番外編 宇宙漂流記ルミナス 39 ブルーリカバー1
あの透明の戦闘機は一体何なのだ?
オレの見ている前で戦闘機はワープしながら攻撃している。
あんな戦闘方法、オレは知らないぞ!
このロボアニメの世界、ひょっとしてまたオレの知らない世界なのか?
——レイジ、あの状況どう思いますか?——
「どう、と言われても……地球人と侵略者が戦っているんだろうとしか」
実際オレはこの作品知らないんだからどう返答すればいいかわからなかった。
まあどう見ても空を飛んでいる戦闘機がロボットの足にしか見えない物に両翼が付いているので合体ロボには間違いないのだろう。
多分あのレトロロボマニアの大河内先輩ならすぐにこれが何か分かるんだろうが、こんなオレが生まれる前の再放送の無かった作品知らねーよ!
——でもあのカラーリングどこかで見覚えあるんだよな。
それにあのチートな亜空間戦闘という単語。
「そこの宇宙船! お前達はガルデバーンの仲間か!」
近くの巨大基地からオレ達に通信が入ってきた。
てか、ガルデバーンって何だよ??
「ち、違う。オレ達はワープして偶然ここに到着しただけだ。ガルデバーンなんて連中聞いたことも無い」
「何だって! でもガルデバーン軍のバックラーの手下以外に亜空間ワープ出来る機体なんてどこにあるというんだ!」
「カイン、貴方は捕虜なのよ、基地内を勝手に出歩かないで!」
オレ達に問いかけて来た男はカインと呼ばれていた。
そしてどうやら基地の警備兵に取り押さえられたようだ。
「あなた方は本当にガルデバーンでもG-1星人でも無いのですね。それでは一体どこから?」
女の博士らしき美人な人物がオレ達に問いかけていた。
「人にものを尋ねるなら自分から名乗るのが礼儀じゃ無いのか?」
「これは失礼しました。私はエラリー・ラインシュタイン博士。ブルーリカバーの責任者です」
「ブルーリカバー??」
なんか聞き覚えがある名前だ。
確か、【ロボットシミュレーションゲーム】に出て来たロボットのチームだったはず。
このロボット、本編の作画よりもゲームの作画が段違いに良いもので、スタッフのお気に入りだったはず。
えっと、名前は……。
「ラインシュタイン博士、オレ達は長距離ワープのミスでここに到着してしまったんだ。この船にはほぼ非戦闘員の女と子供しかいない」
ここはあえてウィンセル等のMVの事は黙っておいたほうがよさそうだ。
「そうなのですね、それは失礼しました。しかし、今は戦闘中、それを素直に聞ける状況ではありません。あなた達の身柄は一旦このブルーリカバー基地で預かる事になります」
またこんな展開かよ。
宇宙パトロールの補給してくれたタキオンエネルギーは長距離ワープで使い切ってしまい、ルミナス号もウィンセル達も今は動けない。
オレ達はブルーリカバーの警備兵に確保され、基地の中に一旦軟禁される事になってしまった。
「出せ! ここから出しやがれ!!」
「無駄さ、ここの奴らはオレ達の言うことを素直に聞いちゃくれない」
「アンタ、誰だよ?」
「オレは、カイン・ローガン。G-1星人さ。アンタらも宇宙人なのか?」
いかにも80年代前半ロボアニメの主人公といった人物がオレ達の軟禁されている部屋の入り口にやって来た。
「僕たちは移民惑星テラニアの子供だ。ゼクトニアンの侵略から逃げる為にあのルミナス号で脱出したんだ」
「ゼクトニアン!? ガルデバーン以外に宇宙には侵略者の宇宙人がいるというのか!」
カインはオレ達の話を興奮気味に聞いていた。
「出ろ、お前達を尋問室に連れて行く。本当にお前達がガルデバーンのスパイでないかどうか確かめる為だ」
見た目からしてガッチリした男が野太い声でオレ達に叫んだ。
どうやらコイツがさっきの大型戦闘機に乗っていたやつみたいだな……。
そして、オレ達はブルーリカバー基地の尋問室に連れて行かれた。