番外編 宇宙漂流記ルミナス 45 不思議・夢銀河3
ついに地球軍の防衛の要である巨大ロボ、ザイドリッツが解体される事になった。
それを見届けるのはデスギラー軍のヘリオン、ドゴール事務総長、その娘のアリアンとルミナス号のオレ達だった。
しかし、他のザイドリッツチームは一体どこに行ったのだろうか?
「それでは条約通り、ここでザイドリッツを解体します」
「わかりました、ワタシが見届け人となりましょう」
そして、ザイドリッツの各部に仕掛けられた爆薬のスイッチが入れられ、巨大ロボの姿をした銃星士ザイドリッツが木っ端微塵に爆破された。
「私達は約束を守りました、ヘリオン殿、デスギラー軍の早期撤退をよろしくお願い致します」
「承知致しました。我々はこの銀河系を水を求めてやって来た流浪の民です。水を提供していただけるのでしたらこれ以上の戦闘は無意味でしょう」
コイツ、絶対に信用できない……。
だがここでオレ達が下手に口を出す場所ではなさそうだ。
「それではワタシは要塞ハイペリオンに戻り、ルーラー総統にこの件をお伝えいたします。それまでにザイドリッツチームの解散を約束通りにお願い致します」
「……承知、致しました。ヘリオン殿」
どう考えても今締結されたのは偽りの平和だとしか思えない、だが……万が一という事もあるだろう。
それに、全く姿を見せていないザイドリッツチームが気になる。
オレ達はドゴール事務総長の申し出を断り、ホテルではなくルミナス号に待機しながら補給だけをしてもらう事になった。
「MAYA、どう思う? この停戦協定、どう考えても罠だと思うんだが……」
――そうですね、ワタシの計算でもどう考えても導き出せるのは地球側の壊滅しか弾き出せません。――
この万能コンピューターとも言えるMAYAが導き出す答えがそれなんだから、どう考えてもコレは罠だ。
オレ達はルミナス号でいつでも出発できる準備を進めておいた。
ワープに必要なエネルギーは確保できていないが、ここでデスギラー軍の戦闘メカを迎え撃つくらいならウィンセルやガンセルを使えば自己防衛ぐらいは出来るはず。
――そして、停戦協定から数日後、事態は急変した!
「地球に向けて要塞衛星ハイペリオンが移動中! その周囲を、数えきれない大軍勢のデスギラー軍の戦艦が護衛しています!!」
「何だって!? やはりこうなったか……」
「パパ、どういう事なのよ! アタシに何か隠してない?」
「アリアン、今から私の言う事を聞いてもらえるか、ここから少し離れた廃棄されたガニメデ第三基地に向かってくれ、そこに地球防衛の要が存在する」
「でもザイドリッツはもう……」
――まさか、シャルル事務総長はこの事を予測済みだったのか!――
「ザイドリッツはある。そこにはザイドリッツⅡが用意されているのだ!」
「そう! そうだったのね! わかったわ、パパ。セイジ達はそこで待っているのね」
「いや、彼等には別作戦を指示している」
そう言ってシャルル事務総長はどこかに電話をしていた。
「私だ、予定通りに進めてくれ。決議案は否決、私は解任という形でだ」
「え? パパ、どういう事なの?」
「私はたった今、国連事務総長を更迭された、私の行った平和協定は無効、反故という事になったわけだ。私は今からただのシャルル・ドゴール博士に戻る」
流石は政治家、相手を出し抜く策謀に長けているというべきか。
「アリアン、ザイドリッツⅡで要塞衛星ハイペリオンに向かってくれ!」
「わかったわ。パパ!」
「待ってください!」
「おや、キミ達は……」
ルミナス号の全員は覚悟を決めた顔をしている。
「オレ達もその要塞ハイペリオンに向かいます」
「だがキミ達は……」
「大丈夫、おれ達にはルミナス号にウィンセルやガンセルのMV」があるんだ! おっちゃん、おれ達に任せてくれよ!」
マルコが胸を張ってシャルル博士に自慢をしていた。
「すまない、アリアンの護衛……キミ達に任せよう」
「任せときな」
そして、オレ達はガニメデ第三基地に向かった。




