた良し! [気になる点] >謎の少年と蒼い巨大ロボット 巨神ゴ〇グ?
[一言] シーユーアゲイン! お次は……巨神の世界。 敵企業がガイルだったからこっちじゃブランカですか。
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